コマツ製対人地雷除去機の活躍

　今回は、本クラウドファンディングのリターンのミニ模型にもなっています、コマツ製対人地雷除去機(ＤＭ：Demining Machine)による地雷処理の仕組みをお届けします。

私たちが実施しているタイ国境付近における地雷・不発処理事業では、現在２台のコマツ製ＤＭが活躍しています。

　学校のグランドの様な平らな地域で地雷を人員で除去する場合、白紙的に約２５㎡／hの処理ができると言われていますが、ＤＭはその14倍の約３５０㎡／ｈの処理が可能です。

　しかし、我々が活動しているマライ郡は、内戦時にポルポト軍が高密度の雑木林や竹林の中に軍事施設を構築し、その周りに莫大な対人地雷を埋設して立て籠もった地域です。従って、人力で処理する場合は、まず前方３０㎝～50㎝の密生した木や竹を切り、それから地雷探知機を使用して探査することになります。異常がなければ前進して同じ作業を繰り返すという気の遠くなるような作業になります。

　他方でＤＭは、地雷原にいきなり入って木や竹も同時に処理を行うので、人力作業の場合の数十倍の作業効率だと感じています。

　ＤＭ前方のロータ（地雷処理装置）には、２００本のビットと言われる、長さが３０cmの「爪」がついています。ロータが高速で回転することにより、この爪が土を耕すように勢いよく地面に食い込んで行き対人地雷を破砕したり、起爆させたりします。「爪の長さは３０㎝で大丈夫か？」と思われる方もおられるかもしれませんが、・・大丈夫です！

　対人地雷は、圧力をかけたり、わな線で引っ張ったりして起爆させますが、深さ１０㎝程度に埋設します。それ以上だと人が踏みつけても信管に圧力が伝わらず起爆しないからです。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ＪＭＡＳ地雷処理専門家　中野雅仁