【謹賀新年】日本鳥類保護連盟を応援いただきありがとうございます

あけましておめでとうございます。新年のご挨拶かたがた、連盟事業へのご支援の御礼を申し上げます。旧年中は当連盟の事業にひとかたならぬご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。おかげさまで、昨年も様々な調査研究・普及啓発事業をとりおこなうことができました。

特に、協働団体であるアジア猛禽類ネットワーク、日本野鳥の会、日本自然保護協会、奄美野鳥の会の皆様とともに１１月に２か月間の募集期間を設定して開始いたしましたREADYFORクラウドファンディング「【第二弾】絶滅危惧種サシバの保全を皆の手で。渡りの全容解明への挑戦」は、おかげをもちまして、１２月半ば過ぎに当初目標の２００万円を達成いたしました。

支援してくださった方も現在２００名を数え、本当に多くに方々に支えられて調査を行うことができますことを心からありがたく感激しております。すでに現在はネクストゴールとして設定した３００万円を目指して引き続き皆様からのご支援をお待ちしております。今後ともよろしくお願いいたします。

　サシバは里地里山（農耕地を中心とする生態系）を象徴する猛禽類です。イヌワシやクマタカも個体数が少ないことで絶滅が心配されている猛禽類ですが、それぞれの置かれている状況・危機の原因は少し異なります。サシバの減少要因はまだ明確になっているわけではありませんが、農耕地の管理放棄、サシバが好む水辺の生きものの減少、農村地域の開発などの、繁殖地の生息地域における環境悪化が一つの要因として考えられます。

もうひとつ、渡り鳥特有の問題、つまり渡り行動の阻害要因の増加も考えられます。風力発電施設が渡りルートに設置されることはそのうちのひとつです。ただ、風力発電施設は太陽光発電施設とともに、温室効果ガスを出さない経済構造を構築する上で現時点では主要な達成手段でありこの先も数多く建設されていく可能性が高いことから、温暖化防止対策と生物多様性保全対策の対立として表面化しています。今回の調査で得られたデータは、少なくともサシバの渡りのルートのうち、多数が集中しているライン上に風力発電施設のような人工物が設置されることによって、サシバの渡り行動に大きな影響を与える可能性を教えてくれます。

いまや二大地球環境問題ともいわれる地球温暖化と生物多様性。地球温暖化防止のほうは物理的な現象ですので状況や対策がわかりやすいですが、生物多様性は現状がわかりにくく対策も立てにくいという特徴があります。そのためにも、科学的データの積み重ねの重要性は何より重要です。連盟は皆様とともに引き続き鳥類を中心として生物多様性保全に貢献していきたいと考えております。今年もよろしくお願いいたします。

公益財団法人日本鳥類保護連盟　専務理事　中島慶二