応援ありがとうございます。クラウドファンディングに挑戦して早くも期限の折り返し地点が過ぎました。皆さんのお力がまだまだ必要です。どうか宜しくお願いいたします。

それでは今回はLABの芸術監督である鈴木竜のインタビューをお送りしたいと思います。LABを立ち上げたきっかけ、日本のいまのダンス事情からこれからについて話してくださいました。

 

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鈴木竜

 

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----------------まずこのジュニアカンパニーについてお聞きしたいと思います。いま日本でも竜さんくらいの年代のダンサーが、若手に向けたオーディションやワークショップはよく行っているのは見かけます。ですがこのL.A.B.は、カンパニーとして1年間みっちりとプログラムをやっていますよね。竜さんはまだ現役でダンサーとしても活躍されているのに、なぜジュニアカンパニーを立ち上げようと思われたのですか。

 


 

竜:もともとは自分が何か作品を作ったり公演をやったりする時に、誰をダンサーとして誘おうと考えたときに全然思いつかなくて…それこそいいダンサーとかはだいたい海外で活動していたりする先輩たちはたくさんいるのだけど、自分より若い世代で、特に日本産でしっかり訓練されている若手ダンサーってなかなかいないかなと感じまして。どこかから見つけてくるよりも自分で育てないといけないんじゃないか、と考えていたら、もともとオープンクラスをやっている神楽坂セッションハウスで来年からどうするか、という話が出たのがきっかけです。プロになる人を育てるってことをやっているうちに、その人達が日本だけでなく海外とか色々な場所にいって広がってくれば、この場所が新しい人材を生み出す土壌にできる気がしています。

 


 

---------------ではそこから今竜さんが立ち上げたカンパニー”eltanin”にもつなげていこうと思われていたりするのでしょうか。今実際にL.A.B.のメンバーでeltaninに所属している人もいますし…。

 


竜:そうですね。でもeltaninに関しても自分の作品をやるだけの場所にしようとは思ってなくて、「ダンスという入れ物を使って何ができるか」という場所にしていきたいとは思っています。それで何か必要になった時にL.A.B.のメンバーで声をかけられる人が増えたら嬉しいです。

 

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第1回公演から。昨年からLABに所属し、eltaninのメンバーでもある安心院かな、河内優太郎

 


 


--------------なるほど。次に今回のトリプルビル公演について質問させていただきます。昨年の本公演は竜さんの作品のみの上演でしたが、今回はなぜトリプルビル公演にしようと思われたのですか。

 


竜:僕がコンテンポラリーダンスを知ったのは海外でした。そこで色々な振付家の作品にダンサーとして参加して、色々なスタイルにどんどん対応していかなきゃいけなかった環境が、今思うと重要なことだと感じています。色々な経験値を積んでいることがすごく重要だから、そのためにも僕の作品だけでなく他の人の作品に触れてもらいたいなって思ったのです。
 正直コンテンポラリーダンスはクラスだけじゃ分からないこともたくさんあるし、その人の作品作りの過程で色々吸収できる、と僕は考えています。

 

 

---------------ではなぜ今回L.A.B.のメンバーの中から一人振付家を選ぼうと思われたのですか。

 


竜:作品を作る能力があるメンバーは多いと思っているのですが、じゃあこのメンバーの中から選ばれて「さぁやらなきゃいけないぞ」って環境になった時に出てくるものってまた違ってくるのではないかなと思いまして。まあこれはこのクラウドファンディングが成功したらの話ですが、稽古場代が出て、衣装代が出て、という、自分にかかる負担が少ない状況で作品が作れるというのはかなり大きな経験だと思いますし、その経験を通してメンバーに成長して欲しいというのが大きな理由です。今回は大塚郁実が選ばれましたが、その責任を感じる環境で作品を作る経験はとても重要で、先輩たちの作品と並ぶことによって今まで自分の作品を見たことがない人たちにも見てもらえるわけですし。それは若手育成という面でもダンサーとしてだけではないというところで色々な人に知ってもらえるのはいいことだと思います。

 

 

----------------今後もこの形式の公演は続けていかれるのですか。

 

 

竜:それが2つや4つになることはあるかもしれないけど、続けていきたいとは思っています。そして今回の小㞍健太さんのように普段なかなか作品に出られる機会のない人にお願いしたいとも考えています。

 

 

--------------L.A.B.でのワークショップもそうですよね。

 


竜:そうですね。それこそこの場をきっかけにその先輩たちとL.A.B.以外の場所で関わる機会になったらいいと思いますし、なんとなくだけど公演に関しては、僕の先輩と、自分と、後輩という形式にしたいとは思っています。

 

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稽古風景から


 

---------------そうなのですね。公演の内容になりますが、今回の竜さんの作品はどのようなコンセプトなのでしょうか。

 


竜:まず今回は全員(15名)を使うぞ!というのが出発点で。
この舞台になるセッションハウスという空間は特別広い空間でもないですし、正直どうしようかなって思いまして(笑) 前回は1時間自分の作品にあてられたので、セクションを分けて数名ずつ出すということができたのですが、でも今回は15名がその狭い空間にいるという状況を活かすのが良いのではないか?ということで最終的に「孤独」をテーマにすることにしました。例えばこうやって東京にいる時にこれだけ人がいるのになんだか「さみしい」って感じるじゃないですか。それを15人同時に踊っているのにそれぞれ別のことをやっているとか、一人しかいないのに15人で踊っていることを想像しているとか…何かそういうところで遊べたらなと思っています。
これは少しネタバレになってしまいますが、この作品は「わたしはひとり」という言葉から作っていて、特に動き1つ1つにストーリーは求めていません。
これはいつもこだわっているのですが、「ダンスがしっかり見える作品」にはしたいですし、みんながダンサーとしての経験値を積む場としてふさわしい作品にしたいとは考えています。

 

 

 

---------------これもネタバレになってしまいますが、今作は「インプロ(即興で踊る)」をメインにクリエーションを進めていますが、なぜ今まであまりされなかったインプロを取り入れようと思われたのですか。

 

 

竜:誤解を恐れずに言うと、やはり計画性は偶然に勝てないなって思いまして。偶然の放つ光ってすごいなと感じていて、それを生み出そうとして完璧に計画するとやはり何かを失ってしまう。「何かを完璧に仕組む」よりも「何かが生まれるシステム」だけ作って、偶然に何かが生まれる関係性に、最近とても面白みを感じています。偶然を計画的に仕組むというか。
でも若手の公演ということもあるので、今回は自分の中でも危険な橋を渡っているという自覚はあります(笑)

 

---------------では実験的な作品なのでしょうか?

 

竜:いや、実験的というか、ダンスって結局はどれだけ完璧にしようとしてもならないと思っていまして、どれだけ練習しても本番で失敗するときもあるし…だとしたら「完璧が存在しない」ことをやるのも面白いんじゃないのというのは最近よく考えています。

 

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第1回公演は鈴木竜の幼少期に育った場所からインスピレーションを受けた「LAKE」を発表した。

 


----------------今年で2期目のこのジュニアカンパニーですが、何か違いはありますでしょうか。

 


竜:なんというかすごくメンバーの自主性が上がったなとは思っています。9月の公演でもそれを本当に感じて、僕のやっていることは間違ってないな、と思えたくらいです。ダンサーだからといって常に受け身ではなくて、こだわりをしっかりもっているのはどこに行っても大切だと思います。そしてその要素を育てるためにも9月は自作をみんなに作らせているのですが、それがいい成果を出してくれているからとても嬉しいです。来年も今年を超えてまた成長していって欲しいです。

 


-------------竜さんの中でL.A.B.を始めて何か変化したこととかはありますか。


竜:毎週同じメンバーに会うという環境で、髪切ったな、体調悪そうだな、みたいに周りの小さな変化に気付くことで、自分自身の変化にも気付けるようになった気はしています。
それから今年は前半自分が海外に行っていたので何人かにワークショップをお願いしたのですが、9月の公演でもそこから学んだであろうことが多く取り入れられているのも感じました。だからこそ、もっと僕がみんなを色々な人に繋げてあげられるようにもっと考えなきゃなっていうことを思えたことが、僕の中の一番の変化だと感じています。

 

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H30,10,31 稽古終わりに

 

 


-------------クラウドファンディングについてですが、なぜ今回このジュニアカンパニーでもクラウドファンディングに挑戦したのでしょうか。


竜:L.A.B.のメンバーの中には作品を作りたい人も多いですが、日本は芸術界の末端まで回ってくるお金がが本当に少ないのです。それぞれが作品を作る時に支援してもらってお金を集めることができればずいぶん自分にかかる負担が減ると思います。そして前の質問でも話しましたが、支援してもらっているという状況から責任感が生まれてくると思っています。このL.A.B.(Laboratory of Artistic Basis)はダンサーだけでなく振付家やダンスに関わる人間として生きていく力もつけていって欲しいし、作品作りやダンスを趣味にして欲しくないと思ったので今回みんなに挑戦してもらいました。
例えば15人でやって50万円集まったら、一人でも少額ならできるんじゃないかなって挑戦してくれるきっかけになればと思っています。このL.A.B.という場所が居心地のいい場所にはなって欲しくなくて、早く巣立って欲しいと思っているんです(笑)

 


 

--------------ありがとうございます。最後に今回の公演、またその先に向けて思いを教えていただきたいです。


竜:1月の公演に関しては自分の作品でみんながどうなるかなって思うのと、なにより他の2作品がどのようになっていくのか楽しみです。
長期的なことで言うと、5年10年先にできるだけ多くの人がダンスで食べていって欲しいですし、それをさあ誰がやっているのかなというのは今からすごく楽しみにしています。

 

 


---------------ありがとうございました。私も1月公演ダンサーとして頑張ります。
【インタビュアー:岩城かのこ】




 

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鈴木竜プロフィール
L.A.B.芸術監督を務める。コンテンポラリーダンサー・振付家として東京を拠点として活動。著名な振付家の作品に参加し、神楽坂セッションハウスより第3回セッションベスト賞を受賞。また、横浜ダンスコレクション2017コンペティションⅠでは、若手振付家のためのフランス大使館賞、MASDANZA賞、シビウ国際演劇祭賞のトリプル受賞を果たす。

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