野生生物消費の「無意識の欲求」を知って野生生物を保全する！

 

野生生物の利用は、生物多様性喪失の大きな要因になっていることが研究でわかっています。

それだけでなく、 種の絶滅や、動物福祉の問題、人獣共通感染症のリスク、犯罪組織や武装勢力の資金元となるリスクがあることが問題視されています。

 

「ん〜、自分が生活する上でこれらの問題って関係があるのだろうか？」

 

 

野生生物の利用や消費は、主に食べ物や医療、娯楽目的でなされます。

 

食べ物の例として、漁業、例えばウナギやフカヒレがあります。

どちらもスーパーや街中のレストランで入手や食べることが可能で、食べたことがある人も多いかと思います。

ニホンウナギは絶滅危惧種に指定されていて、サメはフカヒレなどの目的で乱獲に脅かされ、多くの種が絶滅危惧種です。

しかし、みなさんがこれらの水産物を消費する際、どこで育ちどこで採られた個体なのか、その経路は合法なのかどうかを細かく確認できることは稀です。

（詳しくは絶滅危惧種と漁業）

 

また、医療目的として、伝統薬（日本では漢方薬）として絶滅危惧種が使用されています。

前回の「新着情報」記事『なぜ野生生物製品を欲しがるのだろう？その疑問が出発点です』でも記載しました。

 

伝統薬で使用される絶滅危惧種の例として、哺乳類から爬虫類、植物まで多く挙げられます。

さまざまな体の機能不全や機能上昇のために消費されるサプリメントや医薬品の成分は、毎回確認していますでしょうか。

（詳しくは伝統薬）

 

 

 

娯楽目的には、ペット産業が例として挙げられます。

近年のSNSや動画配信サイトの普及で、野生生物が家庭環境で飼育されている画像や動画を目にしたことがあるのではないでしょうか。

ペットトレードにより、絶滅に瀕している種も多くいます。これらの種が載っている画像や動画のSNS投稿や配信に対し、「いいね」を押すことで、間接的にもこの産業に影響を与えていることになります。

また、ペットトレードでは特に輸送中やその前後、飼育環境における動物福祉の問題や、感染症のリスクが広く注目され、問題視されています。

（詳しくはペットトレード）

 

もう一つの娯楽の例として、装飾品があります。その代表例が象牙です。

多くの国が、ゾウの象牙目的の乱獲を問題視し、象牙市場を閉鎖したり、予定したりしています。

 

 

（詳しくは象牙取引）

 

直接・間接的に関係が全くなくとも、「いらない」と表明することが大事です。

しかし、本当に目の前にあった時に「いらない」と言えるのだろうか。

そもそも、なぜ消費されている野生生物は、需要があるのだろうか。絶滅危惧種でなければいけないのだろうか。

消費者はその野生生物の何がいいと感じ、利用するのだろうか。

 

これらの消費者の需要を詳細に知ることは、今後の野生生物保全活動を行う上で非常に大事です。

 

自己申告制のアンケートではわからない、無意識の欲求に、本プロジェクトを行うことで迫っていきます。