【大阪から、福井へ】

暑さがまだ残る9月初旬の土曜日の朝、大阪を発って約2時間半、特急サンダーバードから降り立ったのは福井県にある武生(たけふ)駅。

 

武生駅から車で15分ほど走ったところにあるその工場の周りには、のどかな蕎麦畑の風景が広がっていました。

 

 

世界初の特徴を持つデザイン京扇子開発プロジェクトの制作物の中で、最も重要なポリカーボネート製の親骨。その親骨の件である方と直接お話をさせていただくために、私は福井県越前市にある金型メーカーさんを訪問したのでした。

 

親骨制作の件で、この6年の間に私は恐らく50社ほどの金型メーカーさんに打診したり、相談したり、お見積りを検討頂いたりしましたが、その中で最後に辿り着いたのが、今回訪問するこの企業さまだったのです。

 

 

これまで皆さまには、かはほりあふぎの試作品の写真をご覧頂いておりましたが、実はあの親骨は、ポリカーボネートの塊をデータに基づいて切削加工したものであり、大量生産品のように型を造って合成樹脂(プラスチック)を流し込み、成型したものではありませんでした。

 

ほとんどのプラスチックの工業製品は金型から成型されているのに、多くの生活者にとって金型は馴染みのあるものではないと思います。私自身も仕事の関係で浅い知識こそありましたが、実際に製作に携わるのはお恥ずかしながら今回が初めてです。そして、切削加工と作り方が違うということは、新たな制作上の課題が沢山出てくるということを意味しています。

 

ところで皆さま、金型の費用についてご想像はお付きになりますでしょうか?

 

プロダクトデザイナーのご支援者の皆さまはご承知のとおりでございますが、実は私のような個人がひょいひょいと発注できるような金額ではありませんし、「個人が初めて作る金型です(そして、予算は潤沢にはございませんが、こうこうこういう取り組みをしておりまして…)」とお伝えすると、多くの場合「門前払い」となります(苦笑)。また、今回のプロジェクトの達成金額ほどのお見積りを提示くださった金型メーカーさんもいくつかありました。

 

一方で、費用を抑えるなら、海外生産の選択肢もあったかもしれません。しかし、今回のプロジェクトでは「国産品」にこだわっています。

 

今回のかはほりあふぎの親骨用金型製作に求められるのは、技術やノウハウをお持ちで、リーズナブルな価格、小ロットの生産に対応下さる日本国内の金型メーカーさん…ということなのです。

 

上記の厳しい条件をクリアし、最も今回の予算に近い費用でご対応いただけると仰っていただいた企業こそが、本間金型製作所さまでした。

 

同社は1973年創業(私と同い年)の、こちらと鯖江に工場を持つ金型メーカーで、主に自動車のパーツや越前漆器の素地の金型を手がけられているそうです。

 

 

 

【正直過ぎる社長さん】

私が、この日、本間金型製作所の社長、本間さんと是非お会いしたいと思った2つの理由。

 

1つ目は、初めて相談させて頂いてから数か月にもわたり、今回の案件についてとても真摯に対応下さったことです。本当に私がお送りするメールの一つ一つに丁寧に返答くださり、途中の心配事を都度消し去って下さったことに大変感謝しております。本当にありがとうございます。

 

 

もう一つのお会いしたかった理由は、直接お会いしてお互いの心配事を解消することでした。

 

元々この日のこの時間に、金型製作を発注させて頂くかどうかについて最終段階のお打ち合わせをする予定を本間さんと数週間前に決めていたのですが、実は当日は少し複雑な気持ちで福井に赴いていました。

 

それは、この2日前に本間さんから『やってみないと分らない所はありますし、心配していた所以外の問題が出ることもあります』『もし絶対的品質をお望みであれば、弊社ではそれに値する技術に自信が持てません』と、あまりに正直に胸中を吐露されたことが、頭の片隅に引っ掛かっていたからでした。

 

支援者の皆さまからお預かりした大切なお金で発注させて頂く身としては、それらの言葉を額面通りに受け止めると、とても不安になります。

しかし、永年のご経験から出たお言葉に間違いはないですし、紛れもない真実だと思います。

 

思えば、これまで京扇子開発プロジェクトで自分がやってきたことの全てが、やってみないとわからないものでしたし、「絶対」というものはあり得ませんでした。それでも、やれるかどうか誰にもわからない五分五分の状況の中で、本気を出して真正面からぶつかるから、ない知恵を絞って頭を働かせるし、出来ると思ったことはなんでもやってみる。そうしたら上手くいって壁を乗り越えられることもあるし、理想に近付くことができるのだろう…。そんなことを考えました。

 

見方を変えれば、これほど信用できる方はいらっしゃらないのではないか。私はそう感じました。

 

言わずもがな、仕事は信頼関係で成り立ちます。かはほりあふぎのプロジェクトをご一緒させて頂くなら、この方しかいないのでは?私はそう思い、少ない知識ながらも様々な質問をし、自身の考えや想いをお伝えしました。

 

工場に向かう車中での会話、工場に着いてからのこのような打ち合わせを通して、直感は確信に変わります。

このプロジェクトの大切な部分を本間さんの会社にお願いしようと、私はその場で決断しました。

 

今回は、厚みや穴があり、起伏に富んだ親骨のデザインのため、熱せられた樹脂が冷えて固まる際に収縮によって生じる部分的なへこみや窪みであるヒケ、金型内で溶融樹脂の流れが合流して融着した部分に発生する細い線であるウェルドが危惧されていて、それにどう対処するか、詳細に打ち合わせました。

 

心配事は、霧散していきました。

 

 

本間さんと意気投合して、帰り際に色々なお話をお聞かせ頂きました。

金型メーカーの歴史のこと、地方の政治や産業のこと、福井の伝統産業のこと、海外金型メーカーとの競争のこと…。

 

私も、沢山の金型メーカーさんに相談して今回の訪問に至ったこと、日本の伝統産業や生態系の課題に対する想いなどをお話させて頂きました。

 

 

その中で『仕事は信頼関係。結局「人」なんですよね…』

本間さんはそう仰いました。私も、その通りだと思います。

 

こうして、私たちのかはほりあふぎの親骨の製作は、本間金型製作所さまに託させて頂くことになったのでした。

 

 

【金型ができました!】

 

本間金型製作所さまの手で、かはほりあふぎの金型をお作り頂きました!

これは半月ほど前の製作途中の写真です。

 

 

 

【本日、親骨第一弾が届きました!】

できたてほやほやの情報です!

 

本日(2015年10月17日)、本間金型製作所さんから成型された親骨のサンプルが届きました!表面の色や質感は最高の出来です!

 

しかし、先の懸念点に関しては、初回は皆様にお届けできるレベルに至っておりませんでしたので、早速本間社長と電話でお打ち合わせを致しました。

 

リスクを想定していれば、動じることはありません。対処するのみです。

 

これから金型をご修正いただき、成型方法も工夫して頂きながら、更なる品質向上に努めます。

 

 

ここからが、永年技術を培ってこられた同社の腕の見せ所です。
そして、これからが、本プロジェクトの正念場です!

 

皆さま、是非一緒に本間金型製作所さんを応援してください!

かはほりあふぎを成功させるために、どうか宜しくお願いいたします!!

 

 

【今後のスケジュール】

かはほりあふぎのスケジュールが下記の様に更新されましたので、ご報告させていただきます。


現在、取り組んでおります金型の修正の件で、親骨の成型に少し遅れが出る可能性が出てきております。しかし…頑張ります!!

 

 

この度も、お読み頂きまして、誠にありがとうございました。

 

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