こんな健康よろずカフェの開催を目指しています①

コロナ禍の前に、川崎市と山梨県北杜市で、私たちの法人が単独で健康よろずカフェを開催していました。

 

山梨で健康よろずカフェを開催するに辺り、事前に、その地域の長老の方々に集まっていただき、目的・内容などを説明したところ、一見、怖そうで、まさに地域の長老の雰囲気を漂わせていた最高齢のNさん（享年97歳）が、「君たちが、この地で行おうとしているのは、この地域のこれからの健康を支えていく人材を育成することだと感じた。応援するので頑張りなさい」と仰ってくださいました。

 

それから、Nさんは、毎回、健康よろずカフェに参加してくれました。

お医者さんの話しを熱心に聞いたり質問したり、お楽しみ会の歌の会では笑顔で、歌や太鼓などの楽器に挑戦してセッションを実現してくれたり、ノルディックウォーキングの会では、Myストックを買ってまで一緒にウォーキングに参加してくれました。

 

ある健康よろずカフェの時、これまであまり話をしたことは無かったのだがと前置きの上、Nさんが戦争の時に、特攻隊員であったこと、また終戦近くは、特攻隊の教官になり、若者を教育し、たくさんの若者を海に送り込んだ過去の辛い体験をお話してくれました。参加していた先生達も、大学生達も、じっとNさんの話を聞き入ります。大学生達にとっては、初めて戦争を体験した人から直接聞く、戦争の話でした。

 

それから、Nさんに変化を感じました。それまでも楽しそうに参加してくれていましたが、さらに楽しそうに、自ら冗談を言ったり、お庭で育てた野菜もたくさん提供してくれました。健康よろずカフェの開催を催促してくれたりしました。

参加者やゲストのお医者さん、若者たちにとっても、Nさんは、益々、かけがえのない、皆の大好きなおじいさん、人生の師匠のような存在になりました。

皆が、Nさんと一緒にこの時間を共有し、何かを聞きたい、何かを学びたいと、感じてくれました。

お医者さんが元気で長生きの秘訣をNさんから聞いたり、若者達もさらに戦争の話、そして、平和の話を聞き出したりしました。

Nさんがいるから、皆の笑顔が広がりました。もちろん、Nさんもいつもニコニコ。

 

コロナのため、健康よろずカフェの開催を中断することになりました。

山梨に行くことも、自粛せざるを得なくなりました。

その時に、Nさんは、急病となり、そのまま、亡くなりました。

コロナが落ち着いた時に、山梨にいき、ご家族にご挨拶に伺いました。

その時、ご家族から、Nさんは、健康よろずカフェに参加することで、とても明るくなったこと、そしてコロナを恨み、皆さんに会いたいといつも仰っていたこと、そして、健康よろずカフェが再開することを願っていてくれたことを教えてくれました。

 

人には、例えば、お医者さんは患者さんの病気を診断・治療するなど立派な役割があります。また、Nさんのように高齢になっても、いえ、高齢になったからこそ、人生の師匠として多くのことを教え、伝えるとても大切な役割があると思います。

プロの医師と、プロの人生の師匠が出会い、認め合い、気付き合うことが、人ひとりが大切な存在であることを、深く感じることができると感じた山梨の健康よろずカフェでした。

 

健康よろずカフェは、このように、市民と医療関係者が役割を超えて、お互いに理解し、語り合い、思いやれるような関係性を構築できる対話と交流の場を目指しています。

そのために、医療、教育、PR、マスコミなどを経験した私たちが、これまでの経験を活かし、さらに医師会などの協力を得てプログラムを提供していきます。

益々のご理解、ご協力、ご支援のほど、お願い申し上げます。