白血病の患者さんに移植費用を届けたい。きち子基金継続にご協力を！

全国協議会が移植患者さんの支援継続と、枯渇しかけている基金を積み増しするために、クラウドファンデイングで資金を募ることになりました。

 

今までにも、基金が枯渇しかけたことは何度かありましたが、そのつど、全国協議会からの呼びかけに応えて頂いた全国のボランテイアの皆様が中心となった寄付に支えられて患者さんへの給付が行われてきました。

私は、きち子基金の創設に当初よりかかわったものの一人として、基金と患者さんへの支援が継続されるよう強く訴えるものです。

 

思い出しますと、佐藤きち子さんとの出会いは、二女彩子の死後約４年後に三鷹市の教育委員会が主催し約1か月間、三鷹市美術ギャラリーで「あやちゃんの贈り物展」を開催した時が最初です。

 

この時、きち子さんは、自らもパステル画の勉強をされており、師事していた先生より、出版されたばかりの「画集あやちゃんの贈り物」を手渡され、読まれたことがきっかけとされます。

 

間もなくきち子さんより「この子の絵は訴えるものがあるから全国の皆さんに見てもらいなさい」と全国巡回するための寄付を受けました。きち子さんとお会いしたのは、連絡によりお金を受け取りに伺った、この時が最初でした。

 

その後、全国協議会の方針により、福島県のボランテイアの皆様が額装を担い、全国を巡回することになったのは、この年の秋からでした。

 

きち子さんより再び連絡があったのは、約1年後のことでした。

 

「骨髄移植ってお金かかるでしょう、もし、受けられない人がいたら、私が少し用意しようかしら」と。

 

後日「お金用意したから取りに来なさいよ」と連絡があり、受け取りの為出向きましたが、私が到着した時、持病が急変した時でした。苦しい呼吸下で「詰所に預けておいたから戴いてきなさい」と絞り出すような声で私を促しました。

 

その直後、救急車が到着し、きち子さんは病院へと搬送されました。私は、渡された小切手を握りしめたまま、タクシーに飛び乗り救急車を追いかけました。

 

外来で診察した医師より「ボランテイア関係の方、入ってください」言われ、ストレッチャーに横になっているきち子さんと面会しました。顔を見てすぐに「佐藤さん、確かに頂きましたよ」と声をかけたとき、佐藤さんは、うん、うんというしぐさでうなずいた後、ＩＣＵに転送されていきました。

 

これがきち子さんとの最後のお別れとなりました。

 

この2日後にきち子さんが入所していた施設より、訃報のお知らせがありました。
彩ちゃんときち子さん、2人は生前での交流はありませんでした。しかし、命がけで絵を描いた少女と、命がけで患者さんを救おうとしたきち子さんとのコラボで生まれた「きち子基金」ではないかと思うのです。

「きち子基金」については、これまでに給付を受けた方は少なくない人数に上ります。中には病気を克服して元気に社会復帰をしている方も多いのではないかと推測されます。

 

給付が行われた中でも、私が忘れられないのは、給付の後で全国協議会に寄せられていた患者さんからのお礼の手紙です。

 

中でも、ある地方のおばあちゃんからの手紙は娘さんとお孫さんが同じ病気で亡くなり、闘病中に給付を受けたことへのお礼と、末尾に、一生かけて返済いたします、と綴られ、涙ながらには読み切れなかったことを思い出します。

 

病気の予後がどうであれ、全国の患者さんから感謝され頼りにされた「佐藤きち子基金」の存続は、患者さんにとっても、その家族にとっても希望の灯台となりうるものです。

 

私は、今回のクラウドファンテイングを成功させて頂き、きち子基金の灯を絶やさず、患者さんへの支援を続けていくよう、全国の皆様に切に訴えたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

 

2022年1月

骨髄バンクを支援する東京の会

三瓶　和義