寄付総額
目標金額 3,000,000円
- 寄付者
- 361人
- 募集終了日
- 2020年8月7日
「掻餅」の話
皆様のあたたかいご支援、本当にありがとうございます。
アーカイブズ・カレッジ短期コースで「民間アーカイブズ・コントロール論」を担当している太田尚宏です。耳慣れない講義タイトルですが、公的機関ではなく、民間にあるアーカイブズの調査や保存の方法、地域文化の再生につなげる活用の実践などについて、講義をさせていただいています。
ひと口に「民間アーカイブズ」といっても、地域の旧家に残されている古文書から、民間団体・民間企業の文書、さらには民間の資料保存利用機関の文書まで、その範囲はとても広いのですが、講義では、おもに個人宅に所蔵されている江戸時代から現代までの文書を、どのようにして発見し、どのように整理・目録化して、保存と活用を図っていくか、ということに力点を置いて話をしています。
地域コミュニティーの力が弱くなっている昨今、地元の人たちに民間アーカイブズを保存していく意義を理解してもらうのは、とても重要なことです。今までならば、たとえ中身がわからなくても「むかし、おじいちゃんが“これは大事なものだよ”って言っていたから、とりあえず残しておこう」といった形で保存されていた民間のアーカイブズですが、いまでは「これこれこういう訳で、地域にとって大事なものだから、保存しましょう」と、きちんと説明しなければ、なかなか残してくれないものになってしまいました。
私は現在、岐阜県中津川市の加子母(かしも)という地域で、古文書を整理しながら、これらを地域のために役立てる方法についての実践研究を行っています。この過程で整理した古文書の中に江戸時代中ごろの日記があって、その中に「掻餅」という言葉が出てきました。
「かきもち」というと、東京生まれの私は、すぐにお餅を乾燥させて焼いたり揚げたりした「おかき」を思い出してしまうのですが、日記の記述を見ると、そのような感じのものではなさそうです。そこで、資料所蔵者の奥様に「この辺で〈かきもち〉というと、どんな食べ物を思い浮かべますか?」とたずねたところ、「それって〈かいもち〉のことじゃないの?」という答えが返ってきました。
奥様の話では、「かいもち」とは「ぼた餅」のことなのだそうです。地域の中でお弔いが出ると、夜に念仏講の人たちがやってきます。その人たちへの「茶のこ」(一般には「お茶うけ」という意味で、葬儀のときの「お返し品」という意味もあるそうです)に「かいもち」が使われたといいます。奥様いわく「私の若い頃にも、お葬式が出ると、みんなで〈かいもち〉を作りに行ったよ」とのこと。葬儀会社のホールでお葬式が行われるようになる前までは、地域の人たちが「かいもち」を作りに行く風習が残っていたのだとか…。ちなみに、「かいもち」には“あんこ”ではなく“きな粉”をまぶすそうです。奥様が話してくれた内容は、江戸時代中ごろの日記に書かれていた中身と、ほとんど変わらないものでした。
「むかしの日記には、そんなことまで書いてあるんですね」と奥様は笑っていましたが、同時に私は、地域の中で資料を残していくためのヒントをもらったような気がしました。整理した文書群の中から、地元の人たちの「生活」感覚に近い資料を発見して積極的に紹介していく。これらを通じて、身近な生活文化が「記録」され「残されて」きたことの大切さを理解してもらう。微力ながらも、こうした小さなことの積み重ねから「地域で人々が暮らしてきた証」である民間アーカイブズを保存する機運を高めていくことができたら、と考えているところです。
ギフト
3,000円
地域文化再生のためのアーカイブズ・カレッジを開催を応援!
・お礼のメール
・寄附受領証明書(2020年11月中にお送りします)
- 寄付者
- 107人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2020年9月
10,000円
地域文化再生のためのアーカイブズ・カレッジを開催を応援!
・お礼のメール
・寄附受領証明書(2020年11月中にお送りします)
・当館所蔵資料をあしらったオリジナルグッズ
- 寄付者
- 187人
- 在庫数
- 305
- 発送完了予定月
- 2020年9月
30,000円
国文学研究資料館の書庫見学に特別ご招待
・お礼のメール
・寄附受領証明書(2020年11月中にお送りします)
・当館の書庫見学に特別ご招待
空調なしでも適切な保存環境を実現している最新設備の書庫をご案内します。アーカイブズを未来へ伝えるための、さまざまな工夫がこらされている様子をご覧いただけます。また、当館所蔵のアーカイブズのいつくかを見ることもできます。
- 寄付者
- 10人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2021年1月
50,000円
アーカイブズ・カレッジを聴講しよう|講義動画
・お礼のメール
・寄附受領証明書(2020年11月中にお送りします)
・アーカイブズ・カレッジ短期コース全18コマの講義動画
2020年10月下旬に国文学研究資料館で行われるアーカイブズ・カレッジ短期コース全18コマの授業を自由に視聴することができます。
※動画はyoutubeでの限定配信を予定しています。
※テキストは国文学研究資料館ウェブからダウンロードしてください。
- 寄付者
- 33人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2021年1月
50,000円
国文学研究資料館の書庫見学と史料整理・保存措置体験に特別ご招待
・お礼のメール
・寄附受領証明書(2020年11月中にお送りします)
・当館の書庫見学に特別ご招待
空調なしでも適切な保存環境を実現している最新設備の書庫をご案内します。アーカイブズを未来へ伝えるための、さまざまな工夫がこらされている様子をご覧いただけます。また、当館所蔵のアーカイブズのいつくかを見ることもできます。
・史料整理・保存措置体験
当館で日常的に行っているアーカイブズの整理や保存措置を体験することができます。くずし字を読んでみたいという方には解読方法を伝授することもできます。
- 寄付者
- 15人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2021年1月
100,000円
国文学研究資料館に特別ご招待|館長ロバート・キャンベルとの茶話会
・お礼のメール
・寄附受領証明書(2020年11月中にお送りします)
・当館の書庫見学に特別ご招待
空調なしでも適切な保存環境を実現している最新設備の書庫をご案内します。アーカイブズを未来へ伝えるための、さまざまな工夫がこらされている様子をご覧いただけます。また、当館所蔵のアーカイブズのいつくかを見ることもできます。
・史料整理・保存措置体験
当館で日常的に行っているアーカイブズの整理や保存措置を体験することができます。くずし字を読んでみたいという方には解読方法を伝授することもできます。
・館長ロバート・キャンベルとの茶話会
館長ロバート・キャンベルを囲んでの茶話会を開催します。
・アーカイブズ・カレッジの募集要項にご支援者様としてお名前を記載します。(ご希望の方のみ)
- 寄付者
- 9人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2021年1月
300,000円
講演会講師派遣
・お礼のメール
・寄附受領証明書(2020年11月中にお送りします)
・講演会への講師派遣
国文学研究資料館には、江戸時代から現代まで各時代のアーカイブズを扱う専門研究者、あるいは保存科学の専門家が全部で7名おります。ご要望のテーマに応じて適切な講師を派遣します。
詳細はお気軽にご相談下さい。
・アーカイブズ・カレッジの募集要項にご支援者様としてお名前を記載します。(ご希望の方のみ)
- 寄付者
- 1人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2020年1月