対学校法人東京医科大学　第一審判決言渡しについて

2022（令和4）年9月9日、東京地方裁判所第610号法廷において、学校法人東京医科大学（以下「東京医大」）に対して損害賠償を求めた裁判の第一審判決が言い渡されました（判決文はこちら　https://fairexam.net/whatsnew/622/ ）。

既に各メディアで報道されておりますとおり、女子受験生を一律に不利益に取り扱う「属性調整」につき、裁判所は「性別という自らの努力や意思によっては変えることのできない属性を理由として、女性の受験者を一律に不利益に扱うものであって、性別による不合理な差別的取扱いを禁止した教育基本法4条1項及び憲法14条1項の趣旨に反するものというべきであるから、「公正かつ妥当な方法」（大学設置基準2条の2）による入学者の選抜とはいえない。」とした上で、「平成18年度から平成30年度までの本件大学の医学部医学科の一般入試及びセンター利用入試における入学者の選抜において、本件属性調整を行っていることを公表することなく、原告らに本件大学の医学部医学科の一般入試及びセンター利用入試を受験させた被告の行為は、少なくとも・・・原告らが自らの意思によって受験校を選択する自由を侵害するものとして、原告らに対する不法行為に該当するものと認めるのが相当」として、被告東京医大の責任を認めました。

本年5月に言い渡された学校法人順天堂に対する判決に引き続き、大学入学試験において、女子受験生を性別を理由として不利益に取り扱うことは許されない、ということが明確に示されたと言えます。

とは言え、認められた受験慰謝料の額は１年度あたり２０万円、不合格慰謝料の額は１００万円／１５０万円にとどまり、また、授業料の差額や予備校費用等が損害として認められないなど、女子受験生の受けた被害から正面に向き合ったものとは、到底、言えるものではありません。

控訴するかどうかは原告の方々のご判断になりますが、控訴することになった場合には、引き続き見守ってくださいますようお願い申し上げます。