【5/19 23:59締切:応募フォームはこちら

 

こんにちは、運営メンバーの青木です。Delicious Movement in Tokyo 2017 講座の応募締め切りは明日となりました。発案当初は協力者の方々からさえ「応援はするけれど、本当にこの講座に人が集まるのか?」と不安の声すら聞こえていた本企画。運営側は人々の知的好奇心を信じて楽観的だったものの、3回の土曜日というコミットメントに値する講座内容を伝える難しさはありました。講座概要にある「非生産的であること」「役に立たないこと」「ためらい」。これらのメッセージや説明は往々にして言葉が足らず、もしくは余ってしまいます。

 

しかし、あちらこちらのメディアに宣伝をお願いし、知人の口コミも利用しながら情報を広めてきたところ、現時点で応募者倍率は約3倍となり、高校生から定年後のビジネスマンまで、バックグラウンドの多様な方々が集まりました。私たちの拙い表現の中に、何かを嗅ぎ取った方々が少なからずいらっしゃったことに感謝しています。なにより、今回の講座を無料で提供できるよう支援いただいた石橋財団、Wesleyan University、そして支援者の皆様のおかげです。誠にありがとうございます。応募者全員に受講して欲しい限りですが、授業の質と規模の関係もあり、尾竹永子さんと相談しながら運営メンバーが選考をします。結果は来週の火曜日、5/23にお知らせする予定です。

 

ちなみに応募フォームでは以下の質問に答えていただいています。

  1. 今まで自身が感動した芸術作品はなんですか?アーティストの名前と作品名、そのときの経験、どのように、なぜ、感動したのかを教えて下さい。/ What are the artworks that moved you? Could you elaborate on your experience? (how, why, etc.,)
  2. 対話という観点からできるだけ多様な参加者に参加していただきたいと考えています。年齢、仕事、経験、興味など、さしつかえない範囲でご自身のことについて書いてください。/ What could be your contribution to the diversity of the group?

昨日は本企画の支援者の1人であり、出版社に勤務する編集者の方と「リベラルアーツ(教養)」について話をしました。そもそもリベラルアーツ(教養)の目的とは何なのか?昨今の日本社会で教養の重要さが注目されるなか、こうした観点は往々にして曖昧にされ、また定型化されがちであります。ここでは青木が個人的に考えるリベラルアーツ(教養)の目的を簡潔に記したいと思います。

  1. 自己の発見。多様な学問的、芸術的手法や世界に触れることで、自分特有の感性、嗜好、思考を発見し、磨いていくためのリベラルアーツ(基準を「正しさ」から「自分」へ)
  2. 人類共同体所属意識。自分の生まれつき、育った周囲(友人、同僚、家族、地域や国)を超え、広い範囲の世界そして人類に所属して関わっていく共同体意識構築のための、リベラルアーツ(日本での「教養」だが、往々にして西洋コンプレックスを含む傾向あり)
  3. 疑い、批判する力。現在信じられ、実践されている慣習や体制を支えている前提や論理的整合性を批判、相対化させる思考法を身につけるための、リベラルアーツ(「批判的思考」や「論理的思考」として知られる)

この3つを束ねる目的として「自由」があります。人々が個人として共同体として自由になること(1人1人に内在する「自分」の発見や発達、より広く時間軸の長い世界への所属、そして既存の在り方から異なる在り方へと到る考え方)を目的とした教育、生き方がリベラルアーツの理想ではないか、と考えます。小説家のトニ・モリソンが言う自由の概念*です。この理想の基に作られ、維持されている教育機関が、私たちの学ぶ・学んだウェズリアン大学を含める、米国のリベラルアーツ・カレッジです。

 

*Toni Morrison -- 'The function of freedom is to free someone else.'

 

しかし、どの理想もそうであるように、この3点は大きな矛盾を含みます。最も問題であるのは、リベラルアーツ教育が富裕層のみが得られる特権であり(リベラルアーツ教育は往々にして高額で、すぐに実利を生み出さない教育は余裕のある人々しか受けられない)2点目にある共同体所属意識はエリート(かつ西洋主体)のそれであることです。経済的な地盤が必要となる人類共同体意識は、例えそれが人々の平等や自由を謳っても、排他的になるのは避けられません。そうした教育へのアクセスが限られているからです。アメリカの現在の状況はこうした矛盾が表面化した顕著な例であります。

 

参考:ウェズリアン大学の学長マイケル・ロスが、Wall Street Journalで示した見解には、この状況に対する自己批判が読み取れます。

 

リベラルアーツ教育の抱える課題を扱うには今回の講座も至らないものの、しかし、わたしたちが日本でこうした活動を扱うなかで米国の状況、リベラルアーツ教育そのものの批判を念頭に置くことは必要です。今回の更新ではそうした背景をお伝えできればと思いました。引き続き、応援よろしくお願いします。