リンパ浮腫の進行を抑制する治療法開発を目指す、リンパ管の研究を!

寄付総額

7,975,001

目標金額 5,000,000円

寄付者
394人
募集終了日
2023年4月14日

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プロジェクト本文

 

第二目標達成までのご寄付への御礼、第三目標への挑戦について


既に300名近くの皆様からの温かいご支援をいただき、残り1週間以上を残して第二目標金額の600万円に到達いたしました。これまで準備段階から、クラウドファンディングの情報シェアなどの広報、ご支援など、さまざまな形でこのプロジェクトを応援してくださった全ての方々にあらためて重ね重ね心より感謝申し上げます。皆様からの応援メッセージおよびご寄付も我々の研究グループに躊躇せずに研究に集中できる大きな激励になっております。誠にありがとうございました。


今回のファンディングで、想定をはるかに超える大きな反響をいただいていると感じています。あらためて感じたのは、患者様たちがいかに多く、そして長く苦しまれているかということです。この反響を受けまして、患者様やそれをサポートされている医療従事者やご家族の思いがとても大きいことを再認識致しました。さらに研究を力強く早期に進めていく必要があると感じております。


そこで、これから終了日までにいただくご寄付は、今回の研究プロジェクトをさらに加速させるための、実験補助を行ってくれる技術員の人件費に使用させていただきます。技術員の方はパートタイムで雇用され、130万程度で依頼することが多いため、研究期間の後半の一年間の人件費にファンディングの手数料を勘案して150万円を追加し、第三目標として寄付者数400名、寄付総額750万円を目指したいと考えています。

 

ただし、目標額に届かなかった場合や技術員の募集がうまく行かなかった場合は、第二目標までの研究資金を、これまでと同じように、リンパ管の研究、特にリンパ管の性質低下のメカニズム、薬物スクリーニングの研究に使用させていただきます。また、1年だけの雇用ですと、応募者側のリスクがかなりありますので、今回の研究予定期間の約2年間で、もし順調に研究が進んでいるようでしたら、再度皆様にファンディングをお願いできれば幸いです。


なお、第一目標はすでに達成しておりますので、ここからいただけるご寄付についても引き続きAll in形式となり随時ご寄付が成立します。リンパ浮腫の治療法開発へ向けて、引き続きのご寄付を賜れますと大変ありがたく存じます。


本プロジェクトは4月14日(金)23時まで続きます。引き続きリンパ浮腫の認知度向上のためにもクラウドファンディング情報の拡散に加え、ご寄付や応援のほど、何卒宜しくお願い申し上げます。

 

2023年4月6日追記

 

 

 

本研究では、先天的な要因やがん切除の際に伴うリンパ節の切除が原因となってリンパ管の機能が低下して発症しうる「リンパ浮腫」に対して、以下の基礎研究を進めてまいります。

 

✔ リンパ浮腫の原因(≒リンパ管の機能低下の原因)となりうる「リンパ管の性質低下の現象」を引き起こすメカニズムの解析(原因となる遺伝子を見つける)

 

✔ リンパ管の機能を高める(=治療薬の候補となるかもしれない)化合物の探索

 


 

リンパ浮腫の患者数は、全世界で2.5億人とも推計されています(出典1)。これまでの研究によって、リンパ管の形成メカニズムはある程度まで明らかになってきており、リンパ管を血管につないでリンパ液を循環させるリンパ浮腫の治療法も、一定の効果を上げています。

 

しかし、現行の治療法や対処療法では多くの患者さんの進行を止めることができず、「リンパ浮腫を治す」というところまではたどり着いていません。心身ともに疲弊するほどQOLが低下する人も多数いらっしゃいます。

 

 

現在進んでいる研究の資金は、科研費や民間助成団体などいくつかの財源から最低限得ることができていますが、 研究を「病気を治す」「治療薬開発につなげる」という段階まで大きく進捗させるには、まとまった一連のプロジェクトを遂行することがまず必要になり、そのための資金が必要です。

 

そこで今回、クラウドファンディングにより賛同してくださる方の支援を受けながら、治療標的となる遺伝子や薬のタネを見出していくことを目標に、クラウドファンディングに取り組むことといたしました。どうぞ皆様のご賛同とご寄付のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

 

参考:リンパ浮腫の重症度と症例

(出典2を一部翻訳)

※ 具体的な研究内容・ご寄付の使いみちについては、ページ中段の本プロジェクトの詳細についてをご覧ください。

 

リンパ管の基礎研究から、リンパ浮腫治療の課題解決への第一歩を踏み出したい!

 

初めまして、新潟大学大学院 医歯学総合研究科 薬理学分野の吉松康裕と申します。

 

本研究テーマへの入り口は、大学院修士課程修了後に渡米し、遺伝子の発現メカニズムやこれに関連したがん研究に従事したことにあります。帰国後、東京大学でがん研究を牽引している宮園研究室にて、血管・リンパ管などがんの周囲にいる細胞群の研究を進めたことが、現在の「リンパ管ができるメカニズム」の研究につながっています。

 

 

リンパ管に関する研究成果学会には、基礎研究者のみならずリンパ浮腫の治療に取り組む医師、看護師、理学療法士などに加え、患者さんの方も参加されます。

 

それらの場での、「もっと基礎的な研究レベルからの底上げがないと、リンパ浮腫の根本的な治療につながらない」との声を聴き、リンパ浮腫が非常に急務の医療課題であることを知るとともに、「我々の基礎医学からの知識と技術で、何とか治療法開発に貢献できないか」と強く意識するようになりました。

 

 

リンパ管の働きについて

 

まず、リンパ管は「からだ中を走行して体液を運ぶ管(くだ)」として、“ 血管と類似した循環器の一つ ”と多くの教科書では位置づけられています。似ている部分も多いのですが、その役割は随分と違っています。

 

末梢組織にある血管は細胞同士が強固に接着して漏れにくい構造をとっていますが、毛細リンパ管は細胞同士の接着が緩く、外圧を受けて体液(細胞間質液)が取り込まれやすい構造をしていますリンパ管の基本的な役割として、次の4つがあります。

 


A. 体液の循環

体液のほとんどは動脈によって送り出され静脈から戻りますが、余剰な水分などはリンパ液となってリンパ管から戻されるため、間接的に血液循環を一定に保っています。

 

B. 免疫細胞の交通路

リンパ節では免疫反応の場として、免疫細胞ががん細胞、ウイルス、細菌などの異物を排除しますが、これらの免疫細胞はリンパ管を通ってリンパ節に到達します。

 

C. 脂肪分の吸収

腸の乳びといわれるリンパ管から、脂肪や脂質を多く含むタンパク質複合体粒子を取り込みます。

 

D. 巨大分子(タンパク質など)や老廃物の回収

血管では吸収しきれない大きな分子や病原体を取り込み、また末梢組織から排出される不要な代謝産物(老廃物)を回収します

 

これらのリンパ管の働きが悪くなって起こる病気として、リンパ浮腫があります。

 

 

リンパ浮腫の原因や症状、患者さんの立場からの課題点

 

リンパ浮腫は、リンパ管を形作る遺伝子の先天的な変異やがんの外科手術で生じるリンパ管やリンパ節の機能低下(リンパ管の減少、切除・損傷など)により、リンパ(液)が体内の組織に漏れたり溜まったままになり、いわゆる「むくみ」がひどくなった、腕や脚に起きる病的な(異常な)むくみのことを言います。

 

 

 

リンパ浮腫について

 

リンパ浮腫の原因/日本国内における統計

 

リンパ浮腫の原因のひとつは遺伝子変異などで、先天的に浮腫になりやすい人が発症します(原発性リンパ浮腫:10万人に3人の発症率)(出典3)。発症率の男女比は女性が男性の3倍で(出典4)、治癒の難しさから難治性疾患とされていますが(出典5)、難病指定されておらず療養費のみの保険適用に限られ苦しんでいる患者さんが多数いらっしゃいます(出典6)

 

一方で、がんの外科手術後にも発症する可能性がかなりある、がんとの関連が深い病気です。腫瘍の切除によって一部のリンパ管が失われ、リンパ節にがんが転移していた場合はリンパ節も切除されます。また、放射線がん治療を伴った場合や抗がん剤の副作用で起こることもあります。

 

このようにがん治療が原因となって、リンパ管の機能が低下してしまうことがリンパ浮腫を発症する要因になります(続発性リンパ浮腫:日本ではがんサバイバーの16%が軽度以上のリンパ浮腫を経験すると推計されており、毎年14万人のリンパ浮腫患者の発生に相当)(出典7)

 

リンパ浮腫を引き起こしやすいがんは、乳がん、前立腺がん、リンパ腫、メラノーマ(悪性黒色腫)、骨盤内がん(膀胱・陰茎・精巣・子宮内膜・外陰・子宮頸がんなど)、頭頸部がんなどです(出典8)。日本でのがんの罹患が2人に1人と言われるほど増えている時代に、全く避けては通れない医療課題であることがわかります。

 


 

一般的な治療について

 

リンパ浮腫の患者さんに対して現在行われている治療は、低下したリンパ管の機能を補うためにリンパ管を静脈につなぐ方法(リンパ管静脈吻合術)、複合的治療として医療用弾性ストッキングによる圧迫療法、用手的リンパドレナージ、運動療法、スキンケアがあります(出典9)。しかし、これらは効果が限定的で、根本的な治癒にたどり着ける人はかなり限られています。

 


 

患者さんにとっての課題

 

主に腕および脚に起こりますが、むくんで膨れ上がることで通常の着衣が難しい状態になります。さらに、運動障害が起こることで、日常生活を送るために最低限行なう動作・活動(起床・移動・食事・更衣・排泄・入浴など)が難しくなり、QOLが著しく低下します。実際に、心身ともに非常に大変な負担があることが患者さんからのレポートなどからも知ることができます。

 

また、免疫力が低下して感染症のリスクが高くなっており、「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」という細菌感染による炎症を繰り返すと、浮腫の起きた脚や腕を切断することになったり、重症化した場合には命にかかわります。

 

 

本プロジェクトの詳細について

 

目標金額:500万円


研究に用いる試薬(細胞培養以外の解析実験) 190万円
リンパ管内皮細胞の購入費 50万円
細胞培養などの消耗品 91万円
データ解析の外注費用 50万円 
解析実験をサポートする人件費 31万円

クラウドファンディング手数料 88万円

 

プロジェクト実施期間:〜2025年3月までを想定しています。

 

 

本プロジェクトは前述のリンパ浮腫のうち、続発性リンパ浮腫に重きを置いて、研究を進めてまいります。続発性リンパ浮腫の治療・予防(進行の抑制)で鍵となる要因として、私が最も重要視しているのが、以下の2つです。 

 

1.リンパ管の性質低下(EndoMT)の抑制

 

リンパ管がリンパ管として機能し続けるためには、リンパ管であり続ける必要がありますが、リンパ浮腫の動物モデルでは、リンパ管の性質が低下することがわかっています(出典10)。この現象を内皮間葉移行EndoMT:エンド・エム・ティー)と言います。

 

EndoMTの実態はリンパ管内皮細胞が間葉系細胞という別の性質をもつ細胞に変化することで、コラーゲンなどが増えすぎて組織が硬くなる過程(線維化と呼びます)に関わる間葉系細胞は、さまざまな臓器の働きを悪くさせます。EndoMTはがん、動脈硬化、肺高血圧症、心弁膜症、糖尿病性腎症などさまざまな病気の悪性化に関わっており、リンパ浮腫ではまだ証明されていないものの、線維化がリンパ浮腫の悪性化の原因になっていることははっきりしています。

 

一つ目の重要因子としてEndoMTがリンパ浮腫およびその後に起きる線維化に関わっているだろうというのが私の仮説です。私は実際に皮膚のリンパ管内皮細胞でEndoMTが起こることや、そのメカニズムを明らかにしました(出典11)。ヒトの老化の過程で起こることも株式会社資生堂との共同研究で明らかにしています。

 

 

EndoMTを引き起こす有力な因子として、TGF-βが知られています。このTGF-βはリンパ浮腫モデルの線維化過程において重要な因子として働いていることが示されています(出典12)。また、TGF-βは免疫の抑制に働く制御性T細胞の分化にも関与しており免疫を抑制するので、蜂窩織炎などのリンパ浮腫に関連する感染症のリスクが上がります。

 

2.リンパ管の再生力(Prox1の活性)

 

二つ目の要因は、リンパ管がリンパ管として機能しつづけるための因子として、リンパ管が形成される時に最も重要な働きを持つProx1(プロックスワン)という遺伝子です。私はリンパ管を構成するリンパ管内皮細胞という細胞において、このProx1の役割、さらにはProx1の機能がどのように調節されているのかを明らかにしてきました。

 

リンパ管がその性質を失うのは、Prox1のタンパク質の量が減っているから、もしくはその活性が低下しているからです。リンパ浮腫の進行の過程で起きていると考えられるEndoMTでは、このProx1の量が低下していますので、それによってリンパ管としての機能が低下していると考えられます。リンパ浮腫におけるリンパ管の機能低下は、リンパ管の数が減っていることも機能低下の原因として含んでいます。Prox1の活性が上がることは、元気なリンパ管を再生して増やすことにもつながります。よって、リンパ浮腫を改善させるには、Prox1の量を回復させる、もしくは活性化させることが必要だと考えられます。

 

よって、リンパ浮腫を改善させるには、Prox1の量を回復させる、もしくは活性化させることが必要だと考えられます。これらの知見および仮説を基にして、リンパ管のEndoMTを抑制しながらProx1の活性を上げるために、研究プロジェクトを遂行します。

 

 

 

プロジェクト その1

「リンパ浮腫の悪性化の鍵となる現象(EndoMT)のメカニズムを突き止める」


 

これまでに、ヒトの献体から採取したリンパ管内皮細胞の培養によってEndoMTを起こす分化モデルを確立しています。この分化モデルを利用して、EndoMTが起こる際にリンパ管の性質低下を直接引き起こす候補となる遺伝子(群)を調べていきます。

 

タンパク質量が減る遺伝子については、それを人為的に(遺伝子操作によって)補うことでリンパ管の性質低下が抑制できるかを検討し、逆にタンパク質量が増える遺伝子については、その遺伝子の機能を人為的に抑制することでリンパ管の性質低下が抑制できるかを検討します

 

上記のリンパ管の性質低下の解析を通じて、リンパ浮腫の原因となる遺伝子の役割が明らかになると、その遺伝子に深く関連した遺伝子の機能を高めたり弱めたりして調節することでその遺伝子の機能を代替したり、抑制したりする方法が立案できます。たとえば、次のプロジェクト2に関連しますが、薬を使ってこれらを調節する方法です。すでに調節する薬がある場合には、その薬の作用を調べます。

 

プロジェクト その2

「リンパ浮腫を改善させる治療薬のタネを探す」


 

先述の通り、Prox1の活性を指標にして、リンパ管(リンパ管内皮細胞)を活性化する方法を探索します。Prox1の活性・量が増加すると、強く蛍光を発する細胞(このような細胞をレポーター細胞と呼びます)に薬の候補となる化合物を添加して蛍光の強度を調べます。リンパ管の機能を高めたり弱めたりする化合物を探索します。

 

もし強く蛍光を発する化合物が見つかれば、リンパ管の機能を高める化合物と考えられ、リンパ浮腫治療薬の候補となります。逆に蛍光が弱まってしまう化合物は、その逆の作用を示す薬がある場合にはそれが候補となります。また化合物の作用するメカニズムの解析により、作用する遺伝子が明らかになる可能性が高まりますので、リンパ浮腫の原因になる可能性のある、リンパ管における重要な遺伝子の発見にもつながるかもしれません。

 

 

 

将来への展望について

 

 このプロジェクトでリンパ浮腫に関連する遺伝子の機能の重要性を解明したら、動物モデル(マウスにリンパ浮腫をおこさせたモデル)でこれらの遺伝子の調節方法が実際有効かを検証したいと考えています。また、リンパ浮腫治療薬の候補が見つかれば、この浮腫モデルでその効果を検証したいと考えています。

 

 

本プロジェクトは、リンパ浮腫を標的とした研究ですが、老化とEndoMTが強く相関していることから、研究の結果で見出される遺伝子の調節法や候補となる治療薬は副次的に老化の抑制法の開発につながる可能性があります。実際に、株式会社資生堂との共同研究で老化抑制剤としての成分を見出しています。

 

一例として、脳神経疾患の原因としてアミロイドβの蓄積(アルツハイマー病と関連)が知られていますが、脳の硬膜にあるリンパ管がアミロイドβの排出路の一つになっていることが近年明らかになりました。リンパ管の機能が低下すると、神経炎症が悪化しさらにリンパ管の機能低下が進んで脳機能は悪化の一途をたどります。  

 

ここから予想されるのは、リンパ管はほとんど全身に張り巡らされていて各器官・各臓器の働きと密接に関わっているので、これまでわかっていなかった病気の原因にリンパ管が関わっている可能性が今後も出てくるだろうということです。

 

 

私は、今回のプロジェクトでリンパ管の機能不全のメカニズムを見つけることで、リンパ浮腫の原因となる遺伝子を見つけ、リンパ浮腫の治療につなげたいと切に感じています。ここで見つけた遺伝子は、上記に挙げたような、リンパ管の機能が関係する他の病気の原因になったり、病気の進展に影響している可能性もあります。

 

よって、今回のテーマとしているリンパ浮腫のみならず、根本的な治療法のない他の病気においても、リンパ管の研究を通じて新たな治療法の開発につながるよう、今後も研究を続けていきます。 

 

 

プロジェクトメンバーからのメッセージ/本プロジェクトへの応援メッセージ

 

瀬山 邦明 先生

順天堂大学大学院医学研究科 呼吸器内科学 客員教授

 

私は、リンパ脈管筋腫症(LAM、”ラム”と略して呼ばれます)という希少難病の患者さんの治療および研究を行っています。リンパ浮腫とは異なるリンパ管関連の難治疾患の一つですが、リンパ浮腫を合併する患者さんもおられます。


リンパ浮腫は、有効な治療薬と言えるものがなく、その治療法を開発することは、医学的に急務の課題です。吉松さんはヒトのリンパ管内皮細胞を用いて、最新の分子生物学的手法により長年解析を続けてこられました。我々もそのノウハウをご指導いただき、共同研究としてLAMの研究をサポートいただき論文として報告する成果が得られています。


近年、EndoMTはさまざまな疾患でその関与が示されており、その数は増える一方です。これは血管やリンパ管の内皮細胞がそれぞれの器官・臓器で重要な役割を持っていることと、その性質が変わると内皮細胞としての本来の役割が果たせなくなり、周囲の細胞に悪影響があることを示唆しています。このEndoMTを抑制する方法を考えていくことは、これらの疾患を改善する新規治療法になることが見込まれ、とても理にかなっていると言えます。吉松さんは特にEndoMTの解析に関してはすでに数報を発表している世界でも有数の研究者ですので、抑制法の開発に大きく貢献してくれることが期待できます。

 


 

下田 浩 先生

弘前大学大学院医学研究科 生体構造医科学講座/神経解剖・細胞組織学講座 教授

 

私は、解剖学の観点からリンパ管の発生・新生および形態形成について研究を進めている研究者です。リンパ浮腫は世界レベルで見ても患者数が極めて多いにもかかわらず、今のところ確実な治療法が確立できていないため、喫緊の医療課題だと言えます。現在も世界中でさまざまな治療法の開発が行われていますが、残念ながらまだ広く充分に患者さんに届いていないのが現状です。

 

治療法の開発が難しい疾患に対しては、がんの分子標的治療薬の例に見られるように基礎研究によって解明されたカギとなる分子に注目して治療薬を探す方法が有効です。吉松先生はこれまでリンパ管の形成に必須の遺伝子Prox1の役割について長年解析を行われており、この遺伝子に最も詳しい世界トップレベルのリンパ管研究者のお一人です。

 

この遺伝子の活性調節に注目した今回のプロジェクトは吉松先生がこれまで蓄積された基礎研究の知見に基づいており、非常に興味深く、その評価系は理論的に高い正当性をもつことから難治性リンパ浮腫の治療薬候補が見つかることが強く期待されます。

 


 

宮園 浩平 先生

東京大学大学院医学系研究科 応用病理学 卓越教授

 

難治疾患の治療法開発には、基礎研究における地道な積み上げが必要です。今回対象としているリンパ浮腫の悪性化には、TGF-βシグナルという吉松さんが長く解析対象としてきたシグナル伝達経路が関与していることがわかっています。


私は長年がんとTGF-βシグナルについて研究していますが、吉松さんは私の研究室でリンパ管やEndoMTの研究プロジェクトの開始時から中心となって参加し、大きな功績を残しました。その成果は、日本癌学会や日本リンパ学会における奨励賞という形で認められています。EndoMTについては、その後も渡部徹郎教授(現・東京医科歯科大学)の下で多数の業績をあげました。

 

吉松さんは現在は新潟大学で研究を発展させており、まさに今回のプロジェクトにおけるアプローチは彼ならではの研究であると言えます。EndoMTという新しいターゲットに挑むことは治療法の幅を広げる意味でも意義が大きいです。本プロジェクトは、吉松さんが基礎研究を積み上げて得られた結果と経験が充分に活きるものと期待できます。リンパ浮腫の基礎研究を発展させるために、皆様、ぜひ応援およびご寄付をよろしくお願い致します。

 

 

ご寄付にあたってのご注意事項

 

・本プロジェクトでは、リンパ管・リンパ浮腫に対する基礎的な研究に対して、ご寄付を活用いたします。必ずしもスケジュール通りに進行でき、想定通りの結果が得られるとは限りません。大幅な変更が生じる場合にも、新着情報などを通じてお知らせしながら、皆様のご寄付を大切に活用して関連した研究を継続いたします。

 

・ご寄付のお手続き時に「応援コメント」としていただいたメッセージは、本プロジェクトのPRのために利用させていただく場合がございます。あらかじめご了承ください。

 

・寄附金領収書及びギフト等に掲載のお名前は、「ギフトお届け先」にご登録いただいたお名前となります。ご寄附後にアカウント情報を変更した場合でも、ご寄附時に入力したお届け先の宛名と住所は変更されません(個別にご連絡いただかない限り、原則としてご寄附時に入力いただいた宛名と住所に寄附金領収書をお送りさせていただくことになります)のでご注意ください。

 

・本プロジェクトのギフトのうち、【お名前掲載】に関するギフトの条件詳細については、リンク先(https://readyfor.jp/terms_of_service#appendix)の「支援契約」の中にある「●命名権、メッセージの掲載その他これに類するリターン」をご確認ください。

 

本ページ記載における出典


1:WHO WOUND AND LYMPHOEDEMA MANAGEMENT 
2:Principles and Practice of Lymphedema Surgery, p.204, 2015を一部翻訳
3:小児慢性特定疾病情報センター
4:ACS Pharmacol Transl Sci. 2019 doi: 10.1021/acsptsci.9b00051
5:https://www.nanbyou.or.jp/entry/534
6:https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken13/dl/200327_02.pdf
7:日本皮膚科学会誌:129(9),1871-1876,2019
8:NIH National Cancer Institute
9:リンパ浮腫診療ガイドライン2014年度版
10:J Cell Sci . 2014 doi: 10.1242/jcs.137836)
11:PLOS One 2020 doi: 10.1371/journal.pone.0232356
12:Cancer Sci 2020, doi.org/10.1111/cas.14457

 

 

税制優遇について

 

新潟大学へのご寄附は、税法上の優遇措置が受けられます。ご寄附いただいた寄附金については、下記の基準により課税所得から控除されます。本学からお送りする寄附金領収書を控除明細書としてご利用いただき、確定申告によりお手続きをしてください。

 

個人からのご寄附

○所得税の優遇措置(所得税法第78条第2項第2号)

本学からお送りする「寄付金領収書」を添付して、確定申告により手続きを行ってください。

その年の寄附した寄附金が 2,000 円を超える場合、その超えた金額が当該年の所得から控除されます。ただし、寄附金の額が総所得金額等の 40%を上回る場合は、40%が限度となります。

 

○ 個人住民税(県民税・市町村税)の優遇措置
寄附をした翌年の 1月1日 現在、新潟県内にお住まいの方は、所得控除に加えて寄附した年の翌年の個人住民税 10%が軽減されます。


※新潟県以外にお住まいの方は、それぞれの都道府県・市町村により取扱いが異なりますので、お住まいの都道府県・市町村にお問合せ願います。


法人からのご寄附

(法人税法第37条第3項第2号)
寄附金の全額を損金算入することができます。
 
※詳しくは新潟大学基金のページをご覧ください。


 
寄附金領収書の発行について

寄附金領収書は、プロジェクト成立後約1か月後に、ご登録いただいたメールアドレスへ添付ファイルで送付いたします。
寄附金領収書の日付は、プロジェクト成立後の2023年4月の日付になります。

 

【重要】

ご寄付の際の送付先ご住所の入力についての注意事項

送付先ご住所の入力については個人の方であればお住まいの住所、法人の方であれば所在地住所をご記入下さい。(領収書発行にあたって、お住まいご住所・所在地が必須となりますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。)

 

※確定申告の際は、ご本名と現住所(住民票に記載のご住所)、法人様の場合は登記簿上の名称とご住所での領収書が必要となりますので、ご注意ください。

 

プロジェクト実行責任者:
吉松 康裕(新潟大学大学院医歯学総合研究科 薬理学分野)
プロジェクト実施完了日:
2025年3月31日

プロジェクト概要と集めた資金の使途

リンパ管の形成・維持のメカニズムの解明に向けて主にリンパ管内皮細胞を用いて研究を行い、この研究に関係する試薬代、データ解析費、解析機器の維持費、人件費などに使用します。

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プロフィール

佐賀県唐津市出身/1994年 佐賀県私立弘学館高校卒/ 1999年 東京大学 農学部卒/ 2001年 東京大学 大学院農学生命科学研究科修了(農学修士)/ 2001年 Oregon Health & Science University 研究留学/ 2010年 東京大学 大学院医学系研究科修了(医学博士)/ 2010年 東京大学 大学院医学系研究科 博士研究員/ 2014年 東京薬科大学 生命科学部 博士研究員⇒助教/ 2016年 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科(歯系)助教⇒講師/ 2019年 新潟大学 大学院医歯学総合研究科(医系)薬理学分野                                                     受賞歴:日本血管生物医学会若手研究者優秀賞(2013)・日本癌学会奨励賞 (2014)・日本リンパ学会 西賞(2018)

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ギフト

3,000+システム利用料


alt

A:3千円 リンパ浮腫の基礎研究をさらに加速させるために

● 寄附金領収書
● 感謝のメール
● 新潟大学HPに寄附者一覧としてお名前を掲載(希望者のみ)

※寄附金領収書は、プロジェクト成立後約1か月後に送付いたします。寄附金領収書の日付は、プロジェクト成立後の2023年4月の日付になります。

寄付者
125人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2023年6月

10,000+システム利用料


alt

B:1万円 リンパ浮腫の基礎研究をさらに加速させるために

● 寄附金領収書
● 感謝のメール
● 研究報告書(PDF/約1年後および2年後の予定)
● 研究報告書にお名前掲載(希望者のみ・ニックネーム可)
● 新潟大学HPに寄附者一覧としてお名前を掲載(希望者のみ)

※寄附金領収書は、プロジェクト成立後約1か月後に送付いたします。寄附金領収書の日付は、プロジェクト成立後の2023年4月の日付になります。

寄付者
122人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2025年5月

30,000+システム利用料


alt

C:3万円 リンパ浮腫の基礎研究をさらに加速させるために

● 寄附金領収書
● 感謝のメール
● 研究報告書(PDF/約1年後および2年後の予定)
● 研究報告書にお名前掲載(希望者のみ・ニックネーム可)
● オンライン講演会
● 新潟大学HPに寄附者一覧としてお名前を掲載(希望者のみ)

※寄附金領収書は、プロジェクト成立後約1か月後に送付いたします。寄附金領収書の日付は、プロジェクト成立後の2023年4月の日付になります。

※オンライン講演会は、「リンパ管の形成メカニズムとリンパ浮腫」をテーマに、「研究の進捗内容の報告」と合わせて2025年4月〜5月に実施予定です。開催のご希望が多い場合には、2024年にも行います。詳細はクラウドファンディング終了後、2023年6月ごろにご案内いたします。

寄付者
19人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2025年5月

50,000+システム利用料


alt

D:5万円 リンパ浮腫の基礎研究をさらに加速させるために

● 寄附金領収書
● 感謝のメール
● 研究報告書(PDF/約1年後および2年後の予定)
● 研究報告書にお名前掲載(希望者のみ・ニックネーム可)
● オンライン講演会
● 新潟大学HPに寄附者一覧としてお名前を掲載(希望者のみ)

※寄附金領収書は、プロジェクト成立後約1か月後に送付いたします。寄附金領収書の日付は、プロジェクト成立後の2023年4月の日付になります。

※オンライン講演会は、「リンパ管の形成メカニズムとリンパ浮腫」をテーマに、「研究の進捗内容の報告」と合わせて2025年4月〜5月に実施予定です。開催のご希望が多い場合には、2024年にも行います。詳細はクラウドファンディング終了後、2023年6月ごろにご案内いたします。

寄付者
9人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2025年5月

100,000+システム利用料


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E:10万円 リンパ浮腫の基礎研究をさらに加速させるために

● 寄附金領収書
● 感謝のメール
● 研究報告書(PDF/約1年後および2年後の予定)
● 研究報告書にお名前掲載(希望者のみ・ニックネーム可)
● オンライン講演会
● 新潟大学HPに寄附者一覧としてお名前を掲載(希望者のみ)
● 新潟大学五十嵐キャンパス内の中央図書館内に設置した電子芳名板に掲載、感謝状贈呈(個人、希望者のみ)

※寄附金領収書は、プロジェクト成立後約1か月後に送付いたします。寄附金領収書の日付は、プロジェクト成立後の2023年4月の日付になります。

※オンライン講演会は、「リンパ管の形成メカニズムとリンパ浮腫」をテーマに、「研究の進捗内容の報告」と合わせて2025年4月〜5月に実施予定です。開催のご希望が多い場合には、2024年にも行います。詳細はクラウドファンディング終了後、2023年6月ごろにご案内いたします。

寄付者
14人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2025年5月

300,000+システム利用料


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F:30万円 リンパ浮腫の基礎研究をさらに加速させるために

● 寄附金領収書
● 感謝のメール
● 研究報告書(PDF/約1年後および2年後の予定)
● 研究報告書にお名前掲載(希望者のみ・ニックネーム可)
● オンライン講演会
● 新潟大学HPに寄附者一覧としてお名前を掲載(希望者のみ)
● 新潟大学五十嵐キャンパス内の中央図書館内に設置した電子芳名板に掲載、感謝状贈呈(個人、希望者のみ)

※寄附金領収書は、プロジェクト成立後約1か月後に送付いたします。寄附金領収書の日付は、プロジェクト成立後の2023年4月の日付になります。

※オンライン講演会は、「リンパ管の形成メカニズムとリンパ浮腫」をテーマに、「研究の進捗内容の報告」と合わせて2025年4月〜5月に実施予定です。開催のご希望が多い場合には、2024年にも行います。詳細はクラウドファンディング終了後、2023年6月ごろにご案内いたします。

寄付者
3人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2025年5月

500,000+システム利用料


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G:50万円 リンパ浮腫の基礎研究をさらに加速させるために

● 寄附金領収書
● 感謝のメール
● 研究報告書(PDF/約1年後および2年後の予定)
● 研究報告書にお名前掲載(希望者のみ・ニックネーム可)
● オンライン講演会
● 新潟大学HPに寄附者一覧としてお名前を掲載(希望者のみ)
● 新潟大学五十嵐キャンパス内の中央図書館内に設置した電子芳名板に掲示、感謝状贈呈(個人・法人、希望者のみ)
● 記念品の贈呈(個人、希望者のみ)

※寄附金領収書は、プロジェクト成立後約1か月後に送付いたします。寄附金領収書の日付は、プロジェクト成立後の2023年4月の日付になります。

※オンライン講演会は、「リンパ管の形成メカニズムとリンパ浮腫」をテーマに、「研究の進捗内容の報告」と合わせて2025年4月〜5月に実施予定です。開催のご希望が多い場合には、2024年にも行います。詳細はクラウドファンディング終了後、2023年6月ごろにご案内いたします。

寄付者
1人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2025年5月

1,000,000+システム利用料


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H:100万円 リンパ浮腫の基礎研究をさらに加速させるために

● 寄附金領収書
● 感謝のメール
● 研究報告書(PDF/約1年後および2年後の予定)
● 研究報告書にお名前掲載(希望者のみ・ニックネーム可)
● オンライン講演会
● 新潟大学HPに寄附者一覧としてお名前を掲載(希望者のみ)
● 新潟大学五十嵐キャンパス内の中央図書館内に設置した電子芳名板に掲示、感謝状贈呈(個人・法人、希望者のみ)
● 記念品の贈呈(個人、希望者のみ)

※寄附金領収書は、プロジェクト成立後約1か月後に送付いたします。寄附金領収書の日付は、プロジェクト成立後の2023年4月の日付になります。

※オンライン講演会は、「リンパ管の形成メカニズムとリンパ浮腫」をテーマに、「研究の進捗内容の報告」と合わせて2025年4月〜5月に実施予定です。開催のご希望が多い場合には、2024年にも行います。詳細はクラウドファンディング終了後、2023年6月ごろにご案内いたします。

寄付者
1人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2025年5月

プロフィール

佐賀県唐津市出身/1994年 佐賀県私立弘学館高校卒/ 1999年 東京大学 農学部卒/ 2001年 東京大学 大学院農学生命科学研究科修了(農学修士)/ 2001年 Oregon Health & Science University 研究留学/ 2010年 東京大学 大学院医学系研究科修了(医学博士)/ 2010年 東京大学 大学院医学系研究科 博士研究員/ 2014年 東京薬科大学 生命科学部 博士研究員⇒助教/ 2016年 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科(歯系)助教⇒講師/ 2019年 新潟大学 大学院医歯学総合研究科(医系)薬理学分野                                                     受賞歴:日本血管生物医学会若手研究者優秀賞(2013)・日本癌学会奨励賞 (2014)・日本リンパ学会 西賞(2018)

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