「知らないことを知ることで、世界は広がる」 18年前のある出来事で、私はそう感じた。

 

当時、オーストラリアに滞在していた私は、オーストラリアのシドニーで年に1回開催される「マルディグラ」のパレードを撮影することになった。

 

マルディグラとは、ゲイ・レズビアン中心(当時)の祭典で、かっこよかったりきらびやかな衣装を着て、街を練り歩く大パレード。

世界中から数十万人の観客も訪れる。

最初、撮影しようとカメラを向けてはみたものの、自身の気持ちに迷いがあった。

それは、自分のこれまでの価値観と目の前の出来事とに乖離が起きて頭の中の整理がつかない状態だった。

 

ゲイ・レズビアンの人たちは、今まで自分の周りにいたハズなのだが、よくは知らなかった。

なので、漠然とした勝手な先入観を持っていたことに気づかされた。先入観とは、マスメディアなどから入ってきた排除感や抵抗感に近い感情だったと思う。

 

パレードを見ていくと、行進する人たちの表現が、カッコいいのだ。

衣装、表情、動きの全てで“表現する”というエネルギーに満ち溢れていた。

強いエネルギーを撮りたいというカメラマンの本能は抑えられず、気がつくと無我夢中でシャッターを切り続けていた。

 

パレードが終わって休憩中の出演者たちにまでカメラを向けていた。

みんな素敵な表情で快く応えてくれたのも印象的だった。

 

「一緒やん!」

 

マルディグラ終了後、そう思った。

出演者の表現が心にストレートに入ってきたからだろう。

 

映画「私はワタシ」は、私がマルディグラで経験したような出来事を、凝縮したような映像で体感できる、そして自分の世界が広がるチャンスだと思います。

 

写真家 越智貴雄(おち・たかお)

1979年大阪生まれ。大阪芸術大学芸術学部写真学科卒業。2000年からパラリンピック撮影に携わり「カンパラプレス」を立ち上げる。2012年パラリンピックアスリートの競技資金集めの為の「写真カレンダー」を発売。2013年東京オリンピックパラリンピック招致の最終プレゼンテーションで使用された「跳躍写真」が話題となる。2014年、写真集「切断ヴィーナス」を出版。2017年、寝たきりお笑い芸人の写真集「寝た集」を出版。義足のファッションショーや写真展等のイベントも多数開催している。