MRIに映らない脳損傷を知って欲しい　書籍出版プロジェクト

　上の写真は、2007年に東北大学の杉山 謙医師が、MTBIの診断に使ったファイバークロマトグラフィーの画像です。交通事故で脳損傷を起こした被災者（右側の画像）と健常者（左側あ画像）を並べて示したものです。

　上の2段の画像は、脳梁という脳の左右の半球の真ん中を通る神経線維の集合体です。左右の脳を結合する交連繊維を示しています。

　上から３段目の画像は、脳弓という海馬と呼ばれる記憶を司る部位と大脳皮質への経路を結ぶ「記憶の通路」を形成する神経線維の束を示しています。

　この画像を見ると、脳損傷の患者では、神経線維が大きく損傷してているのが、一目瞭然です。　

　特に脳弓は、損傷が著しいことがわかります。

　この画像診断で、MTBIの患者の記憶障害が裏付けられます。

　しかし、従来のMRIでは、この神経線維の損傷を画像化できないので正常と判定され、正当な補償や治療が受けられないという現実があります。
　それでは、こうした優れた画像が、なぜ認められないのでしょうか?
　それは、この技術が、手術に携わる脳外科に知られているだけで、一般市民、息者、整形外科の医師などには、ほとんど知られていないことが挙げられます。
　私たちは、MTBIの息者の方全員にファイバートラクトグラフイーを撮影していますが、息者の方は初めてこの画像技術を聞いたと話されます。医師の間でもほとんど知られていません。
　したがって、MTBIがこの画像技術で見える化できることを周知させることから始めなければいけません。
　この本は、MTBIの実態を目に見える形で画像化できることを広く知らせるという大切な目標があります。

　皆様のご協力をよろしく願います。　　　　　　　　　　　　　　　　　（おわり）