MRIに映らない脳損傷を知って欲しい　書籍出版プロジェクト

MRIに映らなくてもファイバートラクトグラフィーには、MTBIの患部が映る

今回の出版の目的は、

1)　むち打ちには、頚部の損傷だけでなく、MTBIと いう脳損傷が併発することがあること。

2)　その脳損傷は、従来のMRI画像には映らないこと。

3)　これを映すことができる新しい画像技術として、脳の神経経線維を映すファイバートラクトグ　　

　ラフイーや脳血流を映すSPECTという技術があること。

出版する本では、この画像技術について詳しく触れています。

 フアイバートラクトグラフィーの原理について

 フアイバートラクトグラフイーは、2002年ころから、普及した新しい画像技術で、2006年 ころから、脳腫瘍 などの手術前の診断に一般 的に使用されている方法です。通常のMRIの装置を使って、脳の水分子に磁場をかけて、その水分子の動きをコンピュータで画像化する方法です。 この画像技術では、通常顕微鏡でしか見ることができない数ミクロンの直径しかない脳の神経線維の束を、磁場をかけた水分子の動きを画像に利用することで、描出することができます。まさに生きたままで脳の神経線維を顕微鏡でのぞけるのです。

 この画像を利用する脳外科の医師の言葉を借りると、「この画像技術が使える前は、手探りで手術してきたが、この画像技術による正確に正常な神経線維を避ける手術方法を確認できる。」と述べています。まさに、手術の方法を変える画像技術です。

 このように、現役の脳外科の医師が高く評価する画像画像技術を、MTBIの脳損傷の画像化に活用するものです。

 生体の脳の軸索線維の走行の画像化は、脳の軸索線維の損傷などの疾患の診断に不可欠のものです。

 し かし、従来のMRIでは、脳挫傷などの肉限レベルの大きな損傷しか画像化できず、ミクロン単位の微細な軸索線維は、死後脳を解剖して軸索線維を顕微鏡で見る方法しかありませんでした。そのため長い間、生体での脳の軸索線維の走行の画像化が望まれていました。これが可能になると、生体脳での疾息の診断精度が驚異的に高まるからです。

 ファイバートラクトグラフイーは、生体脳での軸索線維を画像化できる画期的な方法です。これが開発され、商用化された2002年 頃から、これを使用した研究論文が見られるようになりました。私の母校の広島大学医学部でも、2006年 には、脳腫瘍やてんかんの脳外科の術前診断にファイバートラクトグラフイーが使用されはじめ、現在では、脳外科の術前診断に不可欠な画像として日常的に使用されています。

 そしてMTBIの診断にも、2007年の東北大学リハビリ科の杉山 謙医師らの論文でも、ファイバートラクトグラフイーが使用され、有用であることが報告されています。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（つづく）