西方音楽館友の会第90回~第95回コンサートの報告
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お陰様で、目標額の100万円を超え、1,218,000円ご支援いただき、第7回西方音楽祭(第90回、第91回、第92回、第93回コンサート)、及びJ.S.バッハ ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ全曲演奏会シリーズ(第94回、第95回)すべて、無事終了いたしました。
第7回西方音楽祭
●第90回コンサート
オープニングコンサート 3月26日
宇都宮短期大学音楽科の将来有望な学生による、若さあふれるはつらつとしたコンサートをお楽しみいただきました。
●第91回コンサート
尾高惇忠メモリアルコンサート 4月3日
堀江真理子(ピアノ)、武田忠善(クラリネット)、宮田大(チェロ)、浦壁信二(ピアノ:連弾)という、実力ある錚々たる演奏家により、昨年お亡くなりになった尾高惇忠氏の作品の魅力を余すところなく伝えていただきました。
●第92回コンサート
山本楓 オーボエリサイタル 4月10日
~オーボエ、オーボエ・ダモーレ、ピアノで奏でる愛の旋律~
今後の活躍がますます期待できる若きオーボエ奏者山本楓さんの美しい調べに、聴きにいらした皆様、酔いしれました。田村友美さんの伴奏&ソロも、素敵でした。
●第93回コンサート
国際古楽コンクール<山梨>入賞記念コンサート 4月16日
昨年国際テレマンコンクールでも、見事第2位を受賞なさった井上玲氏の表現力豊かなリコーダーの演奏に加え、若き実力者中川岳氏の通奏低音及びソロの演奏も聴きごたえたっぷりでした。
J.S.バッハ ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ全曲演奏会シリーズ
●第94回コンサート シリーズ第1回 6月18日
●第95回コンサート シリーズ第2回 8月21日
日本全国、アンサンブルで大活躍の廣海史帆さんですが、独奏の腕もなかなかなもので、J.S.バッハの美しく深遠な世界を、時に繊細に、時におおらかに、時に深く心に染み入るように演奏し、聴きにいらした皆様を魅了しました。中川岳さんのチェンバロは、廣海さんの描くJ.S.バッハの世界を、しっかりと支え、またチェンバロ独奏も、実に美しく、深く、やはり皆様を魅了しました。加えて、第93回コンサートでも使用したラブレッシュ・チェンバロをこのコンサートでも用いて、その味わい深い美しい音色は、一層J.S.バッハの世界に適った音楽を響かせました。
●第90回コンサート
●第91回コンサート
●第92回コンサート
●第93回コンサート
●第94回&第95回コンサート
●第90回コンサート
会員の感想
西方音楽祭オープニングは、宇都宮短期大学音楽科学生によるコンサートでした。
学生さんにとっては、慣れないであろうサロン形式の演奏会、客席も近いので緊張も更に増しているところ、益子徹先生のユーモアを交えた司会と曲解説に学生さんも、気持ちが和み、のびのび演奏できた様子でした。
ピアノの高津戸来瞳さん、この日は大活躍で、益子徹氏との連弾では対等に演奏、歌の伴奏ではソリストを引き立てる演奏、そしてソロでショパンを弾くこなすマルチな奏者。
ソプラノの日橋希さんは、笑顔が印象的でスター性があり、感性豊かなセンスの良さを感じる演奏。
そして、ソロで聴くのは珍しいチューバ演奏、真喜志右京さんは、お話がとても上手で、そこからの演奏も聴衆を惹きつける高い技術力の持ち主。
奏者は全員1年生とのこと、学生さんにとっては貴重な演奏経験になった事でしょう。
フレッシュな音楽に触れ、心が洗われたような思いでした。
●第91回コンサート
会員の感想
冬に逆戻りしたかのような寒さの、4月の最初の日曜日。
この日のコンサートは、実力派の奏者たちが作曲家「尾高惇忠」の作品だけを演奏し、追悼するというもの。
この作曲家の名前は知っていても、作品やそれらの特徴までは心得ていない私には、思わぬ宝物を発見したかのようなコンサートだった。
一曲目のピアノソロ「ラプソディー」は、強い緊張感が終始続いていたのに対し、次の曲「童話の国」は、まるで物語が見えてくるかのような音楽である。和音が美しく移ろう様子が、ストーリーの展開を表しているようであった。「音の海から」では、時折ドビュッシーを聴いているような錯覚を覚えた。日本から見た、日本人の想い描くパリの様子が表現されていたのかもしれない。
一方で、薄靄の中をさまよっているかのような、何とも抽象的な「クラリネットとピアノのための幻想曲」、本当に心を無にさせられる、独奏チェロのための「瞑想」、そして、こちらもストーリー性があり、壮大なフィナーレを飾るピアノ連弾「音の旅」と、編成もスタイルも様々な作品たちを、無駄の一つもなく真髄を表現される見事な演奏、そして興味深いエピソードも交えた解説とで、本当に素晴らしいとても贅沢なコンサートを聴くことができたと思う。
●第92回コンサート
会員の感想
オーボエの第1音から、音色のあまりの美しさにまずは驚きました。そして、歌うようなオーボエ。いや、これはオーボエで奏でる歌なのだ、と思いました。心のひだに寄り添うように、繊細に歌い、それでいて、伸びやかに、艶やかに、ふくよかに鳴り響きます。オーボエ・ダモーレは、愛のオーボエの名のごとく、一層柔らかな音で歌っていました。オーボエが、これほど微に入り細に入り、美しく歌える楽器だったとは!!!私にとって、初めての体験でした。
この度は「愛」をテーマにプログラムを組んだとのこと。どの作品も、心からの熱い想いに溢れていましたが、中でも最後に演奏されたクララ・シューマンの作品「ヴァイオリンとピアノのための3つのロマンスOp.22」は、ロベルト・シューマンからクリスマスにプレゼントされた作品をモデルに作曲されたとのこと。その後、アンコールで演奏されたロベルト・シューマンのあまりにも美しい「夕べの歌」を聴いていると、2人の愛の確かさ、深さに、自ずと想いが及んでしまいました。
ピアノの田村友美さんによるリスト作曲「愛の夢 3番」も、ダイナミックの幅が大変広く弱音から大きく鳴り響くフォルテまで、音のコントロールがとても上手で、尚且つ音楽の構築力も見事で、美しく感動的な演奏でした。
山本楓さんは、第88回日本音楽コンクール第1位。ソリストとして、オーケーストラの1員として、今後の活躍がますます期待できます。余談ですが、宇都宮女子高出身、私の後輩であることが、またうれしく・・・。
●第93回コンサート
会員の感想
私事で大変恐縮だが、多分小学校に入って間もない頃に、ミカラ・ペトリのリコーダーとチェンバロのCDを聴いたことが妙に記憶に残っている。というか、おそらく最も古い音楽にまつわる記憶だと思う。父が図書館からランダムに借りてくるCDの中にたまたまあって、曲目も覚えていないという朧げな記憶なのだが、どことなくもの哀し気なリコーダーと、哀しみを掻き立てるようなチェンバロの音色に、未だ知り得ない感情が秘められているような気がして、何となく、もう一度そのCD借りて欲しいなどと言えなかったのであった。そのような思い出に手繰り寄せられてか、何の知識もないにもかかわらず、井上さんと中川さんのコンサートに伺った。
その実、結局私は演奏曲目を一つも知らなかったのである。しかし、お二人の手による親切なプログラムノートや、井上さんのお話に助けられ、作品の背景を理解しつつ全ての作品を楽しんできた。井上さんのリコーダーはとても伸びやかで温かく、一つ一つのフレーズが語りかけてくるようで、とても心地よく聴き入ってしまう。中川さんのチェンバロは、アンサンブルの妙味とはこういうことか、と私にも気づかせてくれるような的確さを持ち、いつまでも聴いていたいと思ってしまう。心地よさに熟練の奏者をイメージするのだが、曲の終わりになってようやく、お二人がとても若い方だとハタと思い出すのであった。
この日は、横田誠三さんが制作なさった新しいチェンバロを、初めて演奏会でお披露目する、という記念すべき日でもあり、横田さんのお話もお聞きすることができた。楽器製作者に会える、ということも私にとっては新鮮なことで、さらに豊かな時間を過ごした。
どうしても日々の生活は慌ただしくなりがちで、雑多な日常の中に埋没してしまいそうになることがある。しかし、このコンサートに来て、ゆっくりと呼吸ができるような時間を持ててよかった、と心から思う。この日のコンサートが、新しい幸せな音楽の記憶として、私の中で温かく息づいていく予感がしている。
●第94回および第95回
会員の感想
知性と感性と思慮深さを供えた廣海史帆さんと中川岳さんが、真摯にJ.S.バッハの作品に向かい、深い所から繙き引き出された音楽が、西方音楽館「木洩れ陽ホール」に、美しく、時に繊細に、時に大胆に、響き渡り、深い感動で聴きにいらした方々の心を満たしました。第93回コンサートで使用しました横田誠三製作ラブレッシュ・チェンバロを、このシリーズでも使用し、その深くも美しい音色は、一層J.S.バッハに相応しい音楽を彫り刻みました。
収支報告
収入
クラウドファンディング ご支援額 1,218,000円
コンサート入場料収入 534,400円
収入合計 1,752,400円
支出
クラウドファンディングにかかる支出 451,776円
(録音・CD制作代、READYFOR への支払い、他リターンに関する支出)
コンサート支出 1,436,449円
(演奏謝礼、交通費、楽器使用料、会場費ほか)
支出合計 1,888,225円
収入-支出=-135,825円・・・西方音楽館友の会資金で補てん
西方音楽館友の会では、これからも出来る限り質の高いコンサートの開催を続けてまいります。どうぞ、今後ともよろしくお願いいたします。
西方音楽館のホームぺージ http://wmusic.jp を、時折ご覧ください。