規定の上では産休・育休を取れることになっていても、「出産するなら退職せよ」という対応をする保育施設もある。「女性は結婚したら家庭に入るのが一番」「子育て中はお子さんと一緒にいてあげなさい」など、一見もっともなことを言われることも少なくない。聞こえのいい言葉が、「結婚を機に辞めてくれ」という厄介払いに使われることも。使えない保育者はそうやって自主退職に持っていき、本当に辞められると困る職員にはできるだけ結婚もさせないというように、対応を使いわける園長もいる。

 

 産休・育休が職場に認められず、妊娠を機に退職せざるを得なくなる保育者も少なくない。年度中に休職、退職があっては困るということで、就職に際して「妊娠等、絶対にしません」という「念書」を書かされたというケースを筆者は知っている。労働法に違反するし、明らかな人権侵害である。

 

 たしかに、規模の小さな保育施設では保育者のやりくりが大変である。年度中に保育者が休職、退職するとなると、次の保育者を探さざるを得ないが、簡単に見つからないことも少なくない。筆者は妊娠や結婚の報告をするのに、申し訳なさそうにやってくる保育者の姿を何度も見ている。もちろん責任感によるものとは思うが、嬉しい報告を職場仲間にするのに、なぜそこまで恐縮しなければならないのかと違和感を覚えたものだ。

 

 「結婚や妊娠の報告は年度末に合わせてするものだ」と公然と話すパワハラ的な園長もいる。その倫理観を内面化してしまっている保育者も少なくない。そんな都合のいい話があるものか。職員に子どもが生まれることをともに喜べないような園で、心をくだいた0歳児保育ができるとは、とても思えない。

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