支援総額
目標金額 1,200,000円
- 支援者
- 152人
- 募集終了日
- 2015年12月8日
【福島沿岸部の記憶2】月命日の大熊町に想う(2015.10.11.)
福島第一原発が立地する、福島県大熊町。
原発の南約3kmの海沿いに位置する熊川地区を見下ろす丘の上に、小さなお地蔵さんがあります。
にっこりと微笑む、愛らしいお地蔵さんは、震災後、ある一人の女の子のために建立されたものです。
その丘から見下ろす熊川地区は、4年7ヶ月前のあの日、津波にさらわれ、そして放射能に汚染され、「帰還困難区域」となりました。
< 2015年10月11日 福島県大熊町での取材より>
10月11日。
時折、小雨が降る曇り空を見上げながら、防護服に身を包んだ一行が向かったのは、福島県大熊町です。
総勢20人が車4台に分乗し、許可証を提示しなければ通ることが出来ない検問を抜け、バリケードに閉ざされた「帰還困難区域」へ。
その先頭を行くのが、大熊町の住民の木村紀夫さんです。
海岸から目と鼻の先だった木村さんの自宅は、2011年3月11日の津波で跡形もなく流されました。
木村さんは、震災後に移住した長野県から、福島県大熊町の自宅跡に足を運ぶため、毎回許可を得て「一時帰宅」をしています。
その最大の理由は、津波で行方不明となった娘の汐凪(ゆうな)ちゃん(当時7歳、小学1年生)の捜索をするためです。
—「捜しつづけることで、繋がっていられる。」
そう言って、突然いなくなった娘の、その存在を確かめるように、誰もいない大熊町に足を運び続ける日々を送る木村さん。
震災後、年間に許可される立入り回数は徐々に増えたものの、現在は年に30回。
一回につき5時間の滞在しか許されません。
木村さんの自宅跡から、歩いて数分。
かつては海水浴場として賑わった海岸の目の前に、人の背丈の何倍もの高さに積み上げられた、瓦礫の山があります。
そこには、津波に呑み込まれ、破壊されたあらゆるものが混在した状態で集められ、そのまま放置されています。
民家の資材と思われる大きな木材や鉄骨、生活感の残る日用品や洋服、折れ曲がったガードレールや標識。
様々な材質の、元の原型を留めないモノたちは、津波の威力を見せつけるように、その姿を留めています。
この瓦礫の山の中から、木村さんの大切な家族の遺留品が、いまでも数多く見つかっているのです。
行方不明の汐凪ちゃんの、名前入りの体操着やぬいぐるみ。
そして、同じく津波で亡くなった木村さんの妻・深雪さんの帽子やジャケット。
どれも、木村さんにとって思い出深い、大切な品々です。
木村さんをはじめ、捜索に参加する人たちの心にある、一つの願い。
—「もしかしたら、汐凪ちゃんもそこにいるかもしれない。」
その、かすかな希望を、この瓦礫の山に向き合う時の支えとしてきました。
大熊町で、津波の行方不明者は汐凪ちゃん、ただ一人。
「帰還困難区域」となり、人っ子ひとりいない町で、見つからないままの汐凪ちゃんを想い、父・紀夫さんが建てたのが、小さなお地蔵さんでした。
ー「汐凪が、ひとりで寂しくないように。」
捜し出してあげられる、その日まで、娘のそばにして欲しいと、そんな想いをお地蔵さんに託しました。
しかし、木村さん達の捜索方法は、非常に限られています。
一人一人がスコップを手に、少しづつ瓦礫を崩し、積もった土を掘り進め、丁寧に手作業で泥を落としていく、まさに気の遠くなるような地道な方法です。
一生かかっても終わらないとさえ思えるような、巨大な瓦礫の山を前に、そんな作業を、ただ黙々と続ける。
ー「捜す人がいなければ、見つかる可能性はゼロ。」
それは、木村さんに共感し、大熊町に同行して捜索を手伝うようになった、南相馬市の上野敬幸さんの言葉です。
上野さんもまた、津波で家族4人を亡くしています。
そのうち、父と息子の倖太郎くん(当時3歳)は、まだ行方不明のままです。
「見つかるか、見つからないか?」ではなく、
「やるか、やらないか?」
そこには、子どもを亡くした親として、遺された家族としてー。
自分が生きる意味を問い続けた人間の、揺るがない「覚悟」が込められています。
震災から、4年7ヶ月を迎えた2015年10月11日。
月命日であるこの日は、津波に見舞われた東北沿岸部の各地で、警察・消防による一斉捜索が行われています。
大熊町熊川地区でも、地元の消防団が中心となり、この日捜索が行われました。
そして、そこには、大型のシャベルカーがありました。
木村さんが、何度も大熊町に要望してきたものの、叶わなかった重機による捜索が、消防団から町への一度の要請で実現したのです。
さらに今回は初めて、一斉捜索にあたる町側の消防団と、木村さん側のボランティアが、一緒に捜索を行うこととなりました。
ひとりの住民が助けを求めている中での、行政の対応ー。
少しだけ敷居を低くして頂けたのなら、このような協力も、もっと早く実現できたかもしれないと思わずにはいられません。
ーこれが、震災から丸4年7ヶ月を迎えた、大熊町の一つの「現実」です。
リターン
3,000円
【最新の取材情報お届けコース】
・お礼メール
・最新の福島取材と制作状況の情報提供
- 支援者
- 62人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2016年1月
10,000円
【上映会へご招待コース】
3000円の引換券に加え
・上映会へのペア招待状
・「福島の津波」を伝えるメッセージカード
- 支援者
- 50人
- 在庫数
- 12
- 発送完了予定月
- 2016年1月
30,000円
【DVDお届けコース】
10,000円の引換券に加え
・エンドロールへの名前掲載
・完成したドキュメンタリーDVD
・福島の復興支援団体「福興浜団」タオル
- 支援者
- 19人
- 在庫数
- -5
- 発送完了予定月
- 2016年5月
30,000円
【菜種油お届けコース】
1万円の引換券に加え
・エンドロールの名前掲載
・完成したドキュメンタリーDVD
・福島県南相馬の菜の花畑生まれ、菜種油『油菜ちゃん』270g
- 支援者
- 17人
- 在庫数
- 2
- 発送完了予定月
- 2016年5月
30,000円
【11月27日 追加コース!】
1万円の引換券に加え
・エンドロールの名前掲載
・完成したドキュメンタリーDVD
・福島県南相馬の菜の花畑生まれ、マヨネーズ『油菜ちゃんマヨ』170g入り、1個
- 支援者
- 1人
- 在庫数
- 19
- 発送完了予定月
- 2016年5月
100,000円
【あなたの街で上映会コース】
30,000円の引換券に加え
・完成したドキュメンタリーの上映会開催権
・福島の復興支援団体「福興浜団」Tシャツ
- 支援者
- 4人
- 在庫数
- 1
- 発送完了予定月
- 2016年5月