【第10弾】プロジェクトのご報告
お早うございます。松竹大谷図書館の武藤です。
昨秋、皆様から多くのご支援を頂いた当プロジェクト「【第10弾】歌舞伎や映画、フィルムがつないだ記憶を遺す。」を実行してから早くも半年が経ちました。改めて皆様の厚いご支援に心より感謝申し上げます。おかげ様で、ご支援により進めた【映画フィルムの状態・内容調査とフィルム缶の入れ替え】については、予定していた作業を全て完了する事が出来ました。今後は、今回の調査結果を基準の一つとして、順番に【映画フィルム】のメンテナンスを進めていきたいと思います。
【映画フィルム】のメンテナンスやデジタル化については、引き続きこの【第10弾】の新着情報で進捗をご報告してまいりますが、ここで現在までの当プロジェクトのまとめをご報告致します。
■支援金の使途について■
皆さまから頂いたご支援総額312万円6千円は以下のように使用させて頂きました。
≪ 92本の映画フィルムの状態・内容調査・缶入替費 ≫ 予算63万円⇒109万8千円
状態調査・缶入れ替え費 623,370円
プレスキャン費 473,880円
計 1,097,250円
≪ 2021年度運営費 ≫ 予算187万円⇒202万8千円
電動書架1ブロックモーター交換費 1,499,300円
クラウドファンディング利用料 481,404円
消耗品費(水害対策用備品) 48,046円
計 2,028,750円
合計 3,126,000円
■リターンについて■
ご支援へのお礼であるリターンに関しては、文庫本カバーの発送やお名入れなどの各作業を完了しております。
○サンクスメール(2021年10月30日完了)
○4月報告書の送付(2022年4月28日完了)
○支援者のお名前の掲載(2021年12月27日完了)
【支援者のお名前を、松竹大谷図書館HPに掲載いたしました】2021年12月27日
○文庫本カバーの発送(2021年12月10日完了)
【文庫本カバー発送/ニューズレター12月号/支援金入金ご報告】2021年12月10日
○台本カバーへのお名入れ(2022年4月25日完了)
【台本カバーへのお名入れ作業完了!】2022年4月25日
○見学会の開催(2021年11月25日開催)
【見学会を開催致しました】2021年12月13日
まだ当館へご連絡を頂いていない方で、リターンに関するご希望のある方は、ぜひご連絡下さい。
【台本カバーへのお名前記載を希望される方】
1万円以上ご支援いただいた方のうち、まだご希望を伺っていない方で、台本カバーへお名入れをご希望される方は、当館までメッセージかお電話でご連絡下さい。引き続きご希望をお伺いいたします。以下の作品リストより、ご支援1口につき1作品をお選びいただき、記載するお名前のご希望とともにご連絡下さい。
※他の方のお名前が、既にご希望の台本カバーに記載されている場合、記載の順番がご支援日順と異なる可能性があります。
▼作品リストはこちらをご覧ください(PDF)
■【歌舞伎・新派・松竹新喜劇台本リスト】
■【映画台本リスト】
■【寅さん台本リスト】
お名前を記載した台本カバー
5万円をご支援頂いた方で、見学会当日おいでになれなかった方には、ご予約制の図書館ガイドツアーご招待券をお送りしました。まだ当館ガイドツアーにお申込みで無い方は、お電話でのご予約をお待ちしております。お申込み可能日につきましては、お電話でご確認頂きますようお願い申し上げます。
有効期限:令和4年7月まで(平日の開館日及び整理休館中)
※日時のご希望に添えない場合もございますので、予め何日か候補日をご設定下さい。
さて、改めて皆様からのご支援により【第10弾】で実現したことについてご報告致します。
■映画フィルムの状態・内容調査と保存に関するご報告■
株式会社東京光音さんでのフィルムの状態調査については、2022年1月14日公開の新着情報で詳しい作業報告をご紹介していますので、そちらをご覧ください。状態調査と、今回目標額を超えて頂いたご支援で行ったフィルムの内容を調査するためのプレスキャンを終え、新しいフィルム缶に入れ替えられたフィルムは、2022年3月3日に納品され、東京光音さんの社員の方2名と共に、松竹株式会社の新木場にあるフィルム倉庫の一画に収納作業を行いました。倉庫へのフィルム搬入の後は、残された古いフィルム缶とビニール袋やメモなど附属物の調査を行い、フィルム缶や附属物に記載されている情報や気が付いた事を採集し、記録しました。歌舞伎舞踊の記録映画に附属していた手書きの台本などもあり、現在保存方法などを手探りで進めている状態です。
劣化調査の詳しい作業内容については、2021年10月1日、10月4日に投稿した新着情報をご覧ください。調査の結果、フィルムの素材については今回全てのフィルムがアセテートベースという事で、発火の危険はありませんが、ビネガーシンドロームには弱い素材だと分かりました。ビネガーシンドロームの劣化段階については、以下の調査結果となりました。
[0]正常なもの 42本
[1]ビネガー臭がするもの 31本
[2]平面でなくなり変形しているもの 10本
[3]柔らかい、もしくは固くなっているもの 1本
[4]乳剤に亀裂が入る、もしくは剥離しているもの 3本
[5]白い粉が析出しているもの 2本
[6]溶解し、固着しているもの 2本
結果としてかなり酷い状態のフィルムもありますが、予想よりは少数であった事に安堵しています。今後、調査結果を基準の一つとして順番にメンテナンスを進めていきたいと思います。
また、今回は第一目標額を超える大きなご支援を頂きましたので、92本のフィルムとテープのうち、38本の映像フィルム、18本の音声テープ、そして1本のビデオテープについて簡易的なデジタルデータを作成してもらう事が出来ました。その結果、フィルムの内容が、缶に記載された情報と乖離しているものや、記載に無い内容の映像が含まれているものも発見されました。
缶に「NHK大谷会長か」と記載されていたフィルム。中身は五代目及び六代目中村歌右衛門の自宅での稽古風景など
缶に「栄光の道を行く大谷社長」と記載されていたフィルム。中身は大谷竹次郎の短い記録映像をつなげて約30分の映像にしたもの。画像は「昭和3年3月2日明治座開場式に来場した大谷竹次郎」と「蒲田撮影所視察の東久邇宮殿下を案内する城戸四郎と後方の大谷竹次郎」
長年劣化の状態も映像の内容もよく分からず缶の中で保管されてきたフィルムは大きな悩みの種でしたが、今回皆様のご支援により、保存と活用に向けて大きな一歩を踏み出す事が出来ました。今後もこの歩みを止めることなく、これらのフィルムのメンテナンスとデジタル化を一歩ずつ進めて、有効に活用できるようしていきたいと考えています。
■映画フィルムの状態調査と保存に関する新着情報まとめ■
【東京光音さん「映画フィルムの劣化原因や対策について」その1】2021年10月01日
【東京光音さん「映画フィルムの劣化原因や対策について」その2】2021年10月04日
【【映画フィルム】の搬出作業ご報告】2021年10月21日
【東京光音さんから【映画フィルム状態調査】作業報告頂きました】2022年01月14日
【【映画フィルム】の収納完了と状態・内容調査のご報告】2022年04月25日
■電動書架1ブロック分モーター交換■
20年度までに48台全ての台車の基板交換が終了した電動移動書架について、21年度からは部品のメンテナンス期間が終了し、経年劣化が進んだモーターについて、新しいモーターへの交換を開始、8月の夏期整理休館中に1ブロック分(11台)の作業が終了しました。またプロジェクト実行中に、メンテナンスを担当して下さった金剛株式会社さんに「電動書架のメンテナンス」について寄稿して頂きました。
【金剛株式会社と電動移動書架について】2021年9月8日
【今年の書架修理ご報告】2021年9月13日
電動移動書架のモーター交換作業
■消耗品の購入■
その他には、今期はご支援を、主に水害対策用に購入した、消耗品の費用に充てさせて頂きました。当館はビル地下2階に33.58㎡の書庫があり、万一集中豪雨や大型台風による都市型水害で10cmでも浸水してしまうと被害は免れません。そこで、地下書庫の資料の3階閲覧室や事務所への避難計画を立て、資料の運搬や保管のために必要な折り畳みコンテナ22個、ブルーシート1枚、平台車1台を購入して備える事にしました。非常用に購入したコンテナでしたが、資料の大量整理や運搬など日常業務でも高頻度で利用されております。
地下書庫の様子とご支援により購入した折り畳みコンテナ22個、平台車
以上、プロジェクトの詳細なご報告は4月末にメッセージで送信いたしました報告書PDFをご覧ください。
■お知らせ!【第11弾】予告■
そして当館は、今秋も【第11弾】プロジェクトの実行を計画中です!
今回、【第11弾】プロジェクトでは、いよいよ新たに【映画フィルム作品】の本格的なデジタル化にチャレンジしたいと考えています!
是非【第11弾】も、当館の活動をいつも見守りそして応援してくださる皆様に、再度お力をお貸しいただければ幸いです。
今後とも松竹大谷図書館にお力添え下さいますようお願い申し上げます。