ウイルス感染症の治療薬の素となる化合物を海洋生物から見つけたい

ウイルス感染症の治療薬の素となる化合物を海洋生物から見つけたい

支援総額

5,679,000

目標金額 4,000,000円

支援者
212人
募集終了日
2021年6月30日

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プロジェクト本文

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セカンドゴール達成のお礼とAdvanced Goalの設定に関しまして


 

第一ゴール達成後もあたたかい応援をありがとうございます。先日、皆様のご支援のおかげでセカンドゴールの500万円も達成することができました。これで、第一ゴールとして当初計画していたサンプル採集と活性成分の分離、そしてセカンドゴール達成に伴い薬を作る研究で重要な「どうして効くのか」を調べる化合物の詳細な評価を進めることができます。

 

6月30日(水)の残された短い期間ではありますが、Advanced Goalを設定したいと思います。達成目標金額は600万円。これを達成することができれば昨年度国から受けた支援と同額になります。

 

これを設定することで何ができるか?一番大切なのはコロナウイルスに活性を示した化合物がハムスターを用いた感染モデルでウイルスを防ぐことができるかです。細胞を使った実験で効果があるのに動物では効果がないものも多く存在しますーーーというかほとんどです。このハードルは創薬にとって越えなければいけない大きな壁なのです。

 

今回Advacnced Goalで得らでる資金でもこの実験は完結しませんが、少なくとも少数の動物での初期的なデータは得られると考えています。皆さんのご理解とさらなるご支援、よろしくお願いいたします。

 

酒井隆一

2021.6.28 追記

 

 

 

抗がん剤や鎮痛剤の中には

海に住む生物から発見された

「薬の素」を使い作られているものがあるのを

知っていますか?

 

海洋生物には薬を作るために必要な「情報」が多く潜んでいます

 

自然界に眠る「情報」を引き出し、

今後私たちの命を守る役目を果たすかもしれない

「薬の素」を集めるための研究

応援お願い致します

 

色とりどりの海洋生物。この生物多様性が薬を生み出す原動力です

 

 

 

なぜ海洋生物から抗ウイルス薬?

 

海には見たこともない多種多様な生き物が住んでいます。

海底や岩に付着する海綿やホヤなどの無脊椎動物は、貝のように身を守るための硬い殻を持たず、また魚のように素早く逃げることもできません。その代わり、いろいろな「化学物質」を使って生存競争を勝ち抜いていると言われています。

 

それらには陸上の生物には見られないような構造や強い薬理作用を持つものが多く知られており、中には癌やウイルスとの戦いを助けてくれる薬の素となる薬理活性物質もあるのです。実際に海洋生物から見つけ出した化合物を開発し、抗がん剤として使われていたり*1、毒貝に含まれる毒は鎮痛薬として使われていたりします*2

 

このように多彩な海洋生物に着目することで、これまでに無い抗ウイルス薬を見つけ出したいというのが本プロジェクトの目的です。

 

さまざまな生物が化学物質を介してコミュニケーションを取り合っています

 

改めまして、こんにちは。北海道大学水産科学研究院 教授の酒井隆一です。私は、これまでおよそ40年間、海洋生物から薬を見つける研究に没頭してきました。

 

大学卒業後、縁あってアメリカのフロリダ州にあるハーバーブランチ海洋研究所で発足したシーファームというプロジェクトで働くことになり、そこではまさにSea(海)からPharm(薬)を見つける研究を行っていました。その後、アメリカのイリノイ大学で博士号を取得。その際に幸運にも薬の開発に携わりました

 

北海道大学水産科学研究院 酒井隆一

 

博士号取得時に従事していた、海洋生物「ホヤ」に含まれる化合物「エクチナサイジン」と「ジデムニン」が、海洋生物を探索源として医薬開発を行っているスペインの製薬会社で抗がん剤として開発され、今では2つの難治性の癌の治療薬*3として使用されています。

 

私が研究をしていたのが1990年の初頭。しかし、薬になるまでには計20年以上かかり、薬を作る難しさと楽しさを知りました。そして、海洋生物に秘められた「チカラ」を確信しました。

 

 

また、最近うれしいニュースが飛び込みました。「ジデムニン」の一種から作られた抗がん剤Plitidepsin(アプリジン)が新型コロナウイルスの増殖を強く抑制する、というスペインの研究者による成果がサイエンス誌に掲載されたのです。今後、この化合物のコロナウイルス薬としての臨床試験が始まります。

 

こうして私が発見に携わった化合物が時を経て薬として役に立っています。

 

 

 

*1:クロイソカイメンに含まれるハリコンドリンという化合物はエーザイが抗がん剤へと開発し、ハラヴェンという薬として利用されている

*2:イモガイという毒貝に含まれる毒コノトキシンは、ジコニタイドという鎮痛薬として開発され欧米で用いられている

*3:難治性の癌の治療薬トラベクテジンとアプリジンという抗がん剤としてスペインの製薬会社で開発され、世界中で用いられてる

 

 

プロジェクトを立ち上げたきっかけ

 

全世界を危機に陥れた新型コロナウイルス。研究することさえも自粛を要請される中、何かできることはないかと考え、国の緊急プロジェクト(J-Rapid)として、海洋生物から新型コロナウイルスの治療に役立つ化合物を見つける研究を行いました。

 

スキューバダイビングで採集した多種多様な海洋生物を抽出し、それらに含まれる抗ウイルス化合物を探索。その結果、予想より多くの抽出物に新型コロナウイルスの感染を阻害する作用が見つかりました。さらに、強い抗ウイルス化合物を示す新しい化合物を精製することにも成功しており、これからの展開に期待が膨らんでいます。まだ基礎研究の段階であり、動物実験やヒトにおける臨床試験を経ていないので、同様の阻害作用が人体でも通用するか否かは、将来的に探っていく必要がありますが、貴重な発見であると考えています。

 

 

しかし、国のプロジェクトとして採択された研究は2020年度で終了してしまいました。ですが、研究はこれからで、活性を示した海洋生物の抽出物から活性成分を分離・精製する一番大事な仕事がまだ道半ばです。また、精製した化合物は次に作用機構や動物での効果を調べる必要があります。

 

多くの場合、強い活性を持つ物質はごくわずかしか含まれません。そのため活性を示した試料は再度採集して化学構造や作用機構を調べるために必要な量を確保します。また、作用機構の解明には細胞を使った実験や、最先端の分析機器を用いた観察が必要になり、これも莫大な費用と時間がかかります。これらの費用を今回、クラウドファンディングで募り、みんなの力で海洋生物から「薬の素」を発見できたら...と思いプロジェクトを立ち上げました。

 

環境への配慮もあり、最初に採集する生物は1種類で500g以下。そこから得られる活性物質は極わずかで、構造や作用を検討するためには足りないため再採集します。

 

プロジェクトの詳細

 

プロジェクトの目的は抗ウイルス作用を持つ新しい化合物を発見し、その化学構造を明らかにすることです。つまり、薬を作るために必要な「情報」を海の生物から引き出すことです。

 

そのために最初に、できるだけ多様な海洋生物を少しだけ採集します。希少な海洋生物はたくさん採集することにより、死んでしまったり、再生できなかったりするため少しだけです。

 

まずは、これまでの研究で新型コロナウイルスに対する活性が確認できている生物を再度採集します。指先程度の大きさしか採取しなかったものもありますので、今回はその生物の再生を考慮してもう少し、採集します。

 

その後、新しい場所で400種くらいの生物を採集する予定です。生物採集は効率の良いものでは決してありませんが、ひとつづつ観察しながら、写真を撮り、採集します。採集した生物は北大に送り、抽出構造を調べ海洋生物からの秘密を探ります。

 

 

その後、水や有機溶媒で成分を溶かし出す「抽出」作業に入ります。

 

抽出液にはたくさんの成分が混ざっているため、クロマトグラフィーという手法で分離し、抗ウイルス活性を示す物質を追うのです。

 

 

 

その後、「構造決定」に移ります。

 

研究を支える最先端機器を用いて精製された物質の構造を知べ、抗ウイルス物質の化学構造を確認します。これにより、こんな化学構造を持つ物質にはウイルスを防ぐ作用があるのか…、ということがわかるようになります。

 

 

 

これまでに誰も知らなかった構造を見つける手順は、とてもわくわくする瞬間です。まさに海洋生物から秘密を教えてもらった瞬間、といえます。今回のプロジェクトの目標はできるだけ多くの秘密を教えてもらうことです。

 

 

...といっても、今教えてもらえたのは「抗ウイルス物質の構造式」だけです。つまり、秘密は暗号として保存されているのです。

 

その暗号を解くのが次の作業です。

 

ウイルスは生物ではなく遺伝情報を殻の中に隠し持って細胞の中に侵入し、細胞が生きてゆくために備わった能力を乗っ取ることによってあたかも生物のようにふるまいます。つまり、ウイルスが細胞に触れて、侵入し、自分の遺伝情報を細胞に増幅させ、自分自身の体を作らせ、細胞から脱出する、という過程を経て増殖します。

 

 

抗ウイルス物質はこのいずれかの過程を阻害する化合物です。だから、見つかった化合物がどの過程を阻害するのかを詳しく検討するのが次の作業です。そうすると、抗ウイルス物質のどの部分が効き目を左右するのかがわかるようになります。

 

これで暗号の半分は解読できました。次は、その化合物を化学的に合成し、構造を改変することでさらに磨きをかけてゆきます。

 

このようにして細胞に対する毒性や、動物を用いて実際に投与することで、体内に入った際の薬の挙動をしらべるとともに、ウイルスによる症状を阻止もしくは治療できるのかを調べます。動物に対して有効性が示されれば、その化合物に興味を持つ製薬会社が現れる可能性があります。このプロジェクトではなるべくたくさんの抗ウイルス化合物を見つけ(Goal 1)、有望なものについては作用機構の解明に着手することを目標にします(Goal 2)。今回はGoal 1の達成を目指すためのご支援をお願いいたします。

 

 

 

作りだした「薬の素」はこれからの感染症に備えるための貴重な財産となる

 

「世界はウイルスに満ちている」といわれるますが、海もウイルスだらけといわれています。海洋生物はそれらのウイルスに対抗もしくは共存する術を獲得していても不思議ではありません。

 

薬の開発には膨大な資金と時間がかかります。そのため、予測可能な病気の治療薬の開発は進みますが、今回の新型コロナウイルスのように何が来るかわからない感染症の対策・治療薬開発はなかなか進みません。

 

今回の新型コロナウイルスで私たちはいかに感染症に無防備であるかを思い知らされました。

 

私たちの研究は、目の前の危機に加え、今後来るかもしれない新たな感染症に対する武器を備えることにつながります。つまり、新しい抗ウイルス物質の情報は今回の新型コロナウイルスに限らず、今後の感染症に備えるための貴重な財産となるのです。

 

もし次に何かの感染症が流行した際には、これらの薬の素を用いて国と製薬会社が迅速に臨床試験を行い、治療薬へと適用してゆくことができると思います。

 

医薬品となる化合物を見つけるのは簡単ではありません。だからこそ、このような研究を広め、いろいろな研究者が自分の研究から感染症に備える物質を探索することで薬の素の選択肢が広がり、より適切な医薬を作り出すことが可能になるはずです。

 

海洋生物を探索源とする本プロジェクトならではの他にはない化合物を見つけることができると期待しています。皆様、応援よろしくお願いいたします

 

 
若さと熱意に支えられて進める本プロジェクトの応援、よろしくお願いいたします!
 
北大・琉球大チームでのサンプル採集にて
 

支援金の使途

 

これまで、国の600万円の助成で、沖縄でのサンプル採集と抽出、活性評価まで行うことができました。国の助成が終了した今、次の公的な助成が得られるまで何とか研究を継続する必要があります。

いただいた支援金は以下の通りに使用させていただく予定です。

 

【使途】

・サンプル採集(旅費、ダイビング費用、サンプル運送費):200万円

・サンプルの抽出、分離・精製、毒性評価:100万円

・細胞を用いた抗ウイルス活性の評価:100万円

 

今回の支援ではさらに多くの種類のサンプルを採集し、抗ウイルス活性を試験、そして得られた化合物の作用機構の解明を行います。そのため、まず沖縄とそれ以外の海でサンプリングを行う経費に充当します。それらを大学に持ち帰り、抽出、抗ウイルス活性の評価、構造決定、作用機構の解明を行います。試料採集では、旅費だけではなく、ダイビング用ボートのチャーター、採集した試料の輸送などの経費が掛かります。このプロジェクトは化合物の精製を行う化学とウイルス学、生化学の実験と多岐に及びます。コロナウイルスの研究にはバイオセーフティーレベル3という特殊な実験施設と技術を持つ研究者が必要で、その経費(人件費、物品費)に充てたいと思います。

 

*2022年10月31日までに2回採取に行き、約400の海洋生物を採取・活性の評価をしたことをもってプロジェクト実施完了とします。

 

 

応援メッセージ

 

田中良和 教授

東北大学 生命科学研究院

酒井先生は海綿やホヤなどの海洋生物から薬の原料となる物質を見つけてくるのが得意で、私は酒井先生が見つけてきた物質の立体構造を明らかにするという共同研究を5年以上にわたり続けてきました。驚くような生理活性をもつ物質に出会うことができ、エキサイティングな研究を楽しんでいます。今回のクラウドファンディングでもきっと有用な化合物が見かると信じています。応援しています!! 

酒井先生との共同研究で決定した蛋白質の立体構造。

 

 

James Reimer 准教授

琉球大学 理学研究科

酒井先生と私は海洋生物の生態や成分の研究で共同研究を行っています。今回のプロジェクトは日本の海洋生物の多様性の大切さを浮き彫りにしています。きっと、これまでにない抗ウイルス薬が見つかるでしょう。応援しています!

 

 

坂上治郎 博士

サザンマリンラボラトリー代表

海洋生物から抗ウイルス剤や抗がん剤など様々な薬の元となる物質を見つけるという夢のような研究。いや、これは夢ではなく現実の話です。しかし、そう容易くは見つからないのも事実。そのためには研究者人生の殆どを費やす忍耐と努力が必要でしょう。そんな素晴らしい研究に長年尽力されている酒井先生。私も研究分野こそ違いますが海洋生物にアプローチする研究者として10年以上に渡り研究に協力させて頂いて来ました。そして、このクラウドファンディングによる多くの方の力添えが酒井先生の更なる力となり、ひいてはこの世界中の人々を悩ませているコロナ対策の一助にきっとなるのではないかと期待しております。一緒にこのプロジェクトを応援しましょう!

 

 

泉貴人 博士

琉球大学 博士研究員

酒井先生チームの潜水調査は、まさに“凄まじい”の一言。ひとたび潜れば猛烈なサンプリングを敢行し、巨大な洗濯ネット一杯のカイメンを引っ提げて船に這い上がってくる様子は、文字通りの“研究の鬼”を想起させる雄姿!ウイルスをぶっ飛ばす薬を創出すべく、今日もどこかの海を行く…そんなパワフルな研究を、Dr.クラゲさんは応援しております。

 

 

ダニエル ロモ教授

ベイラー大学のダニエル ロモ教授

Prof. Sakai is an outstanding natural product isolation chemist who has continued to find compelling drug-leads primarily for marine organisms. As his collaborator for several years now, I can recommend him to you as someone who will work diligently to identify novel compounds that have therapeutic potential.

 

 

 

協力企業様

 

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