プロジェクト概要

 

プロジェクトミッション

 

【日本酒の味わいや魅力を伝えることばを集め、事典にします】

 

 

 日本語は、豊かな表現力を持つ言語と言われています。

 

 日本語は「侘び」、「寂び」などの感性表現をはじめ、ほかの言語には翻訳できない独特の美的表現に満ちています。

 

 しかし、「日本酒の味わいを語ることば」は、どれだけあるでしょうか。

 

 ひとつの日本酒の魅力を、私たちはどれだけ多くの言葉をつかって語ることができるでしょうか。

 

 

 

プロジェクトのご紹介

 

 

            (研究発表の様子です)

 

 皆さま、はじめまして。慶應義塾大学、「日本酒の魅力を伝える」代表の福島と申します。

 

 私たちのプロジェクト「日本酒の魅力を伝える」では、素敵な日本酒の魅力をもっと多くの人に伝えていくため、様々な取り組みをしています。

 

 今回は、日本酒の味わいを語る言葉をあつめ、手元で読みながら日本酒を味わうことでより深く日本酒を愉しめる事典を作成したいと思います。

 

 日本酒の本といえば、日本酒の製法や商品紹介が並んだものが多いですが、今回は日本酒をもっとたのしく飲みたい方のための、味わいことば事典にしたいと思っております。

 

 

 

私たちの問題意識

 

(「日本酒の魅力を伝える」は、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスのプロジェクトです)

 

 私たちは、ある大きな問題意識からスタートしました。

 

 日本酒の味を語ることばが、「甘い」「辛い」、「すっきり」「芳醇」だけであっていいのだろうか?

 

 日本酒の魅力を考えるには、日本酒の味わいを語ることばを発見することが必要ではないだろうか?


 

 このような問題意識を持った私達は、

  ①「日本酒の味・風味を語ることばを発見する」

  ②「日本酒の魅力を表現する手法を探求する」


 

という二つのミッションを掲げ、本プロジェクトを発足しました。

 

 昨年11月には、第17回SFC Open Research Forum 2012に、「まちの魅力を日本酒の味わいで語る」という作品を展示しました。日本酒の味わいを表すことばを用いて、独創的な風景描写を行う作品は、幸いにして多くのご好評を頂きました。

 現在は「まちの魅力を日本酒の味わいで語る」に続く、日本酒の味わいを言葉にする取り組みを行なっています。

 

 

 

 

私たちの目標

 

 

 

(研究発表では、普段日本酒を飲まないという若い方にも好評をいただきました)

 

 私達の目標は、日本酒の味わいを深め、多くの人と語り合う言葉を発見することです。ワインを語る言葉の豊かさを見れば、日本酒の味わいを語る言葉の少なさに驚かされます。

 

 しかし、繊細なことばをたくさん持つ日本語に、日本酒の味わいを語れないはずがありません。必ず魅力を伝える言葉を発見できるはずです。皆さんの力を貸していただき、日本酒の魅力を世界中に発信する取り組みにしたいと思っています。

 

 なお今回の研究成果を、人工知能学会2013年度全国大会にて論文発表致します。

 

 

 

日本酒を取り巻く状況

 

 

 東日本大震災以降、日本酒の魅力をもう一度見直そうという動きが活発になり、そうした取り組みへの社会的要請も高まりつつあります。東北地方の酒蔵の方々は、大きな打撃を受けつつも、復興に向けて動き始めています。

 

 2012年度には、日本酒を世界に広めるべく国家戦略担当大臣直下に「ENJOY JAPANESE KOKUSHU (國酒を楽しもう)」プロジェクトが発足しました。私たちも、こうした日本酒の魅力を伝える取り組みのひとつとして活動を続けてきました。

 

 日本酒の国内での消費量は減少傾向にあり、日本酒業界は大変厳しい状況に立たされています。一方で、オーストラリアやニュージーランドといった海外では日本酒のブームの火が見られ、国内のみならず今後は海外にも魅力を伝えていく必要があります。

 

 

 

私たちに、何ができるのか

 

 

 「日本語には、日本酒を語ることばがない」

 

 これは、大きな問題です。この問題は私たち自身の反省から出発しました。 日本酒の味わいを「甘い・辛い」「すっきり」「フルーティ」といった、簡単な言葉だけで片付けていないだろうか? 他者に日本酒の味わいを伝えるために、何ができるだろうか?

 

 

 昨年11月、私たちの研究発表に「釜屋」という酒蔵の社長がお越しくださいました。釜屋様は、埼玉県にある創業1748年の伝統ある酒蔵です。お話の中で小森社長(=写真中央)は、長く日本酒業界が「良いものを造れば売れる」という風潮にあったことを鋭く指摘されました。

 

 小森社長は「良いものを造りさえすれば売れるという風潮のなか、“ことばにして日本酒の魅力を伝える”という取り組みが十分にされないままに今日に至っている」と、日本酒業界の現状に強く問題意識を持たれておりました。

 

 私たちは「ことば」を大切にしたいと思っています。発見した日本酒を語ることばを「日本酒あじわい事典」としてまとめ、日本酒の魅力を伝える足がかりとしたいと願っています。これは日本酒業界のみの課題ではなく、日本酒を愛するすべての人の課題だと考えています。ぜひ、私たちのプロジェクトにご協力ください。

 

 

 

 

日本酒の味わい事典をつくる

 

 

 私たちは、日本酒をより深く楽しめるような、日本酒の味わいを表す魅力的なことばを集めた事典を作成します。

 

 事典の作成にあたっては、私たちが「日本酒練習帳」の記述を通して紡ぎ出したことばをまとめます。

 

 まだまだ編集の真っ最中ですが、少しだけ内容をご紹介したいとおもいます。

 

 《見出し語》には、日本酒を楽しめる味わいや、コツになるような表現が並びます。

 

   ・舌を包み込むようななめらかさ
   ・ゆっくりと時が流れる味わい
   ・甘みのある渋さ
   ・「味の輪郭」を感じる...   

 

 

 こうした《見出し語》となる味わい表現が、100項目近く並ぶ予定です。

 

 これらの《見出し語》には《用例》として、私たちが日本酒から表現を見出した際の実例が付きます。たとえば【ゆっくりと時が流れる味わい】という見出し語には

 


   ・味わいのペースがゆっくりで、抜け出せないイメージ〈鳳凰美田-赤判〉
   ・キレのある酸味や深い甘み、旨味のなかで自分がどこにいるのかわからないような〈司牡丹-封印酒〉(記述の一例です)

 

 

というような《用例》が並びます。

 

 

(見出し語選定中の様子)

 

 

 さらにはこの事典を読んでいただいた方が、味わいの表現を実際に使えるように《応用例》を付します。先ほどの【ゆっくりと時が流れる味わい】という見出し語には

 

   ・「熟したマスカットの、たっぷりとした香りが口の中に長く続く」
   ・「甘い酸味の後にきりっとした苦味が味を引き締める。時間ごとの味の変化が楽しめる」

 

 

といったような、使いながら楽しんでいただける応用例を掲載します。これにより、事典を読む人も日本酒を飲む際に魅力的な表現ができるようになります。

 

 

 

 

 

ご支援が、研究の原動力になります

 

 

 研究資材や書籍の購入など、研究活動は多くの資金を必要とします。企業などとの共同研究等も盛んですが、私たちのように、成果がどのように現れるかわからない、若いベンチャーのような研究には、企業との共同研究は難しいのが現状です。

 

 そのような厳しい現状のなかで、「面白い」研究の芽がどんどんつぶれていこうとしています。研究者には野心や希望があるにもかかわらず、資金面から十分な研究をおこなえない研究も多くあります。

 

 私たちも、そうした研究の一つです。どのように発展していくか、私達自身もわからず、不安ですがしかし同時にとてもワクワクしています。

 

 私たちの研究は、日本酒の感性や感覚といったものを科学し、人間が日本酒に対してどのような「知」を持っているのかを明らかにするものです。皆さまに支えていただき、研究を成功させたいと願っています。若い研究ですが、どうかご支援よろしくお願いいたします。

 

 


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