レーベンでやってきたこと　迷い犬のフラ

　3年前の夏の夕暮れ、レーベンハウスの玄関前に犬を連れた初めてお見かけする品のいい女性の方が立っていました。部屋の中の犬達が気付いて、鳴いて知らせます。こんな時間に誰だろう？

　ドアを開けると、ずいぶん身体が細い痩せた犬と目が合いました。穏やかな様子です。犬種がわかる感じもしなくて、雑種？保護犬なのか？という疑問をもちました。ごつくて太い首輪がぶかぶかで、ようやく首に引っ掛けているような。

　「私の犬ではないのです。」と女性が言うのです。は？事情をお聞きするのに道端も何だし、もう辺りは暗くなり始めて、よく見えにくくなっています。電灯のある庭にお通ししました。

　よく見ると、頭はしっかりと大きく、この時点では立つこともできていました。可愛い目で見つめ返してきます。お水を飲んでもらって、首輪を調べながら女性のお話を聞きます。

　この近くの広場の辺りを歩いているのを見つけた人が、女性に知らせたと。この辺りに保護団体があることを知っていたので相談したくて来たと。リードは女性のお家にあった物で、犬についていたのは首輪だけだと。取り付けて引いてみると、従ってついて来たと。（この方はその後も、ずっとフラのことを気にかけてくださり、ご支援してくださいました。ありがとうございます）

　犬はメスで、骨が浮き出ていて、外傷はないけれど身体に汚れはあり、下半身の何箇所かにしこりを持っている。首輪に情報などは書かれていない。自分で脱走してきた？そんな元気があるようには見えない。繋がれていたのを引いたら、先に首輪が抜けそうだが。こんなに穏やかで首輪をつけていたら、飼い主がいたのだろう。置き去りにされた？とりあえず警察に連絡をして、SNSに写真を投稿し、名乗り出を待つしかなさそうです。

　私達はそのうちに飼い主が現れて引き取りに来たら、体調のこと、医療のこと、栄養のことなどどうお話したらよいか、考えていました。まさかその後に、お世話をすることになるとも思わず。

　でも、持っている病気や寄生虫のことを調べる前に家の中の犬と一緒にするわけにもいきません。運良く、雨がすぐ降りそうな様子はなく。今、身体を洗うことは負担が大き過ぎるのではないか。危険のない環境を整えて一晩を過ごし、健康状態を協力医療機関でみていただく必要はありそうです。

　その後わかったことは、末期の腎臓機能障害で、余命は2〜3ヶ月程度なのではないか、ということ。名乗り出がないまま、部屋の中に入れることを考え始めました。

「この子をフラちゃんと呼ぼう」と代表が言った時、この頃流行りのフラダンス的なハワイ風の名前なのかと思いましたが、どうやらフラッとやって来たから、ということだったようです。