焚書:

 

以下は本書の29節にある、イエズス会宣教団が、町外れで没収した禁書を燃やしている状況です。筋に関連する部分は省略しましたが、非常に克明に手順が述べられています。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

教会の後ろの広い場所で墓堀人は乾いた薪の山を用意した。イエズス会士の二人の助手はその傍に、本の入った三つの袋を引きずって来た。それらの大部分は古い本だったが、ジタヴァから秘かに持ち込まれた、まだ新しい本もあり、みな当地で没収されたものであった。それらの中にはスカルカで集めたものも、また人々が説教の後に、自ら自発的に司教館に持ってきたり、秘かに送りつけたりしたものもあった。 それらの本は表紙を剥ぎ取られ、墓場に置かれていた。表紙の大きな山がそこに積まれていた。それらは皮を張った木製の表紙や、質素なものや金属を被せたもの、隅が真鍮で補強されているもの、留め金の付いたものやそれが無いものや皮紐が付いたものなどであった。表紙を剥ぎ取ったのはそれらの本の中身に、より容易に火が回り、それらがより早く燃えて灰になるようにするためであった。

 

本には没収されるまでそれを所有していた人物の名前が書かれた紙切れが付いていた。しかし自発的に司教館に提出された本には紙切れはなかった。悔いた所有者の名前は、この薪の山の所で呼ばれることはなく、彼らはその侮辱を避けることができた。これはその従順さに対する褒美であった。

 

最後の礼拝が終わると皆は教会から外へ出て、用意ができた薪の山の方にどっと向かった。生徒たちは教師と共に、黒い僧服を着て、かさ高のビレッタ帽を被った三人の宣教師と、白い短白衣を着た丸顔の首席司祭の前に立った。墓場は十分な広さではなく、いたる所すし詰めであった。皆は息を呑んでこの見ものを、この特別な処刑を見ようとしていた。

 

突然、薄闇の中で赤い光が燃え上がった。炎は積んだ薪の中でぱちぱち音を立ててその中に入り込み、そこから外に高く舞い上がった。宣教師の声が響き、みな爪先立ちをして眺めた。それはコニアーシュの短い宣言で、これらの本は滅びよ、これらは悪の根源であり悪魔の仕業であり、迷いと異端に満ちたものである、そしてこれらの本と共にこれらに対する罪深き愛着も燃え尽きよと。

 

彼がうなずくと、助手の学生は最初の本の束を渡しながら叫んだ。「ヴァーツラフ・マホヴェツ、スカルカの森番の本。」寺男はそれらを受け取ると先ず始めに、表紙を剥がされた古い聖書を火にくべた。その時教師のヴォンドジェイツは右手を頭上で振り、足を踏み鳴らして歌い始めた。

  燃やせ、異端の迷いを ――

 

その歌に直ちに助手の甲高いテノールと、学校でこの歌を教わっていた生徒たちの、若々しい合唱の声が加わった。

   ―― 滅ぼせ、地獄の怪物を 焼け、異教の無信仰を ――

 

聖書に続いて第二、第三の本が火に投げ入れられた。古い活字本の頁は炎熱で急に丸まり逆立ち黒くなり、四隅はすぐに赤熱し燃え上がった。寺男と助手が新たに本を投げ入れ、どさっと音がすると火の粉が束になって舞い上がった。助手の学生は次々と本を取ると所有者の名前を読み上げた。

 

次々と本が貪欲な炎の上でひるがえり火の中に落ちていった。先祖の喜びと誇りが、幾世代もの人々が不安と悲しみの時に得た慰めが、燃えて滅んでいった。唯一の慰めが、自分たちの父の信仰を受け継ぐ信者たちの、最後の支えと避難所が滅びた。灰となって崩れたのは聖書、フスの説教集、コメニウスの『実践』と『安心の中心』、まだ新しいクレイフの『信仰の冠』等々であった。暮れていく空に向かって黒い煙の柔らかな柱が真っ直ぐに伸びていき、それと共に生徒たちの歌声も響いていった。

 

彼らは特別な見ものに魅せられ、大喜びで声を張り上げて、意味も分からないまま恐ろしい呪いの歌を歌っていた。その呪いは異端者の火刑と同じく、そこに吹き込まれた醜悪さを確かなものにし、栄光ある過去と偉大なその精神に対する嫌悪を強めていた。

 燃えろ、燃えろ、

 ヤン・フスよ 我らの魂が燃えないように。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

新着情報一覧へ