プロジェクト概要

 

美しい瀬戸内海を一望する高台に、明治から続く商館がある。建物自体が貴重な歴史を伝える資料となったこの場所を、後世にわたって生きる歴史として、その姿をそのまま当時の生活がうかがえるような形で残していきたい。

 

資料ではなく、五感で感じられる歴史を残したい。

 

ページをご覧いただき、ありがとうございます。NPO法人鞆まちづくり工房の松居秀子と申します。今から30年前、故郷・鞆の浦で空き家となっていた大正時代の理髪店を改修し、喫茶店を始めました。これが現在の「鞆まちづくり工房」の原点になっています。

 

まちづくり工房では過去20年に渡り、空き家再生やワークショップ、町並み保存活動を行ってまいりました。古き良きものを現代の価値観で塗り潰すのではなく、オリジナルに合った色を塗り足し、活用することで、資料ではない“五感”で感じる歴史が残ると考えています。『この地は祖先からの贈り物・子孫からの借り物』。祖先から受け継いだものを一世代だけの所有物と思わず、後世に受け渡していく、この言葉を胸に活動しています。

 

今回のプロジェクトでは、かつて商人の別荘として使用された築150年の町家をゲストハウスとして修復します。鞆の浦は、昨年より重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に選定され、外装に対しての補助金を受けることが可能になりましたが、その姿を作り変えることなく、より当時に近い姿で残すための修復には、補助金だけでは予算が足りていない状況です。

 

今回ご支援頂きました費用で、現在滞っている内装・庭を整え、水回りなどのインフラ設備を近代化し、後世まで残り、活用できる町家として完成する予定です。歴史深いこの町に生きる価値を後世にも感じてもらうため、どうかご協力お願いいたします。

 

美しい鞆の浦の景色を見下ろす場所に、この建物は建っています。

 

万葉の時代から栄えた港町・鞆の浦。

歴史をともにしてきたそわか楼。

 

鞆の浦は、瀬戸内海のほぼ中央、広島県の東部に位置しています。万葉の時代より潮待ちの港として人々が行き交い、独特の文化を育み継承し栄えてきました。また紺碧の海には緑の島々が浮かび、かつて訪れた朝鮮通信使が日本で一番美しい景色と称賛した名所(日東第一形勝)でもあります。

 

戦後、車社会の波に押され港町は衰退していきますが、鞆の浦は車社会から取り残されることで、奇跡的に江戸から昭和の町並みを残しています。近年は、その風情ある町並みから映画やドラマなどのロケ地として使われ、特にスタジオジブリ作品「崖の上のポニョ」の舞台となったことで大きな注目を集めています。

 

 

このような町並みと瀬戸内海を一望する高台にあるこの建物は、明治時代にフランス料理店の外人用住まいとして建てられたと推測されています。その後、大正期に伊予箒(いよほうき)工場の主人のための別荘として改装されました。造りは、本館と別館の2棟からなる、全面ガラス戸の造りとなっています。

 

痕跡調査の結果、大正時代を物語る「かく桟瓦」が使用され、建物の大きな特徴となっているガラス戸には「ながしガラス」、木材も大正期の技術が分かる多くの痕跡が残されていました。この結果を受けて、より完全な姿で残すべきと考え、新材も使う"修景工事"ではなく、大正期の工場の主人の別荘として使われていた頃の完全な当時の姿に戻す"修復工事"として事業に着手することにいたしました。

 

 

 

 

鞆まちづくり工房のこれまでの道のりと宮崎駿監督との出会い。

 

そもそも私たちがNPOとして空き家再生などの事業を行うようになったのは、「鞆港湾埋立架橋問題」というものが深く関わっています。鞆港湾を埋め立て、橋を通すことによって、町の発展を期待する事業でしたが、これによる文化・景観面への代償があまりに大きいことを私たちは危惧しました。万葉から続いてきた港町の機能と景観、文化が二度と取り戻せなくなるのではないかと。

 

「積み上げた歴史を壊してまで利便性を求める必要はあるのか?」

「利便性が果たして本当に町の発展につながるのか?」

 

私たちは開発ではなく、歴史と文化の保存によって町の活性化を図れることを信じ、現在まで活動を続けています。

 

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2018年2月撮影

 

20年以上に渡り行政と架橋の是非を巡り、話し合いを続けてきましたが平行線が続くばかりでした。転換期となったのは宮崎駿監督との出会いです。「崖の上のポニョ」の公開により、メディアの注目を大きく集め、観光客の爆発的な増加と、鞆の浦が持つ価値が地元を含めた多くの方に認識していただけました。

 

そもそものご縁のきっかけは、スタジオジブリの社員旅行の誘致からでした。宮崎監督は鞆の浦が持つ特有の空気を気に入ってくださり、翌年、個人的に2ヶ月間滞在されました。監督と共に過ごす2ヶ月間は、普段見落としてしまいがちな多くの小さな驚きと発見、そして好奇心にあふれたかけがえのない時間となりました。

 

 

その後、架橋問題は広島県との裁判にまで持ち越されていきますが、様々なことが追い風となり、"文化的景観の保護を理由とした公共事業の差し止め"という日本初の判例をもって決着いたしました。

 

「開発の時代は終わった」

 

宮崎監督が裁判後、マスコミに語ったこの言葉が表すように、今後の日本の開発のあり方に大きな問いを投げかける革新的な判断が下されたと思っております。このような経緯から、私たちは残すべきものを後世に残すため、今回の事業にも着手しています。

 

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鞆の浦を一望する好立地に"そわか楼"誕生。

失われた技術を復元し、鞆の浦の新たな拠点に。

 

名称:そわか楼

場所:広島県福山市鞆町後地1320

物件詳細:2階建て、離れ付き、全部屋窓付き畳張り、設備は1階にお風呂、1階2階それぞれにトイレ、離れに厨房施設

 

1階を就寝スペース、2階をリビングダイニングとし、一棟貸しで、一度に4~6人が宿泊できる施設として生まれ変わる予定です。 また国の重要伝建地区に選定された鞆の浦のため、本格的な修復工事をした例として、地元の建築業者や歴史ある建物を所有する方々に見てもらえたらと思っております。

 

 

■資金の使い道の内訳

全体費用:3300万円

※復元工事という形式をとるため、当初予定2300万円より予算が膨らんだ状態

・補助金:1400万円
・自己資金:1000万円
・不足:900万円

 

今回はこの不足分の一部をクラウドファンディングで募集し、今後の鞆の浦の町並み保存の良い修復例となるように、新材をなるべく使わない“復元工事”という形で、現在予算不足で進んでいない内装・水回りの改修費用として充てさせていただく予定です。

 

■スケジュール

改修現在~2018年10月オープン

改修箇所:内装、及び庭の整備(外装は現在着手済みのため)

 

外観の修復工事:高台に立つ好立地がゆえに、費用がかさんでいる状況です。

 

故郷に生きる。

歴史ある町に生まれ育ち、故郷の“ひと・文化・暮らし”を継承していきたい。

 

そもそも我々がこの物件を購入したきっかけは、持ち主から「この建物を大切にしてくださる方に譲りたい」という直接のお声かけによるものでした。この建物の“価値”を継承し、修復し、現代に合った新たな命を吹き込むことによって、持ち主の思いを継承していきたいと思います。

 

そして、こうした思いを共有してくださる方へといずれはお譲りし、この「価値の継承が、文化、暮らしの継承」へと繋がっていくよう願っております。

 

 

NPO法人鞆まちづくり工房

 

NPO(特定非営利活動法人)「鞆まちづくり工房」は、 鞆の浦の歴史的環境のすばらしさを次代に引き継ぎ、町並みや港湾施設、伝統的な産業など歴史的遺産を活用したまちづくりを提案し、実践していく団体です。これまでに空き家再生は20件を超え景観の保存と活用、雇用の捻出に寄与する活動を続けています。

 

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古民家を活用し、以下の施設も運営を行っています。

 

御船宿いろは

坂本龍馬ともゆかりのある築260年の町家を宮崎駿監督のデザインにより、宿・食事処として再生させました。

 

茶屋蔵

鞆港のほぼ中央に位置する迎賓館(御茶屋)跡に建てられた、築160年の福山藩藩主の蔵。かつて貿易の中心地であった鞆の浦を思い、世界中のビールとコーヒーを楽しんでいただける空間にしています。 

 

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