ツバメの子育てを守る活動2023報告
ツバメの子育てを守る活動に支援をくださり、感謝申し上げます。おかげさまで、135名の皆様から目標の30万円を大きく上回る1,206,500円を寄付していただきました。なお、今年のツバメの子育てを守る活動は30万円の予算で計画していましたので、ご寄付を使い切っておりません。そこで以下でもご説明するように、来年度にツバメが餌にしている飛翔性昆虫を調べることなどを計画しています。
バードリサーチの「ツバメの子育てを守る活動」では、人がツバメの子育てを受け入れてあげて、ツバメが安心してヒナを育てられる巣場所を増やせるように、かわいいイラスト付のフン受けの配布や、人工巣の設置を行っています。2023年は新しく人工巣を設置することはできませんでしたが、フン受けの配布と銀座にある人工巣で営巣しているのツバメの給餌行動の分析をしました。
【フン受けの配布】
ヨシ原に集まるツバメをデザインした2023年版のツバメのフン受けおよそ1000枚を、全国の道の駅や鉄道の駅に配布しました。バードリサーチから配布する以外にも、フン受けの印刷費を寄付してくださっている株式会社シー・アイ・シーから各種施設へ配布をしていただきました。写真は東京都西部と神奈川北部を走る京王電鉄の高尾山口駅に設置してもらったツバメのフン受けです。京王線で今年は、少なくとも12駅でツバメの子育てがあり、設置可能な巣にフン受けを使ってもらいました。
全国のツバメの見守りをしておられる皆さんにも、フン受けの提供や設置方法の助言をさせていただきました。こちらの写真は大阪府堺市の南海初芝駅にボランティアの方が設置してくださったフン受けです。天井とのあいだのヒモは、天敵のカラスが巣に近づけないようにするためのものです。

こちらは東京の八王子市にある牛丼チェーンすき家で子育てしたツバメです。ここでも、通行人にフンが当たらないようにするフン受けに加えて、ヒナを守るためにカラス避けのひも張りをしています。20cmくらいの間隔でひもを張るだけで、カラスは巣を襲うことができなくなります。なお、フン受けの設置やひも張りは、親ツバメが抱卵を始めてから行いましょう。卵を産むまでは、ツバメは異常を感じると巣を放棄してしまうことがありるので注意して下さい。
【ポスターとQ&Aのアップデート】
ツバメとの共生をお願いするポスターを新しいデザインで作成し、Q&Aパンフレットはカラス避けのひも張り方法を書き加えた改訂版を作りました。イラストはフン受けと同じ小川美奈子さんがボランティアで制作してくださいました。ツバメ観察全国ネットワークのホームページからもPDFをダウンロードできます。

【銀座のツバメの餌運びを分析】
ツバメ写真家の佐藤信敏さんに協力していただいて、銀座の老舗デパート松屋銀座に設置させてもらった人工巣で子育てをするツバメが餌を運ぶようすを動画撮影し、283回の餌運びを分析しました。するとメスの方が餌を運ぶ回数が多く、さらにヒナに餌を与えた後に長い時間巣に留まることが分かりました。午前中はハエ、ハチ、羽アリ、チョウ、クサカゲロウなどを運んできているようでした。そして、お昼ごろからはミツバチを運んでくるようになりました。ミツバチはすべてが毒針のないオスバチで、お昼頃に結婚飛行に飛び立つところを捕まえてくるようです。この分析について詳しくは、バードリサーチニュースのWebサイトでご覧いただけます。

【来年はツバメの子育てと餌昆虫の関係を調べたい】
バードリサーチではフン受けや人工巣でツバメの巣場所を守る活動をしてきました。来年からはそれに加えて、ツバメが餌にしている飛翔性昆虫を増やす方法を調べていきたいと考えています。上記の写真にあるような空を飛ぶ昆虫類を十分に捕れることがツバメが生きていくためには大切ですが、ツバメがいつの季節にどんな虫を食べているのかは、ほとんど分かっていません。ツバメにとってよい環境とは、餌の飛翔性昆虫が生息できる環境にほかなりませんが、そのために私たちは街の中にどのような自然を維持していけばよいのでしょうか。来年はツバメの餌に焦点を当てた調査を計画しています。





















