
支援総額
目標金額 3,000,000円
- 支援者
- 175人
- 募集終了日
- 2019年5月31日
伝統は本当に残すべきか?(GW連載チャレンジvol.10最終回)
皆さん、こんにちは!漆とロックの貝沼です。
この連載もいよいよ今日で最終回。
長いと思っていた10連休のゴールデンウィークもあっという間でしたね。なんだか今年の4月終わりから5月の始めは年末年始のようで、ちょっと不思議な感覚がありました。
さて、昨日お伝えした通り、最終回は「伝統は本当に残すべきか?」というテーマで締めたいと思います。
実はこの問いは、昨年、グローバルな活躍を志す学生たちを対象とした一橋大学での特別授業に呼んでいただいた時に、講義の冒頭で投げかけたテーマです。
普段あまり伝統工芸を意識していない若者たちが、果たしてこの問いかけにどう反応するか、少し挑戦的な試みでしたが、30人くらいの学生一人ひとりに自分の意見を話してもらいました。
学生たちは自らの留学経験や、育ってきた地域の特色、身の回りにある伝統のものなどを手掛かりに答えてくれましたが、興味深かったのは、みんなの意見が、「残すべき」という言葉ではなく、「自然に残るんじゃないか」という意見と「できるだけ残って欲しい/なくなったら寂しい」という意見の2つに集約されていったことでした。
これはとても興味深いことだなと思いました。
前者(残るんじゃないか)は「客観的」、後者(残って欲しい)は「主観的」な目線での意見だったからです。
でも、この2つは対立する話ではなく、きっとコインの表裏のような関係です。
何故なら「残って欲しい」という人が増えれば「自然と残る」からです。
そして同時に、残っていくためには、この「自然と」というニュアンスが案外大切になってくるように思います。
この時は、わざと「伝統は残すべきか?」という問いかけにしましたが、僕自身は、伝統を「残すべき」とも「守るべき」とも思っていません。
なぜなら「べき」という義務感で文化は残らないし、それでは少々窮屈だからです。
「文化」は、昔から人の暮らしを豊かに、楽しく、美しくしてきたもののはずです。そして、それがそうあってきたからこそ続いていて、今となっては「伝統文化」と言われるのだと思います。
そして「伝統」とは、時代に合わせてその姿を変えて革新を重ねてきたことそのもの(プロセス)を言うのであって、◯◯百年前からあること(古さ)を競うのが伝統ではないはずです。
でも一方で、いわゆる伝統工芸の世界の片隅で現状を感じている身としては、今「まあ自然に残るんじゃない」とはとても言えませんし、現在の経済合理性の中で自然淘汰されるのを見ているだけではあまりに勿体ないものが沢山あります。
悲観的な義務でもなく、楽観的な放置でもない。本当の答えは、その間にある「愛情」や「愛着」のようなもの、つまり若者たちが語ってくれた「できるだけ残って欲しい/なくなったら寂しい」という思いのように感じます。
自然に湧き上がる「ずっとあって欲しい」「なくなるとしたら寂しい」「人に広めたい・紹介したい」という思いを持つ人をどれだけ増やせるのか。そういう、愛着のバトンリレーがもう一度作れたらと思います。
そのために大切なことは、2つあると考えています。
1つは全体を繋ぎ直すこと、そしてもう1つは価値を伝えていくこと。
1つ目の繋ぎ直しは、「水の循環」に例えると分かりやすいかもしれません。
図にするとこういう感じ。

里山から生まれる自然素材、それを育て、採取や伐採する人がいる。そして作り手に渡り、専門の工程を経て、食卓に届く。それが増えていくことで、源流に水(お金)が戻り、全体の生態系がまた豊かになっていく。
健全な文化は、このような循環の中で育まれるのだと思います。
でも、今は少し、使う人から作る人が見えない。森(素材)のことも、川(作り手)のことも分からない。これがもっと実感できたら、きっと「愛情」や「愛着」を持つ人が増えるはず。
“漆結い”というのは、「人生の門出を祝う」ということをきっかけとした、この世界への入場切符のようなもの。
そのような未来を目指したいと考えています。
2つ目の「価値」の話。
最近好きな言葉があります。
変えるは、還る。
ある時にふと思いついて、自分で気に入って使っている言葉です(笑)。
先ほど「時代の価値に応じて、変革を繰り返してきたのが伝統」だと言いましたが、現代においての「変える」は「還る」ことが最大の価値なのではないかと思う時があります。
これだけ社会が高度化し、AIをはじめとしたテクノロジーが日々進歩していく中、むしろ自然とどこかで繋がること、自分の原初的なルーツを取り戻すこと、そして静かに心を浄化する時間を持つことはますます大切になっていくように思います。
そして、これまで書いてきたように、それが叶うのが漆の器の持つチカラであり価値だと思います。
マーケティングの世界からは工芸品も現代の生活に合わせた商品づくりをしなければいけないと言われますが、(そのアプローチももちろん大切ですが)そのこと以上に、「漆器というものを通じて、暮らしの方を優しくチューニングし直す」ことの方が私たちにとって価値があるのかもしれません。
少なくとも僕は、そのことを実感しています。
最後に、岡本太郎の著書『沖縄文化論 -忘れ去られた日本』から好きな一説を紹介したいと思います。
「今日、歴史は急速に前進するだけだ。世界はますます合理的に組織され、近代的にステレオタイプ化されるだろう。そういう拡大にともなって、一方にパティキュラーな条件、われわれのうちにある生活の初源的な感動は抑圧されてしまう。しかしそれは一種の孤独感として、われわれの内部に逆に深まり強まっていくにちがいない。
われわれが遠く捨て去り、忘れてしまったはずの本来的な生活の肌理(きめ)が、意識化の奥底に生きている。(中略)それが何らかの機会によってむき出しにされたとき、われわれは不意に、言いようのない親近感をおぼえる。それは生甲斐だからだ。」
この、最後の「生甲斐だからだ」という言葉を最初に読んだ時、思わず身震いしたことを覚えています。
そうだ、伝統とは、工芸とは、ガラスケースの中の話ではなく、われわれの「生甲斐」だったのだ。
やっぱり、漆はRockなのだ。
そう、今こそ「われわれの内部に逆に深まり強まっている」ものを解き放ち、「生甲斐」を取り戻していこうではありませんか!
是非、皆さんもその仲間になってください!
この思いが、一人でも多くの方に届くことを祈っています!
===
以上、これでGW10日間の連載も終わりとなります。
10日間連続はなかなか大変で、途中は苦行のようでしたが、やりきってみると、自分でも様々な発見がありましたし、まだまだ書き足りない思いもあります。
お読みいただいた皆さま、本当にありがとうございました。(最初は毎日1,2分で読めるように短めに書きますと言ったのに、結局書き始めたら止まらず、日を追うごとに長くなってしまってごめんなさい。^^;)
またどこかで書くことができたらなと思います。
さて、その前にこのクラウドファンディングを成功しないとスタートラインに立つことが出来ません!
「All or Nothing」方式ですので、残り1ヶ月弱で150万円を集めないと成立となりません。
皆さまのご協力をお待ちしております!
直接のご支援はもちろん、シェアや拡散もとっても有り難いです!
どうぞよろしくお願いします!
リターン
3,000円
心を込めたお礼のメール
「返礼品は必要ない」「手軽に応援したい」という方向けのコースです!品物がない代わりに、心をこめてお礼のメールをお送りします!システム上、配信時期はプロジェクト成立後(6月中)になりますことをご了承ください。
- 申込数
- 27
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2019年6月
5,000円
活動にジョイン!漆結い人(うるしゆいびと)基本の4点セット
【リターン品】
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●お礼のメール
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の4点が付いたコースです。(この4点はこれ以降のコースにも全てセットになります。)
【詳細】
●お礼のメールの配信は、システム上、プロジェクト成立後(6月中)になりますことをご了承ください。
●「漆結い人(うるしゆいびと)会員証ステッカー」やポストカードは、デザイナーさんと一緒に作った上で、郵送にてお届けします!
●漆結い人会員向けには、オンラインサロン(交流会&作戦会議)も開催予定ですので、詳細はまた成立後にメールにてお知らせします。(参加は任意です。)
●ウルシの種はご家庭で植えてみてください。脱蝋の仕方や育て方などの詳細は、お届け時にお知らせします。
- 申込数
- 17
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- 2019年8月
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