醸化する音楽会｜8/11 五感、解禁。音楽と身体性をとり戻す。

落合陽一×日本フィルプロジェクトを応援いただきありがとうございます。クラウドファンディングは残りあと3日、醸化する音楽会 まであと20日となりました。

 

 

 

さて今回は、前半にお届けする伊福部昭作曲の「土俗的三連画」についてご紹介します。「ゴジラ」の音楽でも知られる伊福部昭は北海道出身。小学生の時、父が音更村の村長となったため同地でアイヌと接し、彼らの生活・文化に大きな影響を受けて、「伊福部ワールド」と呼べる音楽にも強く反映されています。伊福部はその後北海道の厚岸で林務官として働きながら作曲を続けていました。当時の彼の”初期作”でもある「土俗的三連画」、このアイヌの人々、暮らし、風景、歌が芸術作品として昇華しています。

 

「三連画」とある通り、曲は3つの風景からできています。

第1楽章「同郷の女達」厚岸の女達の逞しさを表した音楽。第2楽章「ティンベ」厚岸にある小さな半島「チンベの岬」が、”淋しげな墨絵の音色”で奏されます。そして第3楽章「パッカイ」は、伊福部の知り合いであるアイヌの老人が酔っ払うと歌い踊った曲の名前。アイヌ語で「背負う」の意味のようで、独特なリズムが特徴です。

選曲会議でこの曲を聴いた落合、「これ、作曲したの冬？」と指揮の海老原に質問（その通りでした！）。アイヌの風景が見えるようです。

 

アイヌといえば、2019年に通称「アイヌ新法」がようやく制定されたのが記憶に新しいところですね。音楽によってアイヌの文化を知ることで、アイヌの民族の人々に想いを馳せる機会となり、日本再発見の機会となるかもしれません。

 

今回の音楽会の前半のプログラムは、すべて日本人の作品となりました。これはプロジェクトが「今だからやること」「今しかできないこと」「今紹介する意義」なども強く意識して選び出したものです。

「オリンピック・カンパノロジー」では、1964年、鐘、日本の電子音楽、日本の心を。

「土俗的三連画」では、風景、日本文化、アイヌ、そして伊福部昭の音楽世界を。

「交響曲獺祭～磨migaki～　より”発酵”」では文字通り発酵、土着、そして2020年の日本文化発信を。
 

醸す、醸される音楽会。
会場でお楽しみいただきたいです。