「山形国際ドキュメンタリー映画祭 2017」との連携イベントとして、10月12日[木]の18:30から山形県寒河江市のセレクトショップGEAに併設された「レストラン0053」にてインターナショナル・コンペティション上映作品『カラブリア』の上映と監督トークを行いました。

GEA(ギア)は繊維会社として世界的に知られる佐藤繊維株式会社が経営するセレクトショップです。佐藤繊維の糸を使った自社ブランド品はもちろん、世界の各ブランドの貴重な商品を取り揃えるこのお店には県内外から多くのお客さんが詰め掛けます。そのGEA内に2016年にオープンした「レストラン0053」は自社農園の朝採り野菜をふんだんに使ったイタリアンが人気のお店です。山形国際ドキュメンタリー映画祭は、このレストランに映画上映を前提としたシアター設備を導入するためのコンサルタントを務めました。その縁もあり、食と映画文化を発信する定期上映企画「シアター0053」をスタート。ひと月に一回のペースで、上映会でしか味わえない特別メニューと映画館やネット配信などでもなかなか観る機会の少ない貴重な作品の上映で、魅惑の夜を演出してきました。

そして今回待ちに待った監督派遣企画とのコラボがついに実現。スイスのピエール=フランソワ・ソーテ監督作品『カラブリア』を上映することができました。スイスの葬儀会社に勤める二人の男性が、異郷の地で亡くなった移民の男性の遺体を故郷のイタリア・カラブリア州まで移送する旅に密着。移動の車中で交わされる二人のなにげない会話には、人生や愛など普遍的な話題が飛び出します。時に笑い、時に深く考えさせられる、素晴らしいロードムービーでした。とてもチャーミングな主人公二人のキャラクターにご来場いただいたみなさんもすっかり魅了されていたようで、スクリーンを見つめる真剣な眼差しがとても印象的でした。

「シアター0053 カラブリアの夜」と題した今回の上映会では、ソーテ監督の故郷スイスにちなみ、牛すね肉を香味野菜と一緒にトマト味で煮込んだ郷土料理オッソブッコを日本風カレーにアレンジした料理も振舞われました。「レストラン0053」のシェフ自慢の腕と工夫が堪能できる特別メニューに、ソーテ監督にも大変ご満足いただけたようでした。

会場には50名分の座席とお食事をご用意し、予約を募りました。最終的な入場者は43名でしたが、上映中はピエール監督のご家族や通訳の方、会場運営のお手伝いをお願いしたボランティアさんにも着席いただきましたので、ちょうど用意した座席が全て埋まりました。オッソブッコの美味しい香りが漂う満席の会場は、店内の洗練されたオシャレな雰囲気と相まって、映画上映会とは思えぬ、独特な空気に包まれていました。

上映後のトークでは、ソーテ監督から映画の撮影の経緯について、葬儀会社の社員全員をオーディションにかけて最も魅力的な人物二人を絞り込んだこと、スイス人の死生観や移民の人々について(主人公二人もまた移民でしたので、この点への言及が主なところでした)などなど、裏話も含めてお話いただきました。また、続く質疑応答の時間では、撮影手法に関する質問なども飛び出し、観客のみなさんがじっくりと作品に向き合ったからこそ出てくる言葉の数々に、ソーテ監督も「とてもレベルが高い質問が多い」と感心していました。1時間ほどのトーク時間もあっという間に過ぎ、名残惜しい方々は、その後もロビーで監督をつかまえて、個別に質問や感想を伝えていたようです。

今回はじめて海外からのゲストを招いた形で上映を行なった「シアター0053」でしたが、その特別な時間をみなさん存分に楽しまれたようで、当日配布したアンケートの回収率も9割を超え、ほぼ全ての観客の方々から「大変良かった」との感想をいただくことができました。

クラウド・ファンディングによって、この貴重な上映の機会をいただくことができ、とても感謝しています。寒河江市から集っていただいた観客のみなさんと、遠い異国の地に暮らす人々に思いを馳せ、その土地の死生観や移民の問題などについて考えたことは、国際理解と文化の共有という意味においても非常に有意義な時間となりました。ご支援いただいたみなさん、本当にありがとうございました。
(報告者:山形国際ドキュメンタリー映画祭 事務局次長 日下部 克喜)

新着情報一覧へ