プロジェクト概要

日本の技術の結晶「宮彫り」
後世に残していくためにより多くの方に知ってもらいたい

 

初めまして神奈川探龍倶楽部の上田と申します。5年前に観光名所である鎌倉のトイレ事情を調査して「鎌倉トイレマップ」というものを作成したのですが、その中で出会った「寺社の彫り物」の素晴らしさに魅了され、現在ではその魅力を日本人はもちろん世界の方々に伝えるために、映像制作などを行っています。

 

第一弾は、千葉、神奈川を中心に、富山、栃木などを巡り、寺社仏閣の柱や欄間に施される彫刻やその職人(宮彫り師)を訪ねながら、『宮彫り』の魅力を伝える映像を制作しました。そのご縁がきっかけで、神奈川県横須賀市にある西叶神社の拝殿・本殿の修復工事を行う遷座の様子を作成させていただく機会を得ました。

 

素晴らしい宮彫りの修復はもちろん、通常見ることが許されない修復工事の内側を撮影・記録できるこの機会はとても貴重なものです。しかし、文化的にもとても価値のある今回の取り組みを行うにあたって、資金難という大きな壁に直面しています。知られざる日本人の素晴らしい技術を後世に残していくためにも、皆さまのお力が必要です、どうか応援をお願いできないでしょうか。

 

(左上)日光東照宮 眠り猫
(左下)千葉・飯縄寺 伊八の龍
(右)脇障子の昇龍

 

素晴らしい「宮彫り」を映像に残すことからこのプロジェクトは始まりました

 

今回撮影するのは西叶神社の拝殿・本殿の修復工事ですが、実は2017年より、「寺社仏閣の装飾彫り物~宮彫り~」をテーマにした映像制作を行っており、つい先日完成しました。宮彫りの最高作品といわれる日光東照宮はもちろん、千葉方面に多く残っている江戸後期の名工の作品や、鎌倉周辺の寺社などを訪れ、数多くの作品を収めました。また、富山県南砺市井波(木彫りの町)にいらっしゃる現在の名工を訪ね、その技術や製作工程を説明しています。

 

千葉・行元寺での撮影風景
ナビゲーターのメトロポリタン美術館研究員 エリザベス・ティンズレーさんと

 

できあがった作品を、撮影に協力いただいた宮司さんや職人の方々にお見せしたところ「仏像の陰に隠れていた、宮彫りにスポットを当てていただき、感謝します」と、ありがたいお言葉を頂戴しました。また、一緒に寺社仏閣を巡ったりする仲間からは「日本の知られざる芸術を海外に紹介できるね」というコメントもあり、「宮彫り」の素晴らしさ、そして作成した動画の価値を実感しています。

 

また、神奈川県観光協会の方にお見せしたところ、「着地型観光」「体験型観光」の目玉コンテンツとして素晴らしいというお声をいただいたり、旅行会社さんからは海外からの観光客に向けた新しい切り口の企画になるのではという話もあり、文化の発信という点からも手応えを感じています。

 

ご協力いただいた西叶神社の感見宮司

 

170年ぶりに行われる修復工事を後世に残す

 

そして、前回の撮影を進める中で知り合った西叶神社の感見さんから頂いた驚くべきご提案から、今回の企画はスタートしています。

 

「6月から始まる遷座の様子を映像として納め、このような文化がどうやって残されていくのかを記録してくれないか」

 

遷座とは、神様に本殿から仮本殿へ移っていただき、拝殿や本殿を修復した後、改めて神様に本殿にお戻りいただくというものです。もちろん頻繁に行われるわけではなく、なんと約170年ぶりに行われるということです。

 

西叶神社にある「宮彫り」も素晴らしいもので、それが修復される過程を記録するということは、同様の遷座が行われる際の一モデルとして、教科書のようなものになると考えています。加えて、普段見ることのできない作業を多くの方に知ってもらう貴重な機会になると確信しています。

 

<撮影スケジュール>

6月:遷座のタイミングに合わせで撮影を開始

7月〜10月:4〜5回の修復作業の撮影を実施

12月初旬:最後の遷座を撮影

12月中旬〜2019年1月:撮影した素材を編集し、一つの記録映像作品として仕上げます。

 

撮影場所:西叶神社

 

日本の技術の結晶を、世界に、後世に伝えていきたい

 

ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、現在文化庁より「伝統建築工匠の技:木造建造物を受け継ぐための伝統技術」が、ユネスコ無形文化遺産として提案することが決まっています。そして、今回の「宮彫り」は、建造物装飾や建造物修理などに含まれているのです。

 

富山の名工を訪ねて

 

現在では注目されることはあまりないですが、江戸時代後期には、宮大工の一部から、独立した専門職として腕の良い宮彫り師が単独で招聘されるなど、現在も残る素晴らしい作品を手がけてきました。

 

しかしながら、現在では仏像などと異なり、風雨に晒され劣化している場所が本当に多いのが現状です。建物の一部ということでこのままちゃんと修復されずにいくと30年後には、修復すらできない、無残な姿になってしまうのではと思っています。

 

今を映像に残すこと、そしてその修復方法を映像に残すことで、この知られざる日本人の技術の結晶を後世に伝えていくことが、現在私にできることであり、使命であると感じています。どうか皆様、このプロジェクトを応援いただけないでしょうか。

 

素晴らしい作品を後世に

 

<こぼれ話>

かの有名な葛飾北斎の「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」は、波の伊八と呼ばれた武志伊八郎信由の作品に強い影響を受けていると言われています。「絵」を忠実に「宮彫り」再現するのではなく、素晴らしい絵を生み出す源泉になっているほど、その技術力があった一つの証左と言えるでしょう。

(左) 「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」葛飾北斎
(右)千葉・行元寺 武志伊八郎信由