先日行きつけの本屋に行った時の話です。

 行きつけと言っても友達の住む町の最寄り駅なので、寄るのは数か月に1度くらいの割合なのですが。

 

 文庫の新刊コーナーで、私は思わず足を止めました。文芸社の本が平積みになっているのを見たからです。

 失礼ながら、文芸社は基本的に自費出版の会社ですし、まして文芸社文庫は創設してからまだ5年ほどなので、平積みになっているのを初めて見たのです。

 その本は文芸社が今推しているものだったので、運よくヒットすればこういうこともあるのだなぁと、羨ましくもしみじみと眺めました。

 文芸社文庫は2000タイトルほどもう出版されていると聞いていたので、他に出ている本はあるのか興味を持って探してみました。

 正直なところ、他の本屋では見たことがなかったため、探しても見つからないだろうと思いました。

 せいぜい売れている本が3冊も見つかればいいだろうと。

 そんな失礼なことを思いながら、何気なく辺りを見回したときに驚きました。

 文芸社文庫だけの棚を見つけたからです。

 文芸社文庫は1年契約なので、もしかしたら今出版されているもののほとんどが並んでいたかもしれません。

 新刊のコーナーまで作られていて、唖然としてしまいました。

 手に取ってみると、他に流通している文庫本となんら遜色ない立派な出来栄えでした。

 何も知らない人が見たら、ここに並んでいる本はすべて普通の作家が書いたものだと思うでしょう。

 唖然とした後に静かな感動が起き、そしてそれは悔しさに変わっていきました。

 

 文芸社文庫の創設時、私は文芸社の担当に声を掛けられていたのです。

「文芸社の新しい世界を切り拓くために文庫本に力を入れることになりました。最初の100選に「華麗なる孤独」が選ばれたので、ぜひ出版しませんか」と。

 私はそうとう悩みました。一時は契約を結びました。

 でも夢はかなわなかったのです。

 その理由はシンプルに「出版費用がなかったから」です。

 

 こちらに並んでいた本は、言い方が悪いですが、すべて素人が書いたものとは思えない作品ばかりでした。

 そして私も「お金さえあれば」当たり前のように自分の作品がここに並んでいたのです。

 営業ということももちろんありますが、文芸社がたびたび声をかけてくださるのは、一定の実力は見込んでくれてのことだと思います。

 でも実力だけではここに並ぶことはできないのです。

 その現実に悔しさを覚えたのです。

 

 プロジェクトも残すところいよいよあと1週間となり、非常に厳しい状況です。

 それでもあきらめず、自分に悔いのないように完走します。

 お願いをするだけで本当に恐縮なのですが、温かいご支援と応援を引き続きよろしくお願いいたします。

 

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