小説好きのあなたに未発表の作品を届けたい。
支援総額
目標金額 1,100,000円
- 支援者
- 0人
- 募集終了日
- 2021年5月10日
(上)『ホタテと瓢箪』。その14。「広義の労働」
Reiは能登の夕陽に拍手した後の車中でカタロニアを語った。
「アナーキストたちはカタロニアの北の村々をUnionとして組織したんだ。ひとつの村にひとつのUnion。これらを横に繫げて連合体に仕上げた。カルドナのUnionが中核になった。カルドナ城は連合体のシンボル。スペイン語でUnionとは労働組合。村人たちは攻め込まれると城に逃げ込んだ。そこから体制を整え反撃した。内戦が終わる最後まで勇敢にファシストと戦ったのが北カタロニアの村々のUnion。勇敢に戦う労働組合員たちには夢が在った。スペインからの独立。フランコに敗れたならば独立できない。カルドナのUnionは城のお陰もあって此の地を守り通した。カタロニアの人たちの民族的特質は結束・勇気・努力。それが村ごと労働組合になったなら強い。俺はこれだと思った」
「ごめんなさい。わたし。Reiのこれだを掴めないの…」
「そうか。無理もない。説明するね」
「お願いします。出来る限り分かりやすく…」
「カタロニア南部の中心地はバルセロナ。バルセロナは古くからの工業都市。労働組合の誕生も早い。一八四〇年。バルセロナのUnionは賃金労働者の結集。今と変わらない。主に工場労働者たち。俺は労働組合の未来を考えていた。このままでは未来が無いからだ。マッカサーの民主化政策の下では組織率は五五%を超えた。今は一七.五%。ジリ貧状態はこれからも続く。新しく労働組合を作ろうとする元気な若者が居なくなったのは労働組合に夢を持てなくなったからだ。首相官邸に『連合』の幹部が陳情に出向いた。首相から経済界や主要大企業に春闘における賃上げを促す働きかけを求める陳情。民間企業の賃上げの水準が高くなれば秋に出される人事院勧告の賃上げ率も上がる。『連合』は陳情しておきながらも選挙では野党を支持応援する。情けないを通り越して呆れるばかり。俺に言わせるなら『恥を知れ』。ごめん。横道に反れてしまった。カルドナのUnionは村人全部が労働組合員。老人も壮年も青年も少年も子供も。女たちも。障害者もみんな組合員。俺は賃金労働を狭義の労働と規定した。狭義があれば広義がある。広義の労働とは生きるために必要な活動のすべて。もちろん賃金労働も含まれる。人間が生きようとする活動は幅が広い。俺は広義の労働概念による労働組合を創ろうと決めた。そのヒントをカルドナからもらった」
「Reiのその考えだと誰でも労働組合員になれるね」
「そうさ。成功すれば労働組合の未来に光が当たる」
「誰も試みていないよね。失敗できないよね」
「できない」
この時わたしはReiはカルドナに行ったことが在ると思った。
「Rei。何時カルドナに行ったの…」
「何時か行こうと考えている。それも少しでも早くに」
「だったら一緒に行きましょう」
「うん。一緒に行けたらシアワセだな…」
リターン
5,000円
応援してくれた方には直ちに感謝のメールを送らせてもらいます。
『どうせ死ぬなら恋してから(上)(下)』の書籍を郵送します。
- 支援者
- 0人
- 在庫数
- 200
- 発送完了予定月
- 2021年7月
10,000円
10000円の方へ。御礼と感謝のメールを直ちに送らせてもらいます。
『どうせ死ぬなら恋してから』の書籍を郵送します。それと拙著の『未来探検隊』(圧縮ワープロ原稿)を添付メールで送ります。
- 支援者
- 0人
- 在庫数
- 200
- 発送完了予定月
- 2021年7月
15,000円
15000円の方へ。御礼と感謝のメールを直ちに送らせて頂きます。
『どうせ死ぬなら恋してから』の書籍を郵送します。それと拙著の『未来探検隊』『スパニッシュダンス(上)(下)』をワープロ圧縮原稿を添付メールで送信します。
- 支援者
- 0人
- 在庫数
- 200
- 発送完了予定月
- 2021年7月
20,000円
20000円の方へ。御礼と感謝のメールを直ちに送らせて頂きます。
『どうせ死ぬなら恋してから(上)(下)』の書籍を郵送します。次に『未来探検隊』『スパニッシュダンス(上)(下)』『』アンダルシアの木洩れ日』のワープロ圧縮原稿を添付メールで送ります。
- 支援者
- 0人
- 在庫数
- 200
- 発送完了予定月
- 2021年7月