イマンジャマさんの作風と絵本に込めた思い（金山麻美）Part I

絵本『ニョタの不思議な音楽』の絵は、その空気まで伝わってきそうな透明感ある水彩画ですが、その絵を描いたフランシス パトリック イマンジャマ（Francis Patrick Imanjama)さんは、エッチング（銅版画）の名手でもあります。動物たちや村の人たちが登場する作品が多く、その優しい色合いを眺めているととても平和な気持ちになってきます。
　この文章を書いているわたし、金山麻美は1989年から2019年までタンザニアに住んでいました。JAPAN TANZANIAツアーズという旅行会社をやっていて、現在もタンザニアに来ています。イマンジャマさんとは30年来の付き合いですが、トレードマークのようにいつもかぶっているハンチング帽のイメージも、その下の優しい瞳も何年経っても全く変わりません。先日もイマンジャマさんに会う機会があったのでその時のインタビューも交えてイマンジャマさんのことをご紹介します。

＜動物と子どもたちとマジェレコと日本と＞

　イマンジャマさんの作品には動物たちが登場することが多いです。彼は「動物たちと子どもたちだけの世界なら、戦争は起きない。彼らは平和に生きていくことしか知らないのだから」と言います。だから平和を願いながら動物たちや子どもたちの世界を描くことが多いのだそうです。それと共にタンザニアの人々が培ってきた生活や文化も伝えていきたいと。

　そういうイマンジャマさんなので、この絵本を担当することができたのは、ことのほかの喜びと言っています。制作過程では、スケッチができると周りにいたタンザニアの子どもたちにも見せて、子どもたちの声も聞きながら描いていったとのことです。そのタンザニアの子どもたちの声も絵本から伝わってきそうですね。

　「絵本に登場するマジェレコ村の子どもたちは、日本の子どもたちがこの本を読むと知ったらとても喜ぶでしょう。日本の子どもたち、そして大人たちもこの絵本を通してマジェレコ村に一緒にいる気持ちになってもらえたらとても嬉しいです。

Cheza na kuimba kwa furaha pamoja na watoto wa Majereko, Wajisikie kama wako pamoja.

（マジェレコの子どもたちと共に歌って踊りましょう。一緒にいる気持ちになりましょう）」と、イマンジャマさんは語ります。いつもの優しい口調を弾ませながら。　　　　　　　　　　　　　　　　　　

金山麻美（JATA Tours）