子ども達の健康な未来を支えるラオ・フレンズ小児病院の専門外来継続を 2枚目
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寄付総額

5,021,000

目標金額 4,500,000円

寄付者
225人
募集終了日
2024年8月31日

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2024年08月17日 18:00

6つの医療が遠い

今日は私が途上国で25年医療に関わっている中で感じている6つの医療が遠い』ということをお話ししたいと思います。

 

ラオスのような途上国で今実現しようとしているのが、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジというヘルスシステムの構築です。これは、

すべての人が

☑ 必要なときに

☑ 支払いできる費用で

治療や予防などの基礎的な医療サービスが受けられる状態

 

SDGsの目標3(すべての人に健康と福祉を)のターゲットとしても掲げられていることですが、これが実現すればとてもいいと思いますし、医療が身近にあるということなのだと思うのです。

注) SDGs:持続可能な開発目標(2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標)

 

ただ、私がカンボジアとラオスの25年間の経験で実感しているのが、いろいろな意味で【医療が遠い】ということです。私の個人的な意見ではありますが、『6つの医療が遠い』を感じています。何が医療を遠ざけているのかというお話しをしてみたいと思います。

 

1.距離・アクセス・経済的負担が原因で行きたくても行かれない状況があります。

病院には立派な車があるにも関わらず、道路事情によってはどうにもならないことがあります。

 

 

これは、ここから更に1時間先の患者さん宅にたどり着く前にハマってしまった時の写真で、ドライバーさんに車の対応をお任せし、徒歩1時間をかけて患者さんの家へ行きました。

 

訪問の帰り道。徒歩でもどる途中で、ものすごいスコールに見舞われて、ぐちゃぐちゃ。洋服が雨でずっしりと重たくなり全部脱ぎ捨て、カッパの下は素っ裸。車に戻り、みんなで車をドロドロから引き揚げ病院へ戻ったのは夜中でした。このような道を車がない患者さんたちは歩いたり、オートバイで病院へ行かなければならないわけです。公共の乗り合いトラックもある地域もありますが、交通費が捻出できないことがとても多くあります。

 

 

2. 習慣・しきたり:文化により信じていることによる行動です。

 

 

この写真は病を治すために祈祷師が儀式をしたあとの印(赤で囲った部分)として、扉と家の前に草というか小枝を掲げているものです。ラオスでは民族によって様々な独自の習慣や信じていることがあります。

日本でも地域によって似たようなものがあると思いますが、ある民族では、病気になるのは悪いものが体に入ったと思ったり、体内にいるはずの魂が逃げ出していってしまったことで病気になると考え、悪いものを取り除くためや逃げて行った魂が戻ってくるように儀式をすることがあります。病気になった時に病院へ来るよりもこの祈祷を試すことがありますし、病院へ来てもこの儀式をしたいので治療が終了していなくても帰りたいという家族が少なくありません。

 

私たちは医療を提供する側として、病状と治療、今帰宅してしまうことによって起こりうること(死亡の可能性など)を説明しますが、どうしても帰りたいという人はまれではなく、黙って帰ってしまう人もいます。信じていることを頭から否定することは、そこから先の人間関係構築には決して良いことはないと思うので、私たちは一旦ご家族の意向を理解していることを伝えます。そこからベストな方法を探すということを心がけていますが、どうしても帰宅すると言って帰ってしまったときには、心が葛藤します。

 

3. 価値観・認識: 病院へ行くか行かないかをどう決めるかということです。

ある日、手に火傷の受傷後、病院での治療を行わなかったために、人差し指から小指までがくっついてしまいまっすぐに伸ばせない状態で指が固まっている女の子に出会いました。

 

受傷直後には薬草を塗ってしのぎ、幸運なことに感染症もひどくならずに済んだようですが、そのまま固まってしまったので、手を使う動作には支障が出るようになってしまいました。しかし、今となっては、特に激しい痛みもないために、今更病院へ行こうとは判断されていませんでした。日々生き残っていくためには、様々な行動に優先順位をつけなければならないことが多くあります。この症例も特に痛みがないものならば、畑や田んぼの作業の手を止め、交通費を使って病院へ行くよりも、農作業を終えることの方が優先だったのだと思いました。特に子どもの場合には、親がどのように判断するのかを決めるために、その影響が子どもの健康へ及びます。この女の子の場合、ご家族に形成外科の手術ができることを説明して病院へ来てもらうことができました。くっついてしまって突っ張っている部分を少し緩めてあげる手術でしたが、生活の質を少し上げることにつながりました。

 

4. 医療の質:病院へ行ったときに適切な医療が存在するかどうかで、適切な医療が受けられなければそれは、医療への距離が遠いのと同じだというとらえ方をしました。

適切な医療が提供できない理由は、物や器材の不足、施設が整備されていない、そこで働く人材の質もあり得ると思います。

 

 

この写真はある郡病院の分娩室です。写真では不明瞭ですが、近くで見ると血液がついて、枕はとても汚れていました。一度も換えたことがないのでは・・と思うほど。このようなところへ行ってお産をしたいかどうか、もし、交通費を使って頑張って病院へ行っても良くならないなど、満足した医療が提供されなければ二度と足を運ぶこともなくなってしまうかもしれないですよね。医療の質として、実際の医療従者数も日本に比べると少ないということがこの表から分かるかと思います。

 

 

5.患者さん側の準備:ここまでのいろいろな壁を乗り越えて病院へたどり着き適切な医療を受けられる状況にありながらも、患者さん側の知識、文化、言語などの新たな壁が医療を受けることができないことにつながっていることがあります。

 

 

この写真はお母さんが数字のお勉強をしているところです。このお母さんも小さな息子ちゃんもHIVに感染していました。HIVのお薬は正確に決まった時間に服用することがとても重要です。しかし、時計を知らない、数字が分からない家族にとって、1212時間おきにお薬を飲んでくださいということは簡単ではありません。お薬を飲むために数字のお勉強から始める必要がありました。

 

6.心の距離:最後の遠いは、人々と医療従事者の心の距離です。

つまり信頼関係です。命に関わる治療やケアを委ねることができるのは、やはり信頼関係が必須です。助けてもらいたいと思ったときに、足を運ぶのは信頼のおける医療者だと思います。心の距離を数値で測ることはできませんが、近づいていることの一つの指標にできそうなのは、『電話の本数』です。

 

この数年、患者さん、ご家族からの電話による問い合わせがとても増えているということです。私が担当する訪問看護の活動では、患者さんご家族に必ず訪問看護チームの業務用電話番号を渡しています。「何か困ったことがあったらすぐに電話してちょうだい」と伝えています。以前は子どもが病気になった時、病院へ行くべきか??行かなくてもよいかも??お金もないし…と考え一日延ばしにして悪化、命に関わるようなことになることもありました。しかし、今は、ひとまず病院へ電話し、行くべきかどうかが分かるだけで家族の負担は軽減し、適切な時に病院へ行くことも可能にしています。

 

 

こうした遠いを少しずつ近づけていきたいと頑張っています。そして、今回の専門外来も当院で提供する医療がより効果的に適切に提供され、一歩近づけることにつながると期待しています。

ギフト

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3,000円プラン

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・寄付者限定イベントへのご招待(2025年8月開催予定。ご案内をクラウドファンディング終了後に別途お送りします。)

※ギフト送付先にご記入いただいたお名前が寄付金領収証の宛名となります寄付金領収証の日付は、フレンズ・ウィズアウト・ア・ボーダーJAPANへ入金される2024年10月の日付となり、2024年の所得に対する確定申告の対象です。2024年12月までに送付いたします。

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