ファージが最愛のペットを救える未来へー多剤耐性菌感染症の切り札ー

ファージが最愛のペットを救える未来へー多剤耐性菌感染症の切り札ー

寄付総額

10,557,000

目標金額 7,000,000円

寄付者
311人
募集終了日
2022年8月29日

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2022年08月16日 09:12

<カリフォルニア・ファージ書簡> 第4回

<カリフォルニア・ファージ書簡> 第4回 ファージセラピー研究最前線

 

皆さんこんにちは。本日はUCSDから藤木がファージセラピー研究について記事をお届け出来ればと思います。 ※普段より少々記事が長いです。

 

 日本では未だファージセラピーについて馴染みがあまり無いかと思いますが、西洋諸国でも決してメジャーな治療法という訳では有りません。しかしながら、抗菌薬の効かない薬剤耐性菌の顕在化を背景に、確実に注目を大きくしている感染症治療法の一つです。ヒト医療への応用はもちろん、家畜やペットに対する応用も行われていて、意外に思われるかもしれないですが、ポーランドなどの製薬メーカは養鶏や水産業向けのファージ製剤を既に販売もしています(Proteon Pharmaceuticals: https://www.proteonpharma.com/)。以前にProteon Pharmaceuticalsの担当者の方と話した際には、日本は「進出が極めて難しいマーケットだ」と仰っていました。これは新しい製剤の承認・販売プロセスが行政的にとても難しいことを受けての感想では無いかと思います。

 

 しかしながら、これは逆手をとると国外のメーカは日本のマーケットを注視しているとも考えられます。すなわち、日本国内でファージセラピー研究が進展し無いと、もしかすると30年、40年先には、日本では輸入されたファージ製剤、ファージセラピーにしか頼れなくなるのかもしれません。このコロナ禍にあっても、日本のワクチン、抗ウイルス薬の開発・製造は欧米諸国の後塵を拝した感が否めません。この点から鑑みても、現在のフェーズで日本のファージセラピーを大きく前に転がすことができるか、これは2100年くらいの日本の医療基盤を占う上で、極めて大切な時期と考えています。今この記事を読んでくださっている読者の皆様も、ファージセラピー的にはそんな重大局面の転換期を生きているということです!今回のクラウドファンディングを契機に、ファージセラピーの盛衰を注視頂き、ぜひ歴史の証人になって頂きたいくらいです。個人的には、自分が晩年に病床に臥す頃に、病室のベッドで遂に国内製造されたファージバイアルを片手にとり、研究生活を回顧できれば満点のスピード感かなとも思っています。

 

 さて、そんなロングスケールの規模間でも、自分の目の前でできることは一つ一つの実験でしかありません。しかしながら、そんな小さな実験の積み重ねだけが、恐らくとんでもないステージまで続く唯一の道のりの様にも思えます。本プロジェクトのリーダーである岩野教授が書かれているように、日本のファージセラピーは獣医から始まりましたね、と言われる様に基礎実験や臨床試験症例の成功に向けて邁進するのみです。

 

ファージが作るプラーク(1粒子のファージからしっかり殺菌された証拠)。
いつ、どこでもファージは正直にプラークを作ってくれます。
​​​​​渡米直後にこちらのラボでプラークを作らせた瞬間は、妙な感動に包まれました。

 

 本学の臨床試験症例でも言えることですが、これまでのファージセラピーの適応症は、いわゆる古典的な“感染症”でした。つまり、原因となる細菌が患部で悪さをし、炎症を起こしているようなケースです。例えば欧米で開発が進められてきたファージ製剤は、耳の炎症(外耳炎、酪農大でのファージセラピー成功症例と同一)や熱傷に伴う皮膚感染、術後の創傷感染などをターゲットとしてきました。自分が日本で所属している酪農大・獣医生化学教室でも、基本的にこういった感染症を解決するための手段としてファージセラピーの研究を展開しています。もちろん、原因となる細菌に抗菌薬が効きにくいことが大きな問題です。一方で、私たちの最新の研究成果では、細菌はファージにも(特に試験管内ではとても簡単に)耐性化し、抗菌薬同様の課題が有ることを提示しています。そこで、私たちが取り組んでいることが、①ファージ耐性化の根本的な阻止、そして②ファージ耐性化の“都合の良い”誘導です。

 

 ①は、とても分かりやすいアイデアで、世界的にも、複数のファージを組み合わせて(なんでも良いという訳ではない)カクテルにすることで効果が得られることが実証されています。我々も、緑膿菌に対して効果の高いファージカクテルの設計方法を見出したり、或いはそういった考え方に基づいて臨床試験に臨んでいます。また、②の戦略では、“都合の良い”誘導って何?と思われると推察されます。ファージセラピーでは基本的に抗菌薬が効きにくい細菌を相手にする訳ですが、例えば、そんな細菌がファージに耐性化してしまった時、かわりに抗菌薬の効き目が回復すればなかなか凄くないでしょうか?これがファージ耐性化を感染症治療にとって都合よく、有利に誘導するという方策です。私たちの最新の研究では、緑膿菌に対してこういった戦略が有効となるパタンを発見し(つまりファージが効かなくなると今度は抗菌薬の効き易さが上がる仕組みを発見!最後に抗菌薬でとどめをうてる!)、また、他の薬剤耐性菌に対してもファージに耐性化すると劇的に抗菌薬が効きやすくなる場合があることを見出しています。

 

ファージ実験用キャビネットとT4ファージ in 酪農大。
学生さんが日々、ファージセラピーの研究に打ち込んでいます。​​​​

 

 一方で、UCSDで取り組んでいる研究では、“非”感染症領域におけるファージセラピーの実現を目指しています。こんな背景もあって、UCSDでの細かい所属は医学部消化器内科学講座になっています。ご存知の方も多いかもしれませんが、私たちの腸内には本当にたくさんの細菌が存在しており、いわゆる腸内細菌叢を構成しています。もはや一つの臓器として振舞っているかのように、私たちの健康にとても大きな役割を果たしています。特に、自分がUCSDで所属しているラボでは、この腸内細菌叢の乱れと肝臓病との関係を専門としています。これまでに、腸内で特定の細菌種が増えると、それに伴って肝疾患が引き起こされることを発表しています。こういった疾患は、感染症のように急激な変化を伴うというよりは、いわゆる慢性的な経過をとることが多く、じわじわと進行するまさに生活習慣病のイメージです。

 

 既にお気づきの方も多いかもしれませんが、肝臓病の原因の一端を腸内の細菌が担っているということは、“腸内細菌叢の乱れをファージで改善すると、もしかすると慢性肝臓病も良くなるかも!”と考えることができます。これが自分のUCSDでの研究テーマです。腸内細菌叢の乱れを抗菌薬で治そうとすると、いわゆる体にとって良い細菌までも殺菌してしまい、より一層腸内細菌叢を乱してしまう懸念があります。なので、特定の細菌だけを殺菌できるファージが良い(良い細菌は殺菌しないで残せる)という理屈になります。

 

現在使用しているベンチ。さて、ここからどんな発見が生まれてくるのか…​​​​

 

 UCSDではこういった非感染症領域でのファージセラピーの研究に着手できましたので、日本に帰国後にはこういった慢性代謝性疾患なども対象にファージセラピーの枠組みを拡張できればと思っています。是非、臨床試験まで繋げたいプロジェクトです(一方で、自分の専門領域のラボに留学すると、帰国後にその焼き直しや違う種類の同じものをやりがちなのが少し怖いですね、つまり本当の意味の斬新な発見が少なくなるかも)。ひた向きに新しい発見に向けて少しずつデータを蓄積して行ければと思います。配信の残り回数も少なくなりましたが、次回はサンディエゴの魅力をレポートしたいと思います!

ギフト

3,000+システム利用料


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3千円|応援コース

・お礼のメール
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寄付者
97人
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発送完了予定月
2023年3月

10,000+システム利用料


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1万円|クリアファイルコース

・お礼のメール
・活動報告レポート
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寄付者
148人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2023年3月

30,000+システム利用料


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3万円|お気持ち上乗せ・クリアファイルコース

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寄付者
30人
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制限なし
発送完了予定月
2023年3月

50,000+システム利用料


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5万円|オンラインセミナーコース

・お礼のメール
・活動報告レポート
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・酪農学園基金HPにご芳名を掲載 ※希望者のみ/ギフトのお届け先として登録されているお名前が掲載されます
・オリジナルキャラクターのスマホ壁紙
・オリジナルキャラクターのクリアファイル
・オンラインセミナー ※2022年秋頃実施予定/詳細は日程確定次第実施の2週間前までにご連絡差し上げます

※寄付領収証明書は、本学園への入金日の2022年10月の日付になり、2022年10月中旬から11月ごろの発送を予定しております。

寄付者
17人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2023年3月

100,000+システム利用料


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10万円|研究室ツアーコース / オンラインセミナー

・お礼のメール
・活動報告レポート
・寄付領収証明書 ※寄付領収証明書の宛名はギフトのお届け先として登録されているお名前となります
・酪農学園基金HPにご芳名を掲載 ※希望者のみ/ギフトのお届け先として登録されているお名前が掲載されます
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・オンラインセミナー ※2022年秋頃実施予定/詳細は日程確定次第実施の2週間前までにご連絡差し上げます
・研究室ツアー ※日程等詳細は寄付募集終了後1年内に個別に調整となります/何らかの事情により実施不可の場合もご返金致しかねます/交通費はご自身でご負担ください

※寄付領収証明書は、本学園への入金日の2022年10月の日付になり、2022年10月中旬から11月ごろの発送を予定しております。

寄付者
13人
在庫数
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2023年3月

500,000+システム利用料


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50万円|企業さま/団体さま向け・オンライン講演会コース

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・オンライン講演会 ※日程等詳細は寄付募集終了後1年内に個別に調整となります/何らかの事情により実施不可の場合もご返金致しかねます

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寄付者
5人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2023年3月

1,000,000+システム利用料


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100万円|企業さま/団体さま向け・出張講演会コース

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・研究室ツアー ※日程等詳細は寄付募集終了後1年内に個別に調整となります/何らかの事情により実施不可の場合もご返金致しかねます/交通費はご自身でご負担ください
・出張講演会 ※日程等詳細は寄付募集終了後1年内に個別に調整となります/何らかの事情により実施不可の場合もご返金致しかねます/交通費のご負担をお願いします

※寄付領収証明書は、本学園への入金日の2022年10月の日付になり、2022年10月中旬から11月ごろの発送を予定しております。

寄付者
0人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2023年3月

3,000,000+システム利用料


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300万円|企業さま/団体さま向け・カスタム可能出張講演会コース

・お礼のメール
・活動報告レポート
・寄付領収証明書 ※寄付領収証明書の宛名はギフトのお届け先として登録されているお名前となります
・酪農学園基金HPにご芳名を掲載 ※希望者のみ/ギフトのお届け先として登録されているお名前が掲載されます
・オリジナルキャラクターのスマホ壁紙
・研究室ツアー ※日程等詳細は寄付募集終了後1年内に個別に調整となります/何らかの事情により実施不可の場合もご返金致しかねます/交通費はご自身でご負担ください
・出張講演会 ※個別に内容のカスタマイズが可能です/日程等詳細は寄付募集終了後1年内に個別に調整となります/何らかの事情により実施不可の場合もご返金致しかねます/交通費のご負担をお願いします

※寄付領収証明書は、本学園への入金日の2022年10月の日付になり、2022年10月中旬から11月ごろの発送を予定しております。

寄付者
1人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2023年3月

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