「一番幸福な地下鉄電車」を目指し続けて。
この度は「オレンジ色の銀座線 救出・保存プロジェクト」に、多大なるご支援を頂き、誠にありがとうございました。
本終了報告は、プロジェクトページ上に記載されている実施内容(デハ1002号(2040号)の輸送・安全対策工事)が、皆様よりご支援頂いた支援金によって、目的通りに実施完了したことの報告でございます。
READYFORのシステム上、返礼品の準備状況とは関係なく、クラウドファンディング終了後に「実施報告」を投稿する必要があるため、本報告をお届けしております。
地下鉄電車保存会では、返礼品の制作・発送や今後のイベント実施を含め、責任を持って引き続き取り組んでまいります。
デハ1002号(2040号)の保存プロジェクトは、決して終わることがありません。
この一両に込められた都市の記憶と皆様の想いを未来に受け継ぐため、これからも歩みを止めることなく活動を続けてまいります。
今回のクラウドファンディングには、414名もの方々から、総額8,063,000円という大きなご支援を頂戴しました。
皆様のお力添えにより、「銚子電気鉄道デハ1002号(営団地下鉄銀座線・丸ノ内線2040号)」の保存が正式に実現いたしました。
現地・首都圏電車区では、車両譲渡に必要な工事を無事に終えることができました。
引き続き、静かに再起の時を待つデハ1002号(2040号)の整備・修復に向けた準備を進めています。
返礼品も、先月より準備が整ったものから順次発送を開始しております。
「オレンジ色の銀座線 最終走者」の物語の証を皆様のお手元にお届けできるよう、保存会一同取り組んでおります。
デハ1002号(2040号)の保存は、昨年からの「首都圏電車区」での車両保存の一環として、小田急2200形、営団2000形と続く昭和の私鉄電車保存の重要な成果でした。
あらためて、関係者の皆様、そして全国から支えてくださったご支援者の皆様に、深く御礼申し上げます。
【次の挑戦─57年ぶりの再会を目指して】
そして今、首都圏電車区では新たな挑戦が始まっています。
解体目前の京王井の頭線3000系3701号車(現・北陸鉄道8811号)の首都圏帰還プロジェクトです。
▼クラウドファンディングページはこちら
解体目前の京王井の頭線3000系を再び首都圏へ。北陸発・帰還の旅
この車両は1962年に製造された京王3000系のトップナンバーであり、オールステンレス車体に日本初のFRP製の前面を採用した、きわめて先進的な通勤電車でした。
翌年には第3回ローレル賞を受賞し、井の頭線・レインボーカラーの第一号車です。
引退後は北陸鉄道に譲渡され、浅野川線で「8000系」として29年ものあいだ第二の人生を歩んできましたが、今年春、63年間の運行を終え、現在は解体の瀬戸際にあります。
この新たなプロジェクトは、デハ1002号(2040号)にとっても極めて特別な意味を持っています。
かつて昭和の渋谷駅では、銀座線と井の頭線の電車が、青空の下で肩を並べて出発を待つ日常がありました。
そう、そこにいたのが―
銀座線2000形と井の頭線3000系なのです。
2040号は1968年、方南町支線へ転属して以来、両車両は別々の道を歩み始め、57年間もの長い時が流れました。
そして現在、渋谷の再開発が進む中で、かつてのように銀座線と井の頭線の電車を同時に眺めることも、もはや叶いません。
しかし、首都圏電車区にこの2両が揃えば、
その「記憶」を令和の時代に蘇らせることができるかもしれません。
今回のクラファンの最中、私はこう触れさせていただきました。
「100年の日本の地下鉄の歴史の中で、一番幸福な生涯を送った地下鉄電車にしたい」と。
引退後も人々の記憶に残り、新たな使命を与えられて歩み続ける。
デハ1002号(2040号)がそのような存在になることを、私たちは願い続けてきました。
今回の挑戦が成功すれば――
かつて渋谷駅の空の下で別れた2両が、57年ぶりに再会することができます。
首都圏電車区で昭和の電車たちが、新たな「出発」を待つその姿を、多くの方々にご覧いただける日が来るはずです。
このプロジェクトは、2025年6月3日〜7月31日まで実施されています。
冬季には積雪の影響により、大型車両の輸送が困難となるため、今回が最初で最後の機会となり、達成できなければ救出・保存はできません。
デハ1002号(2040号)を支えてくださった皆様。
どうか、かつて渋谷駅で肩を並べていた2両の「57年ぶりの奇跡の再会」にも、どうか力をお貸しいただけないでしょうか。
▼クラウドファンディングページはこちら
解体目前の京王井の頭線3000系を再び首都圏へ。北陸発・帰還の旅
デハ1002号(2040号)は、今も静かに首都圏電車区で、再会を待ち続けています。
私たちはこれからも、実物車両を通じて、首都圏の都市と鉄道の記憶のバトンを後世に伝えていく活動に尽力してまいります。
このプロジェクトにご支援くださったすべての皆様に、あらためて心より感謝申し上げます。
皆様と共にデハ1002号(2040号)が「一番幸福な地下鉄電車」を目指す挑戦に、今後ともお力添えを賜れますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
本当にありがとうございました。
地下鉄電車保存会
会長 今井 美槻




























