寄付総額
目標金額 1,500,000円
- 寄付者
- 181人
- 募集終了日
- 2020年12月25日
連載企画「高木家文書」の裏話6回 ー獣と高木家ー
朝晩の清々しさに秋を感じるこの頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。高木家文書の裏話第6回は、獣(けもの)にまつわる話題をお届けします。
天明4(1784)年の日記には、村人ら3名が2匹の狼に襲われた翌日の様子が描かれています。早朝に報告を受けると、高木家は家臣大嶽半之進に山狩りを命じました。大嶽はすぐに武装し、近隣の村々と協力して動員配置を行い、鉄砲を携えて狼捕獲に向かいました。村々の谷や林、田畑をくまなく探しましたが見つからず、夜になったので引き上げました。夜明け頃、狂ったように南へと走る狼が目撃されました。その後、高木領を離れた狼は、一匹は伊勢国の篠立村(現在の三重県いなべ市藤原町篠立付近)で、もう一匹は市之瀬村(現在の岐阜県大垣市上石津町一之瀬付近)で仕留められ、一件落着となりました。
この日の日記には、捕らえらえた狼の詳細が記録されています。
(F3-1-67)
(画像赤枠部分)
一 大サ胴之長凡五尺六寸程 (体長約1.7m)
一 高サ凡弐尺斗り (高さ約60cm)
一 上牙壱本、下牙弐本、長サ壱寸程 (牙の長さ約3cm)
一 足之裏差渡五寸四方、水かき爪之先迄有之 (足裏の大きさ約15cm四方、爪の先まで水かきが付いている)
一 毛色灰色
一 尾之長サ弐尺程 (尻尾の長さ約60cm)
この記録は市之瀬村の者からの伝聞によって書かれたものですが、足が大きく、水かきがあることなど、狼の特徴をよく捉えています。明治末期に絶滅したと考えられているニホンオオカミ。現在は資料でしかその生態を知ることはできませんが、ここに登場する狼は、比較的大型のものだったようです。
このように、危険と隣り合わせの当時の生活では、人々を害獣から守ることも領主の重要な役目のひとつでした。
次にご紹介するのは、西家10代当主貞臧(さだよし)(1745-1819)の猪狩での武勇伝です。突如襲ってきた大猪を、貞臧は冷静に鉄砲で打ち取りました。その猪の大きさに人々が驚いた様子が描かれています。
(補遺D3-3-285)
ある日、殿様(貞臧)が深山で簡単な猪狩を行うと仰せ付けられました。そして、側近だけを召し連れて、猪や鹿を狩りに出かけました。すると、大猪が1頭出てきたので、すぐさま殿様が鉄炮を打ちかけたところ、猪に命中しました。しかし、猪は鉄炮弾を受けたことにもひるまず、手負いとなったためその勢い盛んなことそれまでの10倍となり、殿様にまっしぐらで馳せてきました。鉄炮の弾を再装塡する間もなく、殿様は刀に手をかけて迎え討とうとしました。そのような所に持替筒が到着したので、すぐさま手早く猪に打ちかけました。すると、その弾が猪の急所に命中し、猪が倒れ伏したので、トドメの矢を打ち込みました。その後、その猪を5、6人がかりで屋敷まで担いで運び、皆で見物しました。それは稀なる大猪で、見た人は目を驚かせました。御前(貞臧)の勇猛さに、皆々恐れ入っていたとのことでした。
とても緊迫した場面ですが、丁寧な描写で、当時の様子が目に浮かぶようですね。
高木家文書には、このほかにも、村人から依頼され、高木家が猪狩を催している記録などが多くあります。これらの記録から、山あいの自然とともにある人々の暮らしぶりをうかがい知ることができます。また、領主自らが獣を退治し、領内の人々が安心して暮らせるように計らっていたことが分かります。
以上、本日は「獣と高木家」をテーマにお届けしました。次回もどうぞお楽しみに。
(参考文献)
石黒直隆・松村秀一・寺井洋平・本郷一美「オオカミやヤマイヌと呼ばれたシーボルトが残したニホンオオカミ標本の謎」 『日本獣医師会雑誌』74(6) 2021年
石黒直隆「絶滅した日本のオオカミの遺伝的系統」 『日本獣医師会雑誌』65(3) 2012年
栗栖健『日本人とオオカミ 世界でも特異なその関係と歴史』第二版 雄山閣 2020年
菱川晶子『狼の民俗学 人獣交渉史の研究』増補版 東京大学出版会 2018年
平岩米吉『狼 その生態と歴史』池田書店 1981年
B.L.ウォーカー『絶滅した日本のオオカミ』北海道大学出版会 2009年
ギフト
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