思い出も千差万別です

残り１５日とちょっと、となりました。

注目の鉄道プロジェクトが多いなか、大変心苦しいところですが、今後もご支援の程お願い申し上げます。

 

当法人が管理している昭和２７年松任工場製の緩急車、ヨ５００３ですが、この車両の思い出も色々と伺いましたので、この機会に披歴します。

 

先日喪中はがきが届きました。

長野県信濃町在住で、この３月に７９歳でご他界された方でした。

今から１６年前ですが、２００６年８月にリバイバル白山が金沢と軽井沢を、ボンネットの４８９系を使用して運行された際、撮影で当地を訪れた際にその付近でお会いしてご自宅まで連れて行かれました。

その御仁が、「タダじゃないけど、長野の車両基地で清掃の仕事をしていた時に要らないから捨ててあったのを持ってきたので、好きなの選んで」と、飯山線のキハ５８系やキハ５２に付けていた頃の行先方向板を沢山見せて下さり、５枚くらい買って帰って財布がオケラになった記憶が蘇りました。

本当に、一期一会でした。

その時しかお会いしなかったのに、きちんと年賀状だけは交換していましたので、奥様がハガキを寄せて下さったのでした。

私の今年の年賀状に、「ちゃんと綺麗になりましたよ」と、たから号の写真付でご挨拶しました。

何とか生前にご覧いただけたと思うと、肩の荷が下りました。

といっても、ヨ５００３はこの方の持ち物だったわけではないですので、悪しからずです。

 

 

黒姫駅近くの国道沿いのドライブインでお色直しして活用しようとしつつ、結局頓挫していたらしいヨ５００３でしたが、引き取った時には車輪が無いのを悩んでいました。

運送業者さんも、てっきり車体だけと思って来たのに、車両を載せてから「車輪、あるよ」と言われ、とってもサプライズでした。

ドライブインのオーナーが隠してくれていたそうで、コレがあるだけでスクラップ業者が買い付けに来ていたらしいです。

鉄屑がとても高価だった時代もありましたから。

 

とはいえかなり部品も車体も劣化していましたので、補修をクラウドファンディングで企画したのですが、不成立になってしまい、途方に暮れていますと、たまたま通りがかった群馬県高山村の国道沿いに、部品取りに丁度いい緩急車を見つけました。

 

春になってから持ち主さんを探し出そうと村役場に連絡すると、事情を聞いた方が伝で持ち主のご主人と連絡して下さいました。

聞くと、発見した場所に置かれる前は村の中学校の脇に置かれて、図書室を兼ねた自習スペースになっていて、送迎が必要な学生の為の待合室にもなっていたとの事でした。

当時この車両を学業でも使用されていた事を伺い、ヨ５００３を出来るだけ安く補修するべく引き取ったのですが、元は碓氷峠でＥＤ４２やＥＦ６３に推されて貨物列車の緩急車に使用されていた歴史を持つ車番でもあり、様々な方の思い出が詰まった車両なのだろうと思うと、スクラップにするのはやめようという思いが強まりました。

ヨ５００３に使える部品を取り切って残った車体は、完全に残骸状態でしたが、今ではすっかりレストアとリフォームを進め、もう少しで出来上がるところまで頑張りました。

 

そんな前のオーナーさんも、もう８７，８歳だろうと思います。

引き取ってからも２回ほどお邪魔して、当時のお話を伺ったりました。

まだ健在ですよ、この御仁。

 

今の鉄道マニアの行動とは全く違って、線路際以外でもおかしなおかしな事をしていますが、その分人と人との交わりを、目に見えずとも心で、イメージで感じるように努めながら、「遺す為」「利活用する為」「楽しむ為」に、前向きにボロボロの車両達の現役時代を思い起こして頑張っています。

 

次はボンネットの番、その次は、路面電車、その次は、尾小屋、

更に多くのご支援と、沢山の仲間がお手伝い頂けるような楽しい場所にしたいです。