1.平成カラス12号完成
皆様こんにちは。二宮翔会の辻下です。
今年の2月にチャレンジしました『愛媛大学 空への挑戦!日本飛行機の父の思いを空へ飛ばしたい』の成功をうけ、早速、機体の作成に取り組みました。その機体は、7ヶ月間の期間をかけ、主翼桁の刷新や、新たに設計したプロペラの一からの作り直し等の改良を重ねながら、製作を進めていきました。
無事に完成し、9月25日には、岡山県『笠岡ふれあい空港』での飛行試験を迎えることができました。
2017/9/25 笠岡ふれあい空港にて
私たちは当初、3つの目標を掲げていました。①新型機体を作り上げ、琵琶湖で2kmを超えること。②水素アシスト人力飛行機の再現。そして③最新素材のセルロースナノファイバーを使用した機体の製作です。
①の記録飛行は、鳥人間コンテストでの記録を目標としています。今年は見送ることとなりましたが、来年の鳥人間コンテスト出場を目指します。新型機体の製作に関しましては、流用してきた主翼桁を刷新し、大型化、且つ軽量化に成功しました。また、プロペラの大きさも1.6mまで大型化し、推力が向上。中でも製作方法を変更したことにより、表面の塗装まで考慮できるようになり、納得のいくものを製作出来ました。プロペラの大型化に伴い、フレームの高さを上げる改良も行いました。
作業風景
②の水素アシストユニットの搭載につきましては、一通り機体が完成した後、水素ユニットから電力が供給されることの確認を行いました。そしてモーターの取り付け機構のモックアップを作成し、機体の駆動部分に取り付けました。機体展示での実演では、人が乗り込んでの回転は行っていませんが、水素ユニットの電力のみでも回転することを確認しました。
③のセルロースナノファイバーの導入につきましては、専門に研究をされている愛媛大学紙産業イノベーションセンターの協力により、まだまだ試作段階ですが少しずつ進んでおります。セルロースナノファイバーの原料サンプルや、紙で作られたフィルムなど、珍しいものばかりでした。機体の効率を損なわずに導入できる場所を思案している段階です。
今年は、皆様のご支援を受け、長年取り換えることができなかった部品を刷新することができました。9月25日の笠岡ふれあい空港でのフライトを終え、一区切りついたこのプロジェクトですが、まだまだ全体の目標の途中段階です。そこで、今年1機を作り上げたノウハウを蓄積し、またさらに改良を重ねた飛行機を開発し、書類審査を通過して来年の琵琶湖を目指します。実のところ、まだ部材を刷新しきれてはいない部分もあるので、今年完成した飛行機より改善の余地は大いにあります。
機体の組み立て中
2.成 果
岡山県笠岡ふれあい空港での試験飛行では、新着情報でもお伝えしましたが、調整不足により思ったような飛行ができませんでした。飛行時間は約4秒に留まりました。しかしチーム全体にとってはこの機体の完成は、技術の伝承、運用のノウハウの蓄積に繋がりました。また来年機にむけてのステップアップにつなげていきます。
3.機体展示
11月11日には、愛媛大学学生祭と同時開催された『ホームカミングデイ』に合わせて機体展示を行いました。そこでは燃料電池ユニットを搭載し、実際にプロペラが水素で動く実演も行いました。ご来場いただきました市民や卒業生の皆様も足を止め、中には興味・関心を持って質問して下さった方々もおられました。
2017/11/11 ホームカミングデイ 機体展示にて
その他に11月15日、12月1日には、『愛媛大学城北キャンパス紅葉ライトアップ事業』に合わせ、機体展示も行いました。そこでは、世界初の量産燃料電池車とのコラボ企画で水素による「エコなライトアップ」と機体の駆動を実演しました。多数の市民の皆様に対し『平成カラス12号』を通じた愛媛大学の空への挑戦プロジェクトについてPRすることができました。
2017/11/15 紅葉のライトアップにおいて世界初の量産型の燃料電池車との共演
4.収支報告
収入:クラウドファンディング達成額 2,855千円
支出:機体制作経費 1,531千円
試験飛行経費 190千円
今後支出予定経費 567千円
機体改良経費 ( 367千円 )
試験飛行経費 ( 200千円 )
謝意(アイテム)製作経費 24千円
事務経費 543千円(※)手数料含む
合 計 2,855千円
5.今後の活動について
今後の方針としましては、来年の鳥人間コンテストを見据えた新機体を製作し、鳥人間コンテストでの記録更新となる2kmの飛行を目指します。
今年度機体では新胴体フレームの設計が完成しなかったために、従来の胴体フレームを改良しただけにとどまったため、駆動方式も変更されませんでした。現在、新胴体フレームの設計を進めており、パーツの試作などを行っております。胴体フレームの刷新による軽量化、そして駆動効率の向上の両方を狙います。
また、セルロースナノファイバーについても機体への搭載を実現できるように話し合いをすすめて行きます。新素材なのですぐにとは参りませんが、早くて来年の夏には一部に搭載できるのではないかと言われております。
水素アシストユニットにつきましては、今年の機体展示で動作確認はできたので、モックアップをカーボンなど強固な材料への置き換えを行い、モーターもより出力の高いものを搭載します。
これからまた長い機体製作の期間が始まりますが、みんなで団結して乗り越えていきます。また製作の様子もReadyforの新着情報を使い少しずつ発信していこうと思います。
カラス型飛行機を長く、遠くまで飛ばすことが私たちの夢です。そのために私たちがしなければならないことはまだまだ残っています。部員一同、これからも一層邁進して参りますので、今後とも応援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。