南米エクアドルの漁村に「地域工房」を建てる。復興のその先へ。

南米エクアドルの漁村に「地域工房」を建てる。復興のその先へ。

支援総額

2,086,000

目標金額 1,200,000円

支援者
131人
募集終了日
2019年12月26日

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プロジェクト本文

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<目標金額120万円達成、ネクストゴールに挑戦します!>
 

皆さまの温かいご支援のおかげで、目標の120万円を無事達成することができました。メンバー一同より感謝申し上げます。本当にありがとうございます。
 

クラウドファンディングを通じて、多くの方にプロジェクトについて知って頂き、また共感して頂いた方が少なからずいることも分かって嬉しく思う反面、自分たちの中で責任感も強くなりつつあります。皆さまから頂いた応援を励みに、気持ちをより一層引き締めて今後の活動へと繋げていきたいと思います。


さて、当初予定していた120万円という目標は達成することができましたが、更にプロジェクトをより良いものに、そしてより大きなインパクトを生み出せるように、ネクストゴールとして200万円という目標を設定させて頂くことにしました。ネクストゴールでは、以下のような使い道を想定していますが、随時現地のメンバーや住民の方たちと
相談しながら、チャマンガの将来のために大切に使ってまいります。


【追加分80万円の用途について】
■工房の追加機材
・家具制作のための機械 200,000〜300,000円
(大型の設置型機械の導入も検討しています)
■情報発信や図面作成用の設備
・PC(2台x100,000円)200,000円
・通信費(12ヶ月x5000円)60,000円
・盗難防止のための工事(柵や鍵など)100,000円
■新しい家具デザインの開発・制作費用
・材料費 100,000円
■その他
・クラウドファンディング手数料


当初クラウドファンディングを行うに際してとても不安を抱えていましたが、結果として多くの方からご支援と励ましのお言葉を頂き、今回クラウドファンディングに挑戦してみて良かったと心から思っています。


12月26日の終了まで残り約1週間ですが、より多くの方にプロジェクトについて、そしてチャマンガについて知って頂けたれば、と思っています。引き続きのご支援、応援をどうぞよろしくお願い致します

 

 

被災地に「地域工房」を。手仕事から現状を変えていきたい。

 

ページをご覧頂きありがとうございます。東京大学大学院・修士2年の両川厚輝と申します。建築を専門に、住民が地域環境と主体的に関わるような「人と土地の関わり」をテーマとした研究や、それを活かした地域活動を行っています。

 

僕たち、東京大学大学院の建築を学ぶ学生が中心の有志団体【ミンガヤ】は、南米エクアドルの漁村チャマンガで復興支援に携わっており、現在はチャマンガの若者たちが自由に使えるような「地域工房」を建てるプロジェクトを進めています。

 

チャマンガは、太平洋に面したエクアドル沿岸部にある漁村。

 

 

2016年4月、マグニチュード7.8の地震がエクアドル西部で発生し、チャマンガには依然として震災の傷跡が残っています。震源に近かったチャマンガの被害は甚大でした。

 

震災後のチャマンガの海沿いの様子。住宅や桟橋が倒壊し、何もなくなってしまった場所も。

 

 

崩壊した建物が点在するチャマンガでは、僕たちと同じ若者たちが職を失い、行くあてもなく道端に寄り集まっていました。ギャングの通り道になりやすい立地的要因もあり、彼らがいとも簡単に麻薬取引などに引き込まれてしまうことを、実際に見聞きして知りました。

 

しかし一方で、住民がただ嘆いているだけかと言うと、そうではありませんでした。住民たちはお互いに協力しあって、近隣住民の家を直したり、小屋を作って商売を始めたりしていました。もともとチャマンガでは、自分たちの家は自分たちで建てるものであり、そこには震災にただ打ちひしがれない逞しさがありました。

 

初めてチャマンガを訪れた時に見つけた床屋小屋。震災後に若者だけで作られたもので、彼らは既に新たな仕事を始めていた。

 

 

こうした様子を実際に見て思ったこと。それは、建築を学ぶ僕たちと彼らが協力すれば、彼ら自身の住環境と治安を守る居場所をつくることができるかもしれない、ということです。

 

現地に滞在しながら描いたチャマンガの暮らし。

 

 

そうして住民と話し合い、出てきたのが「地域工房」です。地域工房とは若者を中心に地域の人たちが利用できる工房で、住民たちの自由な工作や建築修繕を応援します。そしてそれが若者の仕事にもなり、震災で家が壊れて困っている人の助けにもなる。若者の持て余している力が、より良い場所で十分に発揮されるような環境づくりができるのです。

住民の人たちと一緒に考え始めた「チャマンガに工房を建てる」プロジェクトは、現在進行中です。しかし、実現のためには、地域工房建設のための材料費が必要です。震災復興とその先を見据えた地域工房には、家の改修や家具などの制作をするためのスペースや設備が必要になります。

 

学生の僕たちだけでは、集められるお金に限界があります。チャマンガに地域工房ができれば、職のない不安定な若者にとって、震災後の負の連鎖から抜け出すきっかけになると信じています。

 

どうぞご支援の程よろしくお願いいたします。

             

チャマンガに滞在する際、いつもお世話になっている家族と。

 

 

村内の8割の建物が倒壊。多くの人が居場所をなくしました。

 

2016年4月、エクアドル西部でマグニチュード7.8の地震が発生し、エクアドル国内では少なくとも死者660人、負傷者1万7000人の被害がありました。

 

チャマンガは震災で最も被害を受けた場所の一つです。特に住宅被害が大きく、村内の8割以上の建物が倒壊し、人々は行き場を失いました。住民の多くは、自分たちの手で建てた海沿いの家で自給自足的な漁や農業によって生活を営んできましたが、震災によって生活の場を奪われました。

 

震災直後のチャマンガのメインストリート。多くの建物が倒壊した。

  

 

その当時、僕たちはエクアドルと直接的な関わりはありませんでした。現在の活動を始めるきっかけとなったのは、僕が2016年に参加したエクアドルの首都キトでの建築のインターンシップです。

 

そこでチャマンガの人と知り合い、悲惨な状況を耳にしました。震災から数ヶ月が経過しても、水や電気が一向に整備されない住まい。半壊の家やテントの暗闇の中で朝を待つ人たち。それを聞いて、現地の友人と一緒にチャマンガを訪れたのが、そもそもの始まりでした。

 

桟橋が崩れ落ち、家が半壊の状態でも、住み続けるしか選択肢のなかった住民たち。

 

 

現在のチャマンガが抱える「住環境」と「治安」の問題。

 

現在、震災から3年が経ち徐々に復興も進んできたチャマンガですが、まだまだ改善されていない問題が多く残っています。中でも特に深刻なのが「住環境」と「治安」の問題です。

 

依然として利用されている半壊の建物では雨漏りがひどく、ブルーシートによるその場しのぎの補修によって熱がこもるなど、熱帯地域のチャマンガでは決して快適とは言えません。また、簡易的な応急住宅も未だ使われており、こちらも高温多湿になりやすく、一般的な世帯人数が10人前後のチャマンガの人々にとっては、21㎡の応急住宅は非常に手狭なものとなっています。

 

現在のチャマンガの居住地域。住環境が改善されたとは言い難い。

 

 

一方、治安面の最大の問題は、職のない若者たちが麻薬取引に手を染めてしまうことです。中学や高校を出たばかりの若者にとって仕事を見つけることはとても困難で、村のいたるところで、暇を持て余したむろする若者たちを見かけます。彼らは簡単に麻薬取引の道へと流されてしまいます。

 

道端でたむろする若者たち。

 

これまでの活動の中でミンガ(minga)から得たヒント。

 

その状況を目の当たりにして何かできることはないかと現地の友人たちと考え、これまでに現地の若者や海外の大学生たちと共同で、村の公共階段の改修(2017年2月)や、文化センターの建設(2017年8月〜2018年2月)を実施してきました。

 

近所の子どもたちもカラフルな貝殻を貼る工事に率先して参加した。

 

皆で一緒に工事をすることを、現地ではミンガ(minga)と呼びます。ミンガは元々、南米アンデスの先住民ケチュア由来の文化で、協働による建設工事を指します。誰か1人が家を建てる時に近隣の人もその工事を手伝うという文化は、近代的な生活様式の変化の中で失われつつあります。しかし震災をきっかけに、住民の人たちの中には、ミンガの文化を見直し、積極的に人手の足りていない工事に参加する人が出てきました。

 

 

ミンガでは参加者全員が役割を見出し、限られた予算・期間の中で、建物を完成させることができます。

 

ミンガをすると、若者をはじめ、全ての参加者に様々な役割が生まれます。力のある若者はセメントのバケツリレーに加わったり、色彩感覚が豊かな子どもたちはカラフルに壁を塗ったり貝殻を貼ったり、料理の得意なお母さんたちは皆に料理を振る舞ったり・・・。mingaを通して、こうしたお互いの良いところの再発見ができます。

 

2017年9月、建設中の文化センター。
文化センターの工事はミュンヘン応用科学大学に引き継がれ、2018年2月に完成した。
文化センターでは、子どもや若者たちのために様々な教室が開かれている。

 

文化センターの建設によって、歌や踊りを楽しむことができる公共空間が生まれ、若者たちも集まるようになり、治安も少しずつ良くなってきました。しかし、依然として収入がなく生活が厳しい若者も少なくありません。

 

 

現地の若者から声があがった「地域工房」

 

こうした活動をしてきた中で、「工房を作りたい!」という声が若者から出てきました。

 

チャマンガではミンガによる建設工事が行われてきましたが、その際に建設機材や工具がないために工事が進まないといったことがこれまで何度もありました。機材や工具を保管する地域工房を作りそこを自由に使えるようにすれば、これまで以上にミンガの文化を支えることができ、知恵や技術のある住民自身の手で住環境を改善していくことができます。

 

震災直後、仕事を失ったお母さん達は、竹を使用し工作に近い感覚でイス等を制作していた。

 

 

同時に、地域工房そのものも若者の居場所になります。チャマンガの周辺では立派な竹が採れ、家で家具を作っている人も少なくありません。今までは、まとまった設備がなかったため趣味程度にとどまっていましたが、地域工房ができれば、家具作りなどが若者の仕事になり得ます。

 

こうして若者の仕事の選択肢を増やすことは、彼らが麻薬取引などの「良くない選択」をしてしまうことを未然に防ぐことに繋がると信じています。

 

こういった工芸をする風景もチャマンガでは良く見られる。​​​​​

 

 

普段は保管されている機材や工具で家具を作り、ミンガをする時には、それを持って若者たちが困っている人の元へ行く。そんな「地域工房」 をつくることで、単なる震災復興ではなく、その先を見据え、チャマンガの人たちが安心して楽しく暮らせるようお手伝いしたいと思っています。

 

工房​​では周辺で採れる竹や木材を使用。周辺の材を使うことで地域内の資源循環が生み出されることも目指す。

 

 

工房は、現在現地のボランティア団体Somos Ecuadorが資材置場として利用している土地に建設予定です。チャマンガの若者や、これまでに建設ワークショップに関わってきた学生たちと随時連絡を取りながら、現在進行形で設計を進めています。設計の経過なども、随時Facebookページなどでシェアしていく予定です。

 

 

 

実際に、現地で使う竹を用いてモックアップを製作しながら設計を進めています。またワークショップ期間中も随時、現地の若者や近隣住民の声を反映させながら、建設を進める予定です。

 

 

【地域工房完成に向けて:スケジュール】

 

■2019年7月〜 現地の意見収集と設計

現地の若者や住民の意見を聞きながら、日本人メンバーが建築の提案を行う、といったことを繰り返しながら、設計のコンセプトなどを決めています。

 

■2019年9月〜 モックアップ制作・構造実験、敷地の整備

日本では、設計を進めると同時に、構造ジョイント部分のディテールの検討や構造実験を行っています。一方、現地では、敷地の掃除や整備を行っています。


■2020年2月 必要機材の設置

日本から持参したものと合わせて、必要な機材や工具を現地で調達します。

 

■2020年2月〜 工房となる場所の整備

建築を学ぶ学生約10名が、現地に約2週間滞在し住民の方と一緒に建設を行います。現地の大工に加えて、日本からもメンバーの大工が同行し、両方の国の知恵や技術を出し合い、共有します。建設ワークショップとして大工に指導いただきながら、全員で一緒に工事をします。その後もメンバーが数名現地に残り、完成まで工事を手伝います。

 

■2020年3月〜 工房の実験的な運営

家具作りや工房の運営方針決めについて住民の方とワークショップを行い、工房利用の詳細を随時決めながら、実験的に運営していきます。

 

■2020年8月〜 地域工房としてオープン

現地の住民メンバーを中心に「地域工房」としてオープンします。平常時は若者を中心に家具製作を行い、チャマンガ内の壊れた住宅の改修工事や公共空間の整備をミンガを通じて行います。

 

 

一緒に考え、一緒に手を動かすことで見えてくる未来。

 

僕たちの目的は、工房の建設を通して住民一人一人と関わり、一緒に考えたり手を動かしたりしながら段々とチャマンガの暮らしを良くしていくことです。

 

チャマンガで竹や木材を採ってきて、それを使って家具を作る。どうやったら良い竹や木材が採れる森を維持できるか皆で考える。工房で作られた家具は自分たちの手で都市部に売る。工房の機材を使って、今ある住宅を自分たちの手で改修する。そうやって仕事が生まれれば、職がない若者たちにも、新しい居場所や楽しみが生まれます。

 

そのために、僕たち【ミンガヤ】は地域工房のオープン後も現地に滞在しながらサポートをしていく予定です。若者たちの仕事場であり、居場所になると同時に、僕たちチャマンガのファンにとっての居場所にもなります。ここに行けば、いつも明るいラテンの若者たちが待っている。そんな居場所を作りたいと思います。

 

一緒に考え、一緒に手を動かすことを大切に。

 

 

同時に、このプロジェクトは大きな可能性を秘めています。家具作りが村の新しい産業になり、次の世代にはより多くの選択肢が増える。ミンガによって住民自身が主体的に建物を建設し、ビーチやマングローブ林の整備も進めば、海沿いを中心に観光客も増えていく。最初は震災復興から始まったプロジェクトが、もっと大きな輪になっていく。住民や地域内外の学生が一緒になり、主体的に村に良い変化をもたらしていくこと、これが僕たちのビジョンです。

 

震災から3年半の付き合いになるチャマンガの人々。このまま復興に寄り添うと同時に、その先を見据え、建築を学ぶ僕たちに何が出来るのかを模索していきながら進んでいきたいと思います。

 

みなさんには、現地の変化を、そして僕たちの成長を、一緒に近くて見届けていただきたいと思っています。「学生にはできないこと」があるかもしれません。でも同時に、「学生だからこそできること」もきっとあるはずだと思っています。

 

どうぞご支援・ご協力をよろしくお願いいたします。

 

【資金使途】

今回みなさまにいただいたご支援は、以下に充てさせていただきます。

・工房の建設費用(主に材料費):80万円

・工房の設備・内装工事:20万円

・必要機材の購入:20万円

*ワークショップの際のメンバーの渡航費・滞在費は各メンバーの自費及び奨学金によって捻出する予定です。

 

ミンガヤのメンバーをご紹介します。

 

 

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プロフィール

東京大学大学院・新領域創成科学研究科・修士課程に在籍。大学では、自らの先祖が住んでいた長野県の集落や、南米の被災地・都市部インフォーマル地区などを対象に建築・まちづくりについて研究しています。その傍らで、2016年にエクアドルに滞在して以来、エクアドル沿岸部の被災地で復興に関する実践活動も行なっています。

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東京大学大学院・新領域創成科学研究科・修士課程に在籍。大学では、自らの先祖が住んでいた長野県の集落や、南米の被災地・都市部インフォーマル地区などを対象に建築・まちづくりについて研究しています。その傍らで、2016年にエクアドルに滞在して以来、エクアドル沿岸部の被災地で復興に関する実践活動も行なっています。

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