児童労働のないガーナ産カカオを使ったチョコレートを広めたい！

こんにちは。ACEの白木朋子です。

あっという間に６月になってしまいました。みなさん、お元気ですか？

 

5月18日に西アフリカのコートジボワールで開催される予定だった、カカオの児童労働に関する政府主催の会議が、現地の政情不安により急きょ延期になってしまったことは、5月22日の記事でお伝えしたところです。

https://readyfor.jp/projects/clfreecocoa/announcements

 

会議は一旦延期となりましたが、そこで共有されることになっていたレポートが、後日米国労働省の担当者よりメールで送られてきました。そのレポートには、世界第1位と2位のカカオ生産国であるコートジボワールとガーナの各政府と、米国労働省、チョコレート・カカオ産業界が2016年度に行った児童労働への取り組みについての報告がまとめられています。

 

少々細かいことになりますが、カカオの児童労働に関するこのような国際的な取り組みは、2001年に米国の国会議員の発案により作成され主要なチョコレート企業が署名をした「ハーキン・エンゲルス議定書」に端を発しています。この議定書には、西アフリカのカカオ産業における最悪の形態の児童労働や強制労働をなくすことをめざすためのコミットメントが示されており、2015年までにコートジボワールとガーナにおいてさまざまな取り組みを行うことが約束されました。それ以来、この進捗を管理するために年に1回報告書が発行されており、今回送られてきたのが2016年度のレポートです。

 

 

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米国労働省から送られてきたレポート

 

レポートの中で、私が注目したのがチョコレート・カカオ産業界からの報告です。産業においては、2015年に世界カカオ財団の中に業界共通のプログラム「ココア・アクション」が新たに立ち上がり、児童労働を明確に意識した戦略がようやく示されました。それまでは業界共通の戦略は特になく、個別の企業がフェアトレードやレインフォレスト・アライアンスなどの認証制度を取り入れるといった取り組みで、必ずしも児童労働にフォーカスが当てられてはいませんでした。

 

ココア・アクションには現在9つの企業が参加しており、実際に活動がスタートしたのは2016年から（残念ながら、日本企業の参加は今のところありません）。児童労働を予防するための取り組みとして、教育やコミュニティ開発、農業生産性の向上などを組み合わせて行っていく戦略で、ACEがガーナで実施してきたプロジェクトとも通じるところがあります。

 

今回がはじめての報告で、具体的な成果や数値などはまだ取りまとめ中のようなのですが、産業界として本質的に問題解決に取り組もうという姿勢は読み取ることができました（成果については、2017年後半に報告が提出される予定）。

 

 

報告書には、チョコレート・カカオ業界による活動が進展するまでの経緯についても書かれていました。以下要点をかいつまんで紹介します。

 

・政府、カカオ生産地域、チョコレート・カカオ業界内において、最悪の形態の児童労働が存在し、なくさなければいけないものだという認識が広く共有された

 

・あらゆる関係者が、問題解決に向けた責任をそれぞれが追っているということを、政府、産業界、カカオ農家などそれぞれが受け入れるようになった

 

・関係者間の信頼関係やパートナーシップが確立され、カカオのサプライチェーンにおいて本質的に児童労働をなくすためには、パートナーシップが最善の方法であるとの理解が進んだ

 

15年前は、カカオの児童労働は農家それぞれのプライベートな問題と認識され、問題の大きさや深刻さを認識していなかったとも書かれていました。

 

これを読んではたと気づきました。

 

カカオ生産における児童労働は、企業のサプライチェーンの問題としても、政府が取り組むべき人権課題としても、認識がされていなかった。つまりは、長い間、問題として「ないものにされてきた」。。

 

最近、「あったものをなかったものにできない。」という発言が注目を浴びていますが、あるものをないものとせず、問題の存在をまず認めることが解決への大きな一歩であることをあらためて感じました。

 

そして、今ようやく企業の中では「児童労働は自社のサプライチェーン上にもある問題である」という認識に変わり、業界の行動が変わりつつあるのだ、ということが分かりました。

 

（ココア・アクションのしくみの図。世界カカオ財団第２６回パートナーシップミーティングプレゼン資料より）

 

現在、カカオの生産過程で児童労働している子どもたちは、コートジボワールで130万人以上、ガーナで約90万人（2015年発表）。

 

先述した2001年の議定書の発効から10年目を迎える2010年には、新たに2020年を目標とする活動枠組みが合意されており、「2020年までにコートジボワールとガーナのカカオ産業における最悪の形態の児童労働を70％削減すること」が目標として掲げられています。

 

この目標の達成が大きく進むよう、子どもたち、カカオ農家、チョコレートを食べる人たちと力を合わせながら、企業や政府への働きかけをこれからも続けていきたいと思います。

 

白木朋子

 

【みなさんへお知らせ】

６月１２日は、ILO（国際労働機関）が定めた「児童労働反対世界デー」です。東京での開催となりますが、この日の夜にACE主催でイベントを開催します。

 

1997年にACEがスタートしてから、今年12月で20周年。

イベント当日は、20年の感謝をお伝えすると共に、今後ACEが目指す方向性を共有し、これからの未来をみなさんと一緒に描く場となればと思います。 

後半には、参加者同士で交流いただく時間も設けています。 

いつも活動を応援いただいている方も、お久しぶりな方も、はじめましての方も、ぜひお越しください。みなさまのご参加をお待ちしております！ 

 

【児童労働反対世界デー＆ACE設立20周年プレイベント】

Dream, Discover, Believe and Do! ＡＣＥの描く児童労働のない世界とは？

 

日時	2017年6月12日（月） 19:00～21:00（18:40 受付開始、予定）
会場	Yahoo! JAPAN   17階 セミナールーム （東京都千代田区紀尾井町1-3 東京ガーデンテラス紀尾井町）
参加費	無料
定員	100名
申込方法	「イベント申込フォーム」より、6月6日(火) 15:00 までにお申込みください。
主催	認定NPO法人ACE（エース）
協力	ヤフー株式会社
問い合わせ	〒110-0015  東京都台東区東上野1-6-4 あつきビル3Ｆ　 TEL：03-3835-7555　FAX：03-3835-7601 E-MAIL： event%acejapan.org （ % を @ に変えて送ってください）

 

（詳細は以下の写真をクリックしてACEのウェブサイトからご覧ください）