事業報告書
2018年11月30日、私と現地在住の鉄道ファンの木村さんの2人はDD51の見学にノンプラドックのAS社基地にちょっとした軽い気持ちで訪問しました。そこで聞いた現地の責任者ソンウッドさんの「誰も日本から教えに来なかった。それが一番の不満」という言葉、そしてその際に木村さんが撮影した操作模様をYouTubeにアップした所、「基本操作と異なり危険」との現役JR社員からの書き込みを見て、いち鉄道ファンとして、親日で現地を毎日のように日本から訪問する鉄道ファンを温かく迎えくれてるタイの方々に何かできることがないのかと自問自答した末に「クラウドファンティング」で技術支援できるのではないかとの思いに達しました。その後、九州鉄道記念館から紹介して頂いた鉄道エンジニアの辛島さん、北海道鉄道観光資源研究会のメンバーでバンコクに出向中だった小林さんの4人でチームを組み、この事業はスタートしました。
2018.11.30 ソンウッドさんと 木村・吉村 すべてがこの日から始まりました
2019年10月に264万円のご支援を得てクラウドファンティングが成立し、2020年1月10~12日の3日間第1回の技術指導を行い、同年3月にはタイでのリターンツアー、その後も技術支援を続け8月迄にはクラウドファンティングとしての事業は終了する予定でしたが、新型コロナの蔓延による日本政府の集会イベントの自粛要請(2月26日)やタイ現地の状況も鑑み、リターンツアーの参加者の方へのアンケート調査も行った結果、3月1日にそれ以降の現地訪問を延期せざるを得ないと決断をいたしました。
しかし、逆に長期化したことにより各マニュアルの翻訳、SNSやリモートを通した技術指導、不具合になった機器の交換部品の調達など、3年間多くの課題に取り組むことが出来ました。
そして新型コロナが落ち着きを見せてきたことから2023年1月には3年ぶりの現地での技術指導、2月にはリターンツアーを実施する結果となりました。
思いもしない3年間という長期間にわたるクラウドファンティングとなりましたが、お陰様で当初考えていた以上の成果を上げることができたのではないかと思います。
これも私共のお声掛けにこたえて頂いた226名を超える皆様の温かいご支援の結果と厚くお礼申し上げます。
公式HP
https://thailandrailway.wixsite.com/dd51thai
【主な経緯】
2019.4
ASエンジニアリング社にクラウドファンティングによる技術支援受け入れの内諾を頂く
2019.7
AS社とクラウドファンティングによる技術指導を行うことの覚書を文書で締結
2019.8
九州鉄道記念館のイベント会場にてクラウドファンティングの開始を発表
2019.9
AS社の本社役員と面談。クラウドファンティングにより、「法人ではなく、個人の善意にて支援を頂くことを非常に光栄に思う」とのお言葉を頂く。
2019.10
クラウドファンティング成立
2020.1
現地技術指導、簡易マニュアル引き渡し リターン品送付
2020.3
新型コロナの蔓延により、その後の現地訪問を延期
2020.10
メインマニュアル(70P)タイ語訳をお渡しする
2020~2022年
SNSやリモートを通じて運転操作並びに機器検修の技術指導実施、ブレーキシリンダーやB7圧力調整弁の取り替え部品を送付
(番外 2021.4 タイ国鉄よりC56-15がボイラー腐食水漏れ、シリンダー不良、支柱枠欠損など致命的な状況の為、C56の設計図調達の依頼を受け送付。10月にタイ国鉄で大規模改修を実施)
2023.1
現地技術指導 エンジン不調の調整修理、メンテナンス・運転操作指導等 また交換部品調達の依頼を受ける。(2023.3 依頼品調達の目途が着く)
2023.2
リターンツアー実施 DD51見学会43名参加、国鉄型寝台車で行く泰麵鉄道ツアー32名参加
【収支計算書】
〈収入の部〉
クラウドファンティング支援金 2,640,000
CF外支援金・参加料 296,529
口座利息 25
収入合計 2,936,554
〈支出の部〉
①共通経費
レディフォー手数料 484,704
消耗品費 10,699
送金料・通信費 5,954
小 計 501,357
➁DD51メンテナンス関連(含事前準備)
謝礼金(技術料) 150,000
謝礼金(通訳料) 150,000
翻訳料 200,000
旅費交通費・手土産・資料・消耗品 830,002
小 計 1,330,002
③リターン関係
ステンレス芳名板 17,655
クリアファイル 82,500
特急寝台券 10,310
通信費(リターン品送付) 37,610
キャンセル料(車両貸切) 26,003
旅費交通費・貸切代・資料・消耗品 674,511
小 計 848,589
収入合計 2,936,554
支出合計 2,679,948
残 高 256,606円
【リターンツアー参加者のアンケートのお声】
※DD51支援リターンツアー(2/24)について
・すごく楽しいツアーでした。
・実際に運用されているDD51の実機を運転台や機器の内部など通常みられない、立ち入れない部分を見て、詳細な解説をしていただきくという貴重な体験をすることができました。
・辛嶋さんの説明はとても分かりやすく、いろいろなエピソードも含めてお話いただいたことで、とても楽しく聴くことができました。
・AS社が撮影用にお立ち台のピックアップまで出してくださったのには感動しました。支援させていただいた、DD51がTEAM51の皆様によりしっかりサポートが行われフル稼働状態で使われており、これからもますます活躍する予定であること、今後も継続した支援が必要であることを実地で知ることができとても有意義なツアーだったと思います。2両がそろわなかったのは残念でしたが、これも忙しく活用されているからこそ。機会を見て実際に稼働しているところに見に行ってみたいと思います。
・DD51の技術的なお話を聞けて大変勉強になりました。
・2月24日の、DD51支援リターンツアーは最高でした!
1142と1137の2機並びは叶いませんでしたがこのツアーに参加すれば確実に会えるのが良かったですね。
・DD51を隅々まで見学出来て良かった。また機会があれば参加したい。
・3年越しのリターンイベントに参加出来て良かったです。
今後も末永いDD51の活躍を期待しています。
・運転席には入れたことやメカニックの辛島さんによる説明やタイ人による運転や撮影会ができたことがよかった。
※旧泰麵鉄道ツアー(2/25)について
・14系寝台車でクウェー川やアルヒル橋梁を超えられたのはこの上ない体験になりました。また、タムクラセー駅の食堂も撮影、食事ともに満足でした。
・25系寝台車の選択はとても良いと思います。1部区間は3等車に乗車しましたので、日本製客車の乗り心地の良さを体験することができました。車内が既存の機器を残しながら非常にきれいにリノベーションされており驚きました。あらためて臨時の夜行に充当されたら寝台車として乗ってみたいと思います。ツアーは写真撮影に配慮していただいたり、博物館見学により、泰麺鉄道の歴史を学ぶことができるなどうまくアレンジされており、完璧なフォローをいただくことで安心して参加でき、楽しい1日を過ごすことができました。両方のツアーを通じて、在泰の方、日本から来られた方の両方と知り合い交流を深めることができました。このような機会を作っていただき、完璧なツアーを運営いただいたTEAM51の皆様、本当にありがとうございました。
・ツアーならではの安心して参加できたのがよかったです。鉄道に目的を絞った内容でしたので、飽きずに楽しく参加することができました。
・すごく楽しいツアーでした。
・泰麺鉄道ツアーも最高でした!24系(当日は14系でしたが)に乗ったり普通列車に乗ったりしながらの旅は良かったですね。
・寝台車の貸し切りや撮影を楽しく過ごせました。資料館の内容等日本では分からないような事を学べて貴重な経験を出来ました。
・今や日本では乗れない寝台車に乗る機会が戦場にかける橋である事は夢の様でした。
・貸切車輛での旅は初めてでした。とても新鮮で、車内みんなが同じ鉄仲間というのはワクワクするものがありました。また、列車以外でのツアーも退屈しないようにしっかり作られていたのには驚きました。泰麺鉄道博物館で英語からの通訳が居たら満点だったと思います。最後、ブルートレイン車輛でのツアーも夜にさしかかり、最高のシチュエーションだったと思います。ありがとうございました。
・泰緬鐡道を知ることができたこと。
・今回は企画・運営していただき感謝申し上げます。あらゆる行程が大変思い出深いものとなりました。また次回がありましたら、何卒よろしくお願い致します。
(アンケートでのご感想は以上です)
【今後について】
2019年から実施をしておりました今回のクラウドファンティングはこれにて一旦終了いたしますが、残りました資金も活用しながらDD51は末永く見守っていきたいと思います。
また引き続き下記の3事業を柱に継続的な活動を行って参りたいと考えております。
〇タイAS社のDD51技術支援
〇今年80周年を迎える泰緬鉄道の歴史を日本の皆様により多く知って頂く事業
〇タイ国鉄に渡った日本の車両(キハ183、14/24系寝台車、12/14系座席車、C56等)を楽しむ旅
これからも鉄道を通した日タイ友好活動を継続的に続けて行くための仕組み作りを企画中です。
何卒今後ともご理解ご支援賜りますようお願い申し上げます。
<2025年9月30日 追記>
残金256,606円については、2024.9.30までに下記に充当致しました
謝礼金(技術料) 100,000
謝礼金(通訳料) 50,000
損害保険料 8,270
旅費交通費 102,080 計260,350円





















