クラウドファンディングへの挑戦を開始して約10日間が経ち、おかげさまで目標の22%まで到達することができました!このプロジェクトへのご理解、ご支援をいただきました皆さまに、あらためて深くお礼を申し上げます!

 

このプロジェクトで問題としている国立公園ですが、ふつう国立公園を広げると聞けば多くの方は「それは自然にとって良いことだ」と思われるに違いありません。それがなぜキリマンジャロ山では問題となってしまうのでしょうか?今回はこの点について、もう少し掘り下げてみたいと思います。

 

以下の図1は、キリマンジャロ山の衛星解析画像ですが、山の右半分をぐるりと取り囲んでいるヘビのような帯があります。この帯が、キリマンジャロ山に暮している村人たちが昔から利用してきた「生活の森」になります。この森のことを現地では“ハーフマイル・フォレスト・ストリップ”(以下HMFSと表記)と呼んでいます。HMFSとは1マイルの半分、約800mですが、この帯の幅がおおざっぱに平均して800mくらいあることから「半マイルの森の帯」ということで、“HMFS”と呼ばれているわけです。そしてキリマンジャロ山の森林の下限がこの“HMFS”になります(それより下には多くの村があります)。

 

図 1                          

 

2005年に拡大された国立公園ですが、もともとはこの図でいうと、山頂を中心とした緑色の部分だけが国立公園でした。図では緑色になっていますが、実際は森林限界より上(標高約2,700m以上)なので、小さな灌木や草はあるものの、ほぼ岩や砂礫、氷雪だけのエリアでした。

 

ところが拡大された国立公園は、先ほどの“HMFS”の下限まで、面積でいうと一気に2.5倍も広げられました(1.2倍や1.3倍ではなく、2.5倍です)。キリマンジャロ山は長径方向に約80km(東京-小田原間に相当)もある巨大な山です。拡大された国立公園の面積がいかに大きいか、ご想像いだたけるかと思います。

 

森林限界を少し超えた付近の様子。まだ小灌木がありますが、ここより上は岩と砂礫、そして氷雪の世界が広がっています。
森林限界を少し超えた付近の様子。まだ小灌木がありますが、
ここより上は岩と砂礫、そして氷雪の世界が広がっています。

 

人々の生活と隣接したエリアで極端な国立公園の拡大を行えば、それだけでも問題が起きることは容易に想像がつきます。しかし問題は面積だけではありません。図1に示された“HMFS”には、いろいろな色がつけられています。濃い緑色は原生林、青は渓谷林、明るい緑は草地(もとは森林だった場所)、薄い黄緑色は政府経営の森林プランテーションとなっています。そしてキリマンジャロ山で森林が失われ見渡す限りの広大な裸地が広がっているエリアは、この森林プランテーションにほぼ一致しています(とくに図1で南北方向に長く伸びているHMFSの帯の、中央より下側の薄い黄緑色部分)。濃い緑色の部分は森林プランテーションがなく、地域住民の利用だけに限られていた場所ですが、そこには今でも森が残されています。

 

政府は「森林破壊の元凶は地域住民」として彼らを追い出すために国立公園を拡大しましたが、HMFSの色分けを見れば、森を壊したのは村人なのか、それとも政府のプランテーションなのか一目瞭然です。

 

キリマンジャロ山の尾根に広大に広がる、かつての政府の森林プランテーション跡地。村人たちはこの写真のように、こうした裸地をすべて森林を回復しようと、植林に取り組んできました。しかしこうした村人たちによる環境保全活動は、国立公園では違法行為として禁止されました。
キリマンジャロ山の尾根に広大に広がる、かつての政府の森林プランテーション跡地。このような場所が何カ所も広がっています。村人たちはこの写真のように、こうした裸地にすべて森林を回復しようと、植林に取り組んできました。しかし彼らによる環境保全活動は、国立公園では違法行為として禁じられました。

 

一方、このクラウドファンディングで取り上げている村人たちが守ってきた森 “エデンの森”は、図1の黄色の○印で囲まれたエリアになります。“ハーフマイル”と一括りにされていますが、ここは800mどころか最大幅は約4kmに達しています。HMFSの中でももっとも緑色の大きな部分で、図1は誰が森を守ってきたのか/守れるのか、そのことも明確に示しています。国立公園の拡大によって、森は一番の守護者を失ってしまいました。

 

キリマンジャロ山の森を破壊した原因を直視せず、ただ地域住民を追い出せば森を守れるとして実行された国立公園の拡大がいかに理屈の通らない理不尽なものであるか、ご理解いただけたのではないかと思います。しかも世界遺産の山でその実行(住民排除)のために武器が使われ、女性や子どもにまで激しい暴力がふるわれているのです。

 

ここもかつての政府の森林プランテーション跡地。植わっているのは、政府による住民排除がされる以前に村人たちによって植えられた木。
かつての政府の森林プランテーションの跡地。植えられているのは、
政府による住民排除がされる以前に村人たちによって植えられた木。 

 

村人たちは「誰が森を守り」、「いま何が起きていて」、「彼らが何を望んでいるのか」、そしてなぜその声が世界に伝わらないのか、伝えることが出来ないのか、銃と暴力による恐怖にさらされながら苦しみの声を上げています。

 

このプロジェクトでは彼らがその叫びを世界に伝え、訴えられるようにしていきます。

 

キリマンジャロ山でなぜ国立公園が問題となるのか、ご理解のお役に立てたようであれば幸いです。それでもこれは問題の一角に過ぎません。そうした問題がいまも現在進行形で進んでおり、自然も人も動物も苦しめています。それらについても、また日をあらためてお伝えしていきたいと思っています。

 

村人たちが声を届けられるよう、お力をお貸しいただければ幸いと存じます。多くの皆さまのご理解とご支援のほど、よろしくお願い申し上げます!

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