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被災した人たちへ、楽しい思い出を写真集にして配布したい

智田邦徳

智田邦徳

被災した人たちへ、楽しい思い出を写真集にして配布したい
支援総額
692,000

目標 610,000円

支援者
61人
残り
終了しました
プロジェクトは成立しました!
3お気に入り登録3人がお気に入りしています

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2015年11月17日 19:25

「だんな様」三船和子

 毎週のように通って仮設住宅を訪問している宮古市(と山田町)は、震災前にも毎月のように通って音楽療法を実施していた時期があり、中心部や女遊戸、鍬ヶ崎のあたりは鮮明に町並みを憶えていました。しかし、大槌町は移動の際に通過しただけで、どんな町並みだったのか、津波前の風景は一切知りません。宮古市と山田町の避難所を巡回していた2011年の初夏、空き時間に足を伸ばして訪れた際に、まるで空襲にやられたかのような町の惨状を目の当たりにした‥その程度の関わりでした。

 

 内陸にある児童施設で音楽療法の仕事をした時(確か2012年夏)、精力的に被災地ボランティアをしている職員の方と、当時の被災地支援について情報交換をしました。私は仮設住宅の巡回は宮古市のみです、と告げると

 

「最近、全国からのボランティアやイベントが減ってきているんです。これから見守りがより重要な時期になるのに‥良かったら私が間に入りますから、他の自治体にも入ってみませんか」

 

 と言われました。宮古市以外の地域を巡回する余力がその頃はまだあったので、私は大喜びで連絡を待ちました。そして最初の巡回日が決定し、宮古市を回り終わった夕方に訪れることになりました。

 

 一箇所目、細く曲がりくねった坂道を上がっていった学校そばの仮設では、住民の方は二人。あとはSNSを見て遊びにいらした方がいました。ひと通りの活動を終えて帰る時、あまり芳しくない感触があったのでもしかしたら‥と思いましたが、やはりここは二度目がありませんでした。

 

 二箇所目、今度は海岸線に近い高台のジャンボ団地でした。乱雑な集会所には前回よりもやや多い人数の方が集まり、目一杯踊って歌って満足そうに帰っていきましたが、やはり二度と呼ばれませんでした。

 

 原因はハッキリしていました。宮古市が終わってから大槌町に到着すると、どうしても開始時間は夕方の四時になってしまい、主な参加層である女性たちは夕食の支度に忙しい時間なのです。また、秋が深まり冬が近づくと、日暮れはどんどん早くなり、薄暗い団地内を出て歩く高齢者はあまりいません。

 

 こりゃ厳しいぞ‥と私は焦り始めました。せっかくつなげてもらった大槌町の仮設巡回が、このまま先細りで撤退なんてことになったら、間に入ってもらった方に申し訳ないなあ、と思いました。どうか次の三箇所目では、継続出来ますように‥そう意気込んでお邪魔した仮設では、何故か中学生男子の集団が私を待ち受けていました。

 

「こ、こんにちは」

 

 私が挨拶をしましたが、誰も答えません。それどころか、一瞥さえくれません。何をしているかというと、カードゲームのバトルでした。壁際では、備え付けのノートパソコンに向かってゲームの攻略サイトを黙々と閲覧する別の男子もいました。そろそろ活動開始時間、というタイミングだったので、アシスタントなすちゃんが一人ひとりに声をかけて、ゲームなら別の場所でするようにと諭し、部屋から出しましたが、結構な人数の男子たちが最後まで我々を見て、返事をすることはありませんでした。何のゲームの攻略だったんだろう、とパソコンの履歴を覗いてみたら、太鼓の達人でした。攻略って。

 

 開始予定時間の16時になって、こちらの準備も全て整いましたが、誰も来る気配がありません。あまりにヒマなので、初めての仮設集会所で良く私がやっている掲示のポスターやちらし、置かれている備品のチェックをしました。宮古市の仮設と同じ支援団体もありましたが、遠方の大学サークルによるイベントなど初めてみるものも多かったです。

 

 残り時間あとわずか、という頃に一人だけ高齢の女性が訪ねてくれました。良かった。

 

「こんばんは、あなた方は何のご用事でいらしたのですか」

 

 そう聞かれたので、私は健康によい音楽を届けに来ました、と伝えました。女性はそのままゆっくりとした動作で部屋に入り、どっかりと畳に腰をおろしました。

 

「血圧、測ってください」

 

 私の言ったことは半分しか耳に届かなかったようで、私は大急ぎで先ほどチェックした備品のうち、簡易血圧計を取り出してテーブルに据え置き、女性の右腕をセットして血圧を測りました。他人の血圧を図ったのは、実の母以来です。

 

「ちょっと高めですね」

 

「町の病院で血圧の薬を出してもらって、飲んでいました。他に誰も来ていないんですね」

 

「そうですね‥もし良かったら、何か好きな歌でも歌っていきませんか?伴奏しますよ」

 

 そう言って女性を歌詞の書いてある模造紙の束の列に連れていき、一緒に何かないかと探している最中でした。突然、女性が

 

「へっぷら虫」

 

 と言って指差した先には、カメムシがうごめいていました。

 

「へっぷら虫は、あねさん!って言ってから掴むと臭くない」

 

 初めて聞く土地の言い伝えに驚いていると、今度は表から“だんな様”のメロディが聞こえてきました。移動販売の放送のようでした。

 

「ベニマルさん着たから、帰る」

 

 そう言って女性はそそくさと集会所を後にしました。残された我々はしばらく呆然として、わらわらと移動販売に集まる住民の皆さんを窓から眺めていました。

 

 こうして強烈な印象を残したこの仮設ですが、この後どの仮設よりも頻繁に訪れることになるとは私にも、アシスタントなすちゃんにも全く予想はつかなかったのです。いずれ出会うこの地区の人は、この日の女性に負けず劣らずマイペースで、強烈な個性の持ち主で、そして愛すべき人々でした。

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リターン

3,000円(税込)

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①お礼状(ポストカード)

支援者
31人
在庫数
制限なし
発送予定
2016年2月

10,000円(税込)

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①お礼状(ポストカード)

②写真集1冊

③当法人ホームページへお名前の記載
(掲載を希望されない場合はご連絡下さい)

支援者
20人
在庫数
制限なし
発送予定
2016年2月

30,000円(税込)

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①お礼状(ポストカード)

②写真集1冊

③「三陸ことば絵本」1冊

④オリジナルエコバッグ1枚

⑤当法人ホームページへお名前の記載
(掲載を希望されない場合はご連絡下さい)

⑥仮設住民がヘンプもしくは刺繍糸で編んだミサンガ、フクロウなどのマスコット、布製小物など5点セット
(色や模様、種類は在庫により変更がございます、あらかじめご了承ください。)

支援者
8人
在庫数
2
発送予定
2016年2月

50,000円(税込)

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①お礼状(ポストカード)

②写真集1冊

③「三陸ことば絵本」1冊

④オリジナルエコバッグ1枚

⑤当法人ホームページへお名前の記載
(掲載を希望されない場合はご連絡下さい)

⑥仮設住民がヘンプもしくは刺繍糸で編んだミサンガ、フクロウなどのマスコット、布製小物など5点セット
(色や模様、種類は在庫により変更がございます、あらかじめご了承ください。)


⑦仮設住民と一緒に「歌と体操のサロン」体験にご招待
(2016年9月まで有効、現地までの交通費は自己負担となります)

支援者
3人
在庫数
完売
発送予定
2016年2月

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