当プロジェクトが問題視している野生動物の有害駆除の実態はあまり知られていないと思います。

エゾシカの例で少しご紹介いたしますと、作物被害や自然植生の食害に伴って、銃やくくり罠で捕獲するものが多く、目的はあくまで農林業の被害を緩和する目的で行われます(そのため残滓が活用されにくいのは前回申し上げた通りです)。

北海道では有害駆除が年間行われている場所が多く、猟友会が一斉駆除をおこなうこともあります。散発的な駆除よりも一斉駆除の方が回収効率が良いためです。

例えば今頃の時期、3月くらいの時期に捕獲されるシカは痩せており、利用をするにも食肉にはできないものがほとんどです。処理場への搬入もできないため、回収処理業者(ペットフード販売事業者)が、当日の捕獲状況を確認したうえで現地に向かうことになります。北海道の原野で、長距離移動を伴う回収になるため、捕獲数が少ないと損失が出ます。では一斉捕獲でどのくらいの効果があるのか、2012年の実際の数値で見ていただくと、以下のような結果です。

2012年

 

A市(国有林、原野、)2月~3月の6日間(各日曜日)

捕獲頭数計191頭:捕獲従事者数のべ202名

 

B市(国有林、民有林、原野、保護区)1月~3月の23日間

捕獲頭数計142頭:捕獲従事者数のべ292名

有害対策であるため費用対効果はあまり問題視されませんが、1人あたり一日1万円の日当でこれをやるとしたら、A市の場合1頭当たり10,526円、B市の場合20,408円の人件費となります。食肉、ペットフード原料で有効活用しようとすれば、この他に加工、輸送搬入のコストがかかります。

 

駆除に関する契約は市と猟友会で行われており、委託料も払われますが、実際は山林から運び出して内臓摘出や部位別の仕分けを行わなければなりません。また、現地で内臓摘出まで行わなければペットフードにも利用できない場合があります。利用できない場合はA市では埋設、B市では焼却処分(どちらも生ゴミ扱い)となってしまいます。


NPO法人北海道自然資源活用機構では、銃による有害駆除の仕組み自体は今後持続が難しいと考えていますが、こうした有害駆除で捕獲されたシカも、できるかぎり無駄にせず利用までこぎつけるべく、業者間の仲介や協力費の提供をしてきました。
 

今回紹介した例で言えば、B市の捕獲効率では明らかに採算割れとなり、税金を投入し続けるか、投入しても業者の協力が得られないことが明らかになっています。最低でもA市の捕獲効率くらいの数字は出せないと持続的にならないというところです。一斉捕獲でこういう状況なので、散発的な駆除では処理できないのは明らかなのです。

NPO法人北海道自然資源活用機構で構築しつつあるしくみは、鹿の食性(塩分などミネラル要求)の研究、分析から広域のシカをピンポイントで集め、生体捕獲するしくみです。ローコストで捕獲効率が高く、持続できるしくみです。

 

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