プロジェクト概要

プロジェクトの終了が報告されました

 

山形・長瀞小学校に眠る、昭和初期の児童が描いた「想画」と「綴方」。当時の記憶を、昭和を生きた方々に届けたい!

 

こんにちは、山形県東根市で本屋を営んでいる村田民雄です。書店業のかたわら、地元出版や文化活動のお手伝いをしております。

 

今回、市内の長瀞(ながとろ)小学校で昭和初期に盛んに描かれた「想画」にとりつかれ、画文集を出版するプロジェクトの事務局を務めることになりました。私たちが生きた昭和の記憶として、是非後世に残していきたい企画です。皆さんのご協力をお願いいたします。

 

日本農業新聞6月4日付

 

画文集は、画文110ぺージ、解説10ページ、全120ページの予定ですが、カラーページが中心になるので印刷費がかさみ、私たちの自己資金だけでは限界があります。また、できるだけ多くのみなさまにお届けしたいという思いもあり、このたびクラウドファンディングに挑戦することを決めました。

 

当時の子どもたちが描(書)いた図画や作文は、東北の一地方を映し出しているだけでなく、戦後高度経済成長期にまで続く日本の普通の生活でした。激動の昭和を経て保存されてきたこれらの作品を、一地域の宝ではなく、「昭和へのオマージュ」として、昭和を生きてきたすべての方々に、手にとって見ていただきたいと思っています。どうかご支援のほど、よろしくお願いいたします。

 

昭和7年
(上)尋常科3年生
(下)全国児童画展優勝記念

 

当時の農村の生活や情景を活写した絵と作文の中に、私たちが失った大切なものが描かれています。

 

「想画」「生活綴方」とはどのようなものでしょうか。耳馴染みのない方も多いかもしれません。

 

■「想画(そうが)」とは?

 

想画という言葉が誕生したのは、昭和4年(1929)とされています。それまでの図画教育は、手本を見てその通りに写す「臨画(りんが)」と呼ばれ、美しく描くこと、より正しく描くことが優先され、風景や生物画が主流でした。これに対して、子どもたちが主体的に、自分を取り巻く自然や生活を描いた絵が「想画」です。例えば、大人たちの農作業の絵の中に、子守りをしている子ども、遊んでいる子ども、その周りの犬や猫……それらが1枚の中に描き込まれ、当時の農村の生活・情景を活写した絵となっているのです。

 

(左)昭和8年「上げてまりあそび」高等科1年
(右)昭和7年「小石運び」高等科1年

 

長瀞小学校では、昭和2年に赴任した佐藤文利先生、昭和5年に赴任した国分一太郎先生のお二人が「想画」の指導を始めました。昭和7年には100名を越える児童が全国入賞をして、学校としても優秀賞を受賞し、日本における「三大想画教育学校(他は、島根県馬木小学校、三重県早修小学校)」と称され、長瀞小学校は全国的に高く評価されていました。

 

昭和9年「早春の野辺」高等科1年

 

■「綴方」とは

 

国分一太郎は、絵と合わせて、綴方(作文)教育にも力を注ぎました。彼が指導したのはやはり、子どもたちの生活をそのまま書かせる「生活綴方」でした。これはのちに全国の学校に普及し、国分は「生活綴方の旗手」と呼ばれました。在職期間8年の中で発行した文集は16冊を数え、現在も残されています。国分は軍国主義教育への時代の流れの中で、昭和13年に教師を罷免されてしまいますが、戦後は、山形県山元村(現上山市)の山元中学校で無着成恭に受け継がれ、文集「山びこ学校」として開花、当時社会現象とまでいわれました。

 

長瀞公民館敷地内にある国分一太郎生誕100周年記念碑碑文

 

 

 

長瀞小学校には、当時の「想画」800点余が東根市有形文化財として大切に保管され、また国分の「綴方」教育実践は、「国分一太郎資料展示室」(現在改装中、2019年4月オープン)と資料室があり、東根市の宝として大切にされています。

 

子どもたちを育んだ田園風景、今も変わらず

 

この貴重な財産を、本にまとめて未来に伝えたい。

 

このように、当時の想画三大学校の中で、想画が散逸せずに大量に残されているのは長瀞小学校だけであり、質・量ともに他に類のない価値があります。一昨年、長瀞で開かれた研究集会で、想画DVD上映を機にその価値を再認識され、「この貴重な財産を未来に伝えていきたい」と画文集発行への機運が高まりました。

 

昭和6年「たこあげ」尋常科6年

 

《出版概要》

●発行元:長瀞小学校画文集刊行会

●部数:1000部

●発売予定日:2017年9月

●直販にて販売予定(全国書店への配本はいたしません、当クラウドファンディングの支援者様にはご支援額に応じてお渡しいたします)

※掲載の絵は、「想画を語る会」と「國分一太郎こぶしの会」の会員のみなさまに選定いただき、編集には「国分一太郎研究会」の先生方にも加わっていただきます。

 

画文の中には、現代に失われた地域や家族、子どもの遊びなど大切なものがたくさん描かれています。教育関係者や、山形の地元の方のみならず、昭和を生きてきたすべての方々に手に取ってほしいと願っています。

 

昭和7年「田植え」高等科2年

 

 

「長瀞の宝」を「世界の宝」へ!

 

「想画」をまとめたDVDやレプリカは、地域の文化祭などで上映・展示されてきました。その展示をご覧になったある方が深く感動し、「山本作兵衛氏が描いた『炭坑図』を質量ともに凌駕するもの」と感想を述べられました。

 

山本氏の「炭坑図」は、自身が戦前に田川炭鉱の炭鉱夫として働いた経験を、戦後になって記憶に基づいて描いた絵文です。昔を思い出して描かれた「炭坑図」と比べて、「想画」は、昭和初期10年余に亘り尋常科1年から高等科2年の小学生が、当時の生活をリアルタイムで書いたもので、「炭坑図」以上の価値があると言えるかもしれません。

 

「炭坑図」は2011年に日本で初めてユネスコ世界遺産(現・世界の記憶)に登録されましたが、長瀞の想画はそれにまさるとも劣らない価値をもっている、と私たちは改めてその価値を認識したのです。

 

ユネスコ登録は夢のまた夢かもしれませんが、世界につながる大きな夢の第一歩として今回の画文集刊行を決めました。皆様さま、どうかご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

 

昭和7年 「摺り臼ひき」高等科2年

 


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