プロジェクト実施のご報告とお礼
こんにちは、JACSESです。
2021年10月~12月に実施したクラウドファンディング「気候変動の被害がない世界へ~あらゆる温室効果ガスの削減と社会的脆弱層への支援拡充に向けて~」では、ご支援、温かい応援メッセージや活動へのアドバイスをいただき、誠にありがとうございました。
2021年10月から2022年7月までに実施した活動に関して、ご報告をさせていただきます。
●活動のご報告
「気候変動の被害がない世界」に向けて、気候変動の被害を受けやすい社会的脆弱層や様々な温室効果ガス削減に取り組む人々への支援の輪や活動がさらに広がるよう、皆様からいただいたご支援をプロジェクト実施費・人件費に活用させていただき、政策提言や政策担当者等との対話、国際会議への参加、イベント開催等の普及啓発や連携体制の構築といった活動を実施してきました。その一部を以下でご紹介します。
<日本政府・国連・国際機関への働きかけ>
以下の活動を通じて、各省庁や国会議員等の政策担当者と対話の機会をもち、提言の説明(「適応策支援」や「あらゆる温室効果ガス削減」、「SDGsと気候変動」、「気候変動とジェンダー」、「多国間協力・国際機関の活用」等)・働きかけを行ってきました。(会合・対話の機会をくださっている政策担当者の方々には感謝しています。)例えば、気候変動適応計画が改訂され、国内外の脆弱性の高い集団や地域への配慮・適応ファイナンスの積極的後押し等が明記される等、社会的脆弱層を含む適応策の推進や、あらゆる温室効果ガス削減に向けた政策の進展と理解の促進につながりました。
COP26(英国グラスゴー)開催に合わせ提言を発表&現地で環境大臣に提出
COP26の開催に合わせて、「気候変動に対応するための日本の施策と国際発信に関する提案 ~国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)を機に~」を発表しました。省庁担当者・企業・NGO・メディア等のステークホルダーや国会議員に送付・普及しました。
COP26には、気候変動プログラムリーダーの遠藤が現地で参加しました。会期中の11月12日に、COP26会場にて行われた環境大臣と非国家アクター(NGO等)の意見交換にも参加し、10月31日に発表した提言書を大臣にお渡ししました。その際に、以下の2点を強調してお伝えしました。
①CO2とともに、フロンやメタンなど他の温室効果ガス対策の分野でも、引き続き世界の削減に貢献していただきたいこと
②日本がG7やCOP26で表明した適応分野への支援促進については、途上国の女性や子供たちなど最も取り残されがちな人々やコミュニティへの支援にも力を入れていただきたいこと
JACSESインスタグラム(@jacses_climate_sdgs)ではCOP26の現地の様子などを投稿していますので、ぜひご覧ください!
G20にて適応策の取組強化など合意~C20政策提言集発表/ワーキンググループに参加~
10月30~31日にイタリアで開催されたG20サミット首脳会議でも、気候変動は主要議題の1つであり、COP26を成功させること、産業革命前からの気温上昇を1.5℃に抑えるために温室効果ガス削減努力を行うこと等と併せて、適応策にもしっかりと取り組むことが確認されました。
これに先立ち、G20の公式エンゲージメントグループの1つであるC20(Civil 20)が政策提言集「C20 POLICY PACK 2021 - Building a sustainable future for all」を発表。遠藤が「CLIMATE, BIODIVERSITY AND ECOLOGICAL TRANSITION(気候・生物多様性・生態学的移行)」ワーキンググループに参加し、「G20諸国は気候変動の悪影響を受けやすい脆弱な人々/コミュニティへの支援を強化し、適応資金はそうした人々/コミュニティを優先すべき」及び「G20諸国はメタン等のSLCPs(短寿命気候汚染物質)削減のため協力すべき」との文言を入れるよう提案・政策提言集に採用され、G20議長国であるイタリア政府に手交されました。
「気候変動適応計画(骨子案)」へのパブリックコメントを提出・計画に反映
COP26前の10月22日に、日本政府は地球温暖化対策計画・気候変動適応計画などの気候変動関連施策を改訂・閣議決定しました。それに先立ち、JACSESでは「気候変動適応計画(骨子案)」へのパブリックコメントを提出しました。
気候変動適応計画(骨子案)に対して以下の改善意見を提出し、10月に閣議決定された気候変動適応計画に反映されました。
なお、地球温暖化対策計画(令和3年10月22日閣議決定)についても、「地球温暖化対策計画(案)へのパブリックコメントを提出しました。
「日本発の国際社会のサステナビリティに向けた提言~気候危機への対処とSDGsの達成に向けた、適応・緩和の包括的推進~」を発表
3月に、適応策をメインに打ち出し、ジェンダーの項目を追加した提言「日本発の国際社会のサステナビリティに向けた提言~気候危機への対処とSDGsの達成に向けた、適応・緩和の包括的推進~<地球規模での気候変動対応と日本の貢献のための提案 Ver.7>」を発表し、また、用語説明・資料を付した提言レポートも発行しました。
2022年ドイツC7(Civil Society 7)へ参加・2023年日本G7に向けた活動を開始
【C7 GERMANY 2022にオンライン参加】
6月26日~28日にドイツ・エルマウで開催されたG7サミットに先立ち、5月4・5日に開催されたC7サミットにオンラインで参加。「気候・環境の正義ワーキンググループ」など5つのワーキンググループの提言についての報告・議論とともに、G7議長国であるドイツのオラフ・ショルツ首相へC7政策提言書が手交されました。
5月10日に開催された「G7市民社会コアリション2023」設立総会(国際協力NGO(JANIC)・SDGs市民社会ネットワーク(SDGsジャパン)主催)では、遠藤がドイツG7に対するC7政策提言書の気候・環境分野提言について報告しました。
【広島開催の2023年G7に向け「G7市民社会コアリション2023」が始動&幹事団体として参加】
2023年に広島で開催されるG7サミットに向け、日本で活動する市民社会組織(CSO)、NGO、NPOおよび個人により、国外の団体とも協力してG7首脳に声を届けるための市民社会のプラットフォーム「G7市民社会コアリション2023」が設立され、JACSESも幹事団体として会員登録の呼びかけや設立イベントの開催、G7シェルパや外務省担当者との調整等を行っています。
7月8日に開催されたG7市民社会コアリション2023主催「G7広島サミットに向けて:変革の時代における市民社会の提言G7市民社会コアリション2023設立記念イベント」では、日本政府から外務省や国内の多くのNGO・NPOが参加し、市民社会による課題提起・2023年G7で議論すべきテーマについて意見交換が行われました。JACSESからは遠藤が気候変動・環境に関して2023年にG7で取り組むべき課題について提起しました。
<JACSESが気候変動・環境に関して2023年G7で取り組むべき課題を示した資料(一部)>
SB56開催前/会期中に外務省・環境省・経済産業省と対話・意見交換
国連気候変動枠組条約(UNFCCC)第56回補助機関会合(SB56)開催前、日本の気候変動NGOのネットワークであるCAN-Japanと主たる省庁の交渉官等とのオンライン会合(5月27日に経産省、30日に外務省及び環境省)にJACSESも参加しました。今回のSBや続く国際会議での最重要課題、NDC引き上げ、パリ協定6条についての方針、適応、損失と被害(Loss and Damage)への対応などについて意見交換しました。
会期中の6月14日には、国際環境NGOメンバーも交え、日本政府代表団(外務省・環境省・経産省)と意見交換しました。
ECOSOCに対し、SDGsと気候変動対策に関するステートメントを提出・国連文書に掲載
7月5日~15日に国際連合経済社会理事会(ECOSOC)による「国連ハイレベル政治フォーラム2022(HLPF2022)」 がニューヨークで開催され、ハイレベルセグメント(閣僚級会合)に対し、SDGsと気候変動に関する意見書「Integrating Adaptation and Mitigation to Address the Climate Crisis and Achieve the SDGs」を提出・国連文書に掲載されました。
アジア開発銀行専門家がJACSESセミナー(9/2)に登壇、適応について意見交換を予定
9月2日に、<気候変動適応施策・ファイナンスセミナー>「COP27(適応のCOP)に向けた気候変動枠組条約第56回補助機関会合(SB56)結果と適応施策・ファイナンスの最新動向~誰一人取り残さない適応策構築を目指して~」を開催予定です。
アジア開発銀行から気候変動対策の専門家にも登壇いただき、今後必要となる適応に関する途上国支援策・ファイナンスのあり方等について意見交換を行う予定です。
ジェンダーと気候変動についての声明発表&省庁担当者と対話・意見交換
3月8日国際女性デーに合わせ、他NGO(JAWW(日本女性監視機構)・ジョイセフ・SDGs市民社会ネットワーク)と協力し、「気候変動対策・施策におけるジェンダー平等の推進を求める声明」を作成・発表し、27団体・52名の賛同をいただけました。メディアからも取材を受け、気候変動対策における脆弱層への配慮・支援の必要性を認識していただける人が少しずつ増えています。
声明を活用し、5月17日に外務省担当者(日本のジェンダーと気候変動フォーカルポイントである気候変動課)と意見交換を行いました。今後も関連省庁と対話を続けていきます。
<普及啓発活動&ステークホルダー(企業・NGO・研究者・メディア・若者・こども等)との対話・働きかけ>
以下の活動を通じて、様々な方々に気候変動対策における「世界全体でのあらゆる温室効果ガスの削減」や「脆弱層も含めた適応策」の重要性を認識していただいて取組強化に向かうよう、普及啓発・働きかけを行ってきました。また、政策担当者だけでなく、あらゆる温室効果ガス削減や適応策支援に向けた技術・ノウハウを持つ企業関係者や各分野の研究者等、多くのステークホルダーとの対話も重ねてきました。対話の機会をくださっている関係者の方々からはJACSESの活動に対する期待もいただき、大変感謝しています。
意見交換/提言を提示したステークホルダーから提言を評価いただき、共同声明の作成や日本政府への働きかけ、講演/寄稿/メディア取材依頼を多数いただく等、連携先も増加しています。例えば、3月8日の毎日新聞に掲載された気候変動とジェンダーに関する遠藤のインタビュー記事への反響は大きく、気候変動対策において脆弱な立場におかれがちな女性達への配慮・支援に対する認識向上につながっています。
【3月12日開催】<セミナー>「気候変動政策・対策の展望(適応策を中心として)~COP26およびIPCC第6次評価報告書を受けて~」
3月12日14:00~16:30(Zoomウェビナー)にてセミナーを開催。環境省・経済産業省・NGO・シンクタンク等に登壇いただき、企業やアカデミアなどから多くの方が参加。適応策の中で注目される分野(水・農業等)、適応策と地域の防災減災・緩和策等とのコベネフィット、ジェンダーの視点等について意見交換しました。IPCC第6次報告書第Ⅱ作業部会報告書(影響・適応・脆弱性)発表直後でメディア報道もあったため、非常に時宜を得たセミナーだとのお声もいただきました。今後も、こうした世界の動向に併せて関心の高まるタイミングを活用して普及啓発・働きかけを行います。
【7月28日開催】<温室効果ガス"ネットゼロ"セミナー>「大きな温室効果をもち排出の大幅増加も予測されるフロン・メタン等の削減に向けて、動き出した世界・日本の今とこれから」
7月28日14:00~16:30(Zoomウェビナー)にてセミナーを開催。環境省・研究者・実務家等に登壇いただき、企業やアカデミアなど多くの方が参加。JACSESからは、『フロン類削減のための「冷媒開発・普及」「漏洩防止」「回収・破壊/再生」を含む国内外の包括的対策の推進・支援』『メタン削減(特に途上国における削減への貢献)』『その他の温室効果ガス・短寿命気候強制因子の削減推進や研究/モニタリングへの貢献』等を提起する提言「フロン・メタン等の排出削減のための提言」を発表しました。気候変動緩和の最新動向や国際潮流、政府のフロン関連施策等について共有しつつ、これまであまり焦点が当たってこなかったCO2以外の温室効果ガスを含め包括的な緩和策について活発な意見交換がなされました。これまでフロン・メタン等の対策について気にしてこなかったという方々からも、そうした温室効果ガスの対策状況など非常に勉強になり、今後注視していきたいといった声もいただき、あらゆる温室効果ガス削減の必要性を認識していただくことができました。
【9月2日開催予定】<気候変動適応施策・ファイナンスセミナー>「COP27(適応のCOP)に向けた気候変動枠組条約第56回補助機関会合(SB56)結果と適応施策・ファイナンスの最新動向~誰一人取り残さない適応策構築を目指して~」
9月2日15:00~17:30(Zoomウェビナー)に、セミナーを開催予定(英日通訳あり)です。今年エジプトで開催されるCOP27に向け、外務省やアジア開発銀行のご担当者にご登壇いただき、日本政府や国際機関の適応の取組や途上国支援等について、意見交換します。現在、申込受付中ですので、ご関心がある方はぜひご参加ください!
外部イベントでの講演・寄稿・メディア掲載
【イベント登壇】
✔ セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン主催「COP26と気候変動をテーマとしたアート
から考えよう!持続可能な世界のために今、私たちにできること」に登壇(2021年
11月)
2021年11月20日「世界こどもの日」に、セーブ・ザ・チルドレンが開催・子ども達
が参加したイベントで、気候変動の専門家として遠藤が登壇し、COP26での議論等
を紹介しました。
✔ 男女共同参画推進フォーラム2021ワークショップ「気候変動×ジェンダー平等
―CSW66にむけて」に登壇(2021年12月)
✔ 日本技術士会埼玉県支部主催「気候変動の現状と施策・対策の全体像~地域での実
践とSDGsへの貢献のために~」に登壇(2021年12月)
✔ 国際協力NGOセンター(JANIC)主催「HAPIC2022ブレイクアウトセッション
「『誰一人取り残さない』気候正義」に登壇(2022年2月)
✔ SDGs市民社会ネットワーク主催オンライン講座「SDGs市民カレッジ2021~
PLANET 気候危機とSDGs~」(全5回)のVol.1、Vol.2、Vol.3、Vol.5に登壇(202
2年1月、2月、3月)
✔ 港区立男女平等参画センターリーブラ主催国際女性デー2022企画「気候変動とジェ
ンダーに関する動向~COP26の結果も含めて~」に登壇(2022年3月)
✔ CAN-Japan主催「IPCC第6次評価報告書から気候危機を回避する道筋を考える」に
登壇(2022年5月)
✔ G7市民社会コアリション2023主催「G7広島サミットに向けて:変革の時代における
市民社会の提言G7市民社会コアリション2023設立記念イベント」に登壇(2022年7
月)
✔ CAN-Japan主催「SB56報告会 グラスゴーからシャルム・エル・シェイクへ~
COP27に向けた国際交渉の最新報告~」に登壇(2022年7月)
【寄稿】
✔ 日経BP未来コトハジメNEWS・SDGs市民社会ネットワークウェブマガジンに「今後
の気候変動対策のために~IPCC報告を踏まえて~」を寄稿
✔ オルタナ『CSR検定[サステナビリティとSDGs]3級公式テキスト2022年版』に
「グローバルな気候変動交渉の動き」を寄稿
✔ ヒューライツ大阪『国際人権ひろば』2022年1月号No.161に『気候変動とジェンダ
ー~気候変動対策でも「誰一人取り残さない」~』を寄稿
✔ アジェンダ・プロジェクト「アジェンダ未来への課題第76号」2022年春号に
「COP26の成果と気候変動対策の今後の展望」寄稿
【メディア掲載】
✔ 毎日新聞(3月8日発行/P15):「気候変動対策に女性の視点を」(気候変動の女性
への悪影響や気候変動対策における女性の役割、女性の視点が欠けることで起こる
問題等について、インタビュー記事が掲載)
✔ 日本経済新聞(3月8日発行/P25):「国際女性デー特集」(女性が気候変動問題の
主体的な担い手になるような取組の必要性等についてコメント)
✔ 朝日新聞(5月11日発行/P13):「記者コラム「多事奏論」の『「沈黙の春」から
60年経ても科学とジェンダー、不都合な真実』」(COPで論じられているジェンダ
ー平等の視点や、日本の気候変動対策における社会的脆弱層への支援の重要性等に
ついてコメント)
SNSやメールマガジン等での最新情報発信
国際交渉の状況、気候変動政策の最新動向、JACSESの提言等をインスタグラムやメールマガジンで発信しました。
【気候変動/SDGsチームインスタグラム】
https://www.instagram.com/jacses_climate_sdgs/
(インスタグラムを利用される方は、是非フォローお願いします!)
【気候変動に関するメールマガジンNew Climate Policy Express】
https://www.mag2.com/m/0000161263
(配信をご希望の方は、上記から是非ご登録ください!)
脆弱な立場にある女性への気候変動適応策を含むブリーフィングペーパー(論文)を発表
ブリーフィングペーパー「ジェンダーと気候変動~UNFCCC・COP26での議論から~」を作成・発表しました。脆弱な立場におかれる女性への気候変動適応策支援やあらゆる温室効果ガス削減の取組に参加する女性のエンパワーメントの観点から、今後日本がとりうる取組の可能性等をまとめています。本ペーパーを読んでくださった方々から講演や寄稿の依頼をいただく等、さらなる普及啓発の機会にもつながっています。
イオン環境財団「Future Earth」対話プロジェクトに参加
イオン環境財団「Future Earth」対話プロジェクトに、遠藤が準備会合から参加。「Future Earth 日本サミット2022」、対話プロジェクト会合に参加、各分野の研究者や企業・NGOと連携し、日本におけるSDGsの環境関連ターゲット設定等について議論しています。
ESD活動支援企画運営委員に就任
ESD推進ネットワークは、持続可能な社会の実現に向け、ESD(持続可能な開発のための教育)に関わるマルチステークホルダーが、地域における取り組みを核としつつ、様々なレベルで分野横断的に協働・連携してESDを推進することを目的としています。ESD活動支援センター(全国センター)は、地方ESD活動支援センター(地方センター)との連携・協力のもと、このネットワーク形成に取り組んでいます。遠藤は、2022年度から企画運営委員として参加しています。
●リターンの発送状況
ご支援をいただいた皆様には、後日活動報告メールをお送りいたします。
なお、【気候変動・社会課題を知る】書籍2冊プレゼントコースの方には、ご希望の書籍を送付いたします。
●今後の展望・活動~COP27や2023年G7日本を含め、あらゆる機会・手段を活用・駆使して~
皆様のご支援・ご協力のおかげで、少しずつではありますが、気候変動対策における「世界全体でのあらゆる温室効果ガスの削減」や「脆弱層も含めた適応策」のための活動を進めることができました。心より感謝申し上げます。
来年(2023年)JACSESは設立30周年を迎えます。1992年地球サミットを契機として、日本でもシンクタンク型NGOの必要性が唱えられ、1993年に設立しました。それ以降、環境や持続可能な社会に関する国際交渉や世界の取組を日本に伝えるとともに、日本の状況や取組を世界に発信していくという双方向の活動を行ってきました。2015年にSDGsができ、持続可能な社会を目指す機運はこれまでになく高まっていますが、気候変動の悪影響・被害は増え続けており、もっと活動を加速させなければならないと感じています。
昨年のCOP26で、日本は途上国への適応支援を倍増することを新たに表明するとともに、首相ステートメントでは、SDGsの理念であるLNOB(Leaving No One Behind)について「気候変動問題に向き合う時、誰一人取り残されることがあってはならない」と明言されました。また、日本は、グローバル・メタン・プレッジ(COP26で100か国以上の参加を得て正式に発足した、世界のメタン排出量を2030年までに2020年比30%削減することを目標とする国際的なイニシアティブ)へも参加を表明し、フルオロカーボン・イニシアティブ(COP25で日本が設立した、フルオロカーボン(フロン)のライフサイクル全体を通しての排出抑制をはかる国際的なイニシアティブ)の取組も進んでいます。
2022年のCOP27はアフリカ・エジプトで開催され、適応策に関する議題への関心が非常に高く、「適応のCOP」とも言われます。SB56でも、途上国を中心に気候変動の悪影響や被害の状況、このままではSDGsの各目標の達成にとっても問題であることなど危機感が示されました。また、IPCCの最新報告では適応の限界が示されたこともあり、緩和策が進まなければ適応するための負担が増えることや、とれる適応策の選択肢がなくなっていくことを懸念する声もあがりました。COP27前・会期中を通して、あらゆる温室効果ガス削減の進展と脆弱層のための適応支援の実践を働きかけます。
2023年は日本にとっても非常に重要なG7サミットが広島市で開催されます。G7のエンゲージメントグループであるC7(Civil Society 7)や国内ネットワークと連携し、政策提言や普及啓発活動をスケールアップしていきます。
COP27やG7に限らず、気候変動やSDGsに関する日本の政策担当者との対話を含むあらゆる機会・手段を活用・駆使して、活動していきます。
引き続きのご支援・ご協力をどうぞよろしくお願いいたします。
JACSES事務局長 足立治郎
JACSES気候変動プログラムリーダー 遠藤理紗