地球の宝を守れ|国立科学博物館500万点のコレクションを次世代へ

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支援総額

916,025,000

目標金額 100,000,000円

支援者
56,584人
募集終了日
2023年11月5日

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2023年10月12日 08:00

かはくの偏愛研究室 番外編|01 動物研究部・藤田先生が綴る「トヨシオマリヒトデ」への愛

毎週木曜19:00〜19:30に放送中の、クラウドファンディング特別企画「かはくの偏愛研究室」。


かはくに所属するさまざまな分野の研究者が登場し、かはくに収蔵されている約500万点のコレクションの中から、自身の「推し」をご紹介。資料への愛を語るYouTube番組です。

 

今回はその番外編。配信ではなく、研究者自身が、推しコレクションへの愛を綴ります。

 


 

執筆者|藤田敏彦(動物研究部 部長)

 

profile

藤田敏彦(ふじた・としひこ)
大学院生の時に深海生態学者を志し、最初に参加した深海底の動物調査で大量のクモヒトデが採集されたのが、棘皮動物(きょくひどうぶつ)を研究するきっかけ。科博に来てからは、動物分類学の分野に転向し、棘皮動物を中心に研究を進めている。

 

 

トヨシオマリヒトデ:星ではない海星(ひとで)

 

 私が主に研究しているのは、ヒトデやクモヒトデの仲間などの棘皮動物です。長い歴史をもつ科博でも、棘皮動物の研究者は私が初めてです。もちろん、私が働き始める前から棘皮動物の標本は保管されていましたが、着任してから約30年で少しずつ研究を進め標本も蓄積していって、科博の登録標本は現在では15,000点を超えています。


 ヒトデは、英語ではsea starで、漢字で書けば海星、まさに海にすんでいるスター、すなわち星の形をした動物です。クモヒトデもスターなのですが、英語ではbrittle star、壊れやすい星と呼ばれます。どちらも5本の腕(足ではありません)を持っていて、それが放射状に広がっています。ヒトデはまさに星のような形の体をしているわけですが、クモヒトデは腕が細長くて、5本あるものの星とは呼びにくいかもしれません。このような体の形は五放射相称(ごほうしゃそうしょう)と呼ばれるのですが、この「5」が私のお気に入りです。

 

 そもそも、細長い動物はあまり好きではなく、ムカデとか蛇とかは苦手なのです。しかし、腕が蛇のように細長いクモヒトデの学名はOphiuroidea、漢字で書くと蛇尾なのですが、不思議なことに5本で広がれば途端に美しく感じます!星のような五放射相称の体をもった動物は棘皮動物だけです。

 

クモヒトデ。丸い盤から5本の細長い腕がのびている。

 

 星好きの私ですが、今回はトヨシオマリヒトデという星ではないヒトデを紹介します。ヒトデの仲間は世界中の海に2,000種以上も生息しています。それだけの数の種がいれば、進化の妙、様々な形のヒトデがいて、それが多様性研究の面白いところ。ディスカバリートーク(土・日・祝日に科博の研究者が交代で、展示物や自身の研究内容などについて、直接語りかける解説活動)でも、オール・シー・スター・キャストと銘打って、様々な形をしたヒトデを紹介してきました。

 

 中でもとびきり変わっているのが、マリヒトデの仲間です。腕が全くなく、上から見ても下から見ても横から見てもまん丸く、直径約1 cmのほぼ球のような形です。これでもれっきとした海星です。海星には体の中心の口から腕の先端に向かって伸びる歩帯溝(ほたいこう)と呼ばれる溝があり、そこから管足(かんそく)と呼ばれるたくさんの小さな足がでているのですが、マリヒトデもちゃんとそれらを持っています。

 

ヒトデの歩帯溝。溝の中に管足が2列に並んでいる。

 

知ってはいたけれど


 マリヒトデの仲間が初めて報告されたのは古く1962年、私が生まれた頃です。そのため、文献などから、そのような変わったヒトデがいることは知っていたものの、日本近海からの報告はなく、これまで見たことはありませんでした。初めて出会ったのがこのトヨシオマリヒトデの標本なのです。

 

 1999年5月29日、広島大学の豊潮丸という船での調査航海で、奄美大島の近海、水深158mの海底から採集されました。ドレッジと呼ばれる海底にすむ生物を岩や泥ごと採集してくる道具を使って採集されたサンプルを、船のデッキの上で選り分ける作業(ソーティングと呼びます)をしていた時に、大量の海綿に紛れていた、何やら小さい丸っこいものを見つけたのです。一瞬何だかはわからず、「ん?」「んん、これは何だ?」、そして「あ!」と気づき、船酔いを忘れる発見になりました。


 トヨシオマリヒトデの属名はPodosphaerasterといい「サッカーボールのようなヒトデ」という意味です。ただしサッカーボールみたいに大きくはなく、ビー玉よりも少し小さいくらいです。研究室で顕微鏡を覗き、新種であることがわかり、豊潮丸という船の名前をとってPodosphaeraster toyoshiomaruaeと名付けました。最初、和名も学名に合わせてトヨシオマルサッカーボールヒトデと名付けようと思ったのですが、これだとちょっと長すぎるということで、トヨシオマリヒトデとすることにしました。日本風に「鞠」という言葉に替えたのですが、サッカーボールよりも可愛らしくて気に入っている名前です。
 

トヨシオマリヒトデ。上、下、横とどこから見ても丸い。

 

 これまでマリヒトデは化石でしか見つかっていない絶滅した科に含められていたのですが、この新種の発見で、標本の形態を詳しく調べることができ、化石の種とは異なる点がはっきりとしたため、新たにマリヒトデ科を設立することができました。現在、この種のDNAを調べており、マリヒトデ科は形だけではなく、DNAも非常に異質であることがわかりつつあります。


 トヨシオマリヒトデは「根」と呼ばれる海底から突き出た岩山の頂上近くの流れが速い場所に生息しています。生物の採集がとても難しい場所ですが、そのため、この標本はとても貴重ですし、また、このような場所にはまだまだ未知の生物がたくさんいると考えられます。この標本は、たくさんの海綿と一緒にうまく採集することができました。海綿に付着して生活していると想像しているのですが、どのような生活をおくっているのかはいまだ謎に包まれています。

 

コレクションとは「知の宝庫」である


 一言で言うと、コレクションとは「知の宝庫」です。

 

 トヨシオマリヒトデも、新種を記載した当時には自由に研究できなかった、DNAやX線マイクロCTによる骨格構造などの詳細な解析を、今、改めて始めています。まさに、大切に保管していた「標本」があったからこそできることです。また、例えばクモヒトデの仲間のテヅルモヅル類など、トヨシオマリヒトデと同じような環境に生息していることもあり、直ぐにたくさんの標本は採集できませんが、様々な場所で長年に調査を重ねると、たくさんの種の標本が集まり、充実した分類や進化の研究が進められるのです。

 

 1つ2つではわからないことも「コレクション」として集まると、大きな力を発揮することになります。調査・研究にはこれでおしまいということがなく、コレクションには隠れている謎がたくさんあり、私にとっては「知の宝庫」となっています。コレクションを大切に保管し、将来の研究にも役立てていきたいと思います。

リターン

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【一押し!】【寄付控除あり】 かはくオリジナル図鑑

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※本コースも、「寄付控除あり」に変更いたしました(10/20変更)

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当館の全研究者が、自身の「最推し」標本を選び、解説したものを1冊にまとめた本クラウドファンディングのオリジナル「図鑑」。
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※図鑑は、130ページ前後になる予定です。画像は、そのうちの一部(恐竜の専門家・真鍋副館長の担当ページ)のイメージです。最終的なデザイン・内容は変更となる可能性もございます。
※寄付金領収証のみ、2023年12月中にお送り予定です。

>>詳細は「活動報告」欄にも紹介記事がございます。

申込数
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発送完了予定月
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【オリジナルグッズ】【寄付控除あり】 トートバッグ

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研究者が日々の研究で使用した「研究ノート」の一部をデザインとした、本クラウドファンディングのオリジナル「トートバック(全5種類)」。
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■モグラの歯の変異原図
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■太陽黒点スケッチ

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