さて、前々回に次ぐ、嵐山新地に隣接する嵐山通りのお店たちであります。

ラーメン屋の龍王さんは僕の駐車場の大家さんでもあるのですが、どうも嵐山新地の名付け親らしいのです。改めてゆっくり、小樽の新地誕生のエピソードなど伺ってみたいと思っています。

 

 

駐車場横に立っていた嵐山新地の古ぼけたゲートが今春撤去されてしまいました。あまりにももったいない。あの不思議感は再現しようと思っても二度とできません。新地ファンの僕には痛恨でした。

 

 

 

龍王さんのある「花園有楽」。この会館風の雑居ビルの建物の名前もいいですねえ。不思議な緑色にも心惹かれます。

 

 


 

 

ちゃんと蕎麦屋もある。もういかにも町の蕎麦屋然として気負うところない感じが好感が持てます。ふらりと入りたいものです。





炉端焼きの「鶴吉」さん。
思えば “炉端焼き” という業態そのものが近年とんと見かけなくなった気がします。あの巨大なしゃもじみたいな長いやつで「えいっ」と焼いた魚を手元に運んでくれたらいいのにな。今度お邪魔してみます。

私の愛する炉端焼き「函館あかちょうちん」に行きたくなってしまう。社長夫婦はどうしてるかな。

 

 

 

「ふじりん」さんは、おでんから活きの良い生モノからおいしい日本酒まで! 

 

綺麗なママさんが切り盛りする大繁盛店です。花園銀座商店街側の嵐山新地の入口ゲートに向かってすぐ右側にありますよ。

頭の上の高架にしばしばJRが走り、それもなかなかの小樽風情を醸し出していると思います。

 

 

 

 

 

 

 

花園銀座商店街側の嵐山新地の入口ゲートに向かって、ふじりんさんとは反対の左側には二階に登る階段があります。遅い時間までカラオケの演奏が聞こえてきます。「ブラッキー」という店名も今とは違う時間を感じさせてくれます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風の色から一番近い寿司屋「ちさと」さん。早い時間から遅い時間まで暖簾が揚がっていて、店を閉めた帰りについつい寄りたくなります。

最初にお邪魔したのは、小樽で百年以上続くお麩屋さんの店主に連れてきてもらった時でした。ちさととは寿司屋の大将の亡くなられた奥様のお名前だそうです。
「女々しいでしょ!?」なんてご自分でおっしゃっていましたが、逆に僕はいっぺんに好きになりました。ただし、店が暇だと暖簾をかけたまま近所に飲みに行ってしまうことがあるようで要注意です。

 

ちさとさんの右隣は「海月(くらげ)」さん。小樽に移り住んで来たばかりの頃、よくお邪魔していました。お刺身もお寿司も気軽に食べられる家族でも入りやすい居酒屋さんです。魚介系の町である小樽の入門にはありがたかったのです。


そうそう、嵐山通りのもう一軒!
ホルモンのやしまさんの嵐山通りを挟んだ向かいの建物に「ベルサイユ」さんがあります。

ダンスクラブとあります。ダンスクラブですよ!
なんか凄いですよね。

 

たしか旧手宮線の線路沿いにもダンスホールがあったような。あれ? 廃業してしまったかな? いずれにせよ、小樽にはなぜかわからないけれどダンスホールが数件あるのです。かつてはもっとあったのでしょうね。

なんとなく小樽の町にはダンスホールが似合います。その辺を紐解いて行くと小樽の町の魅力の核心に迫れそうな気がします。

とにかく僕は、この嵐山エリアにダンスホールが存在していることがなんだかとても嬉しいのです。

 

 

 

さて、嵐山新地を取り囲む嵐山通り界隈の店をぐるりとご紹介しましたが、前々回の時に紹介できなかった、あるいは写真の撮れなかった嵐山新地の店にも今一度触れておきますね。

 

「とんとん」さんは風の色の並びのお店です。素敵なマダムがひとりで切り盛りされています。なんだか飲食業の大先輩!という貫禄がありながら、僕のような若輩にもいつもニコニコと挨拶してくださって嬉しいのです。

 

 

 

風の色のすぐ左隣のお店「颯楽(そら)」さんは薩摩地鶏が美味しいと評判の和ダイニング。若い久保さんがお一人で頑張ってます。宴会も対応できます。

 

 

「みはる」さんは風の色の真向かいのお店。昔はバイクで北海道を走っていたという熟年のママが、やっぱりおひとりで切り盛りされています。週二回ほどは所謂 “昼カラ” というのをやっており、年配の常連客さんのサロンとして昼夜にぎわっています。

夏などにお互いに扉を開けて営業している際に、自分の店が閑古鳥でしょげているのに、お向かいのみはるさんから楽しげに歌声が聞こえてくるとさらに落ち込みます。

 

 

 

あ、風の色の玄関はこんな感じです。


営業していない時間はシャッターが下りているので、うちを目指してきてくれても分からず通り過ぎてしまう方が多いようです。ホントはポストと額縁の表札は出しているのですが…。

営業中は、ホッピーのノボリとベッドの四隅の木枠を合体させて手作りした怪しげな行灯が目印です。

 

 

「颯楽」さんの前からはこんな風に見えます。

 

 

前の写真の突き当たり右側にあるのが、焼酎BARの「玄衛(くろえ)」さん。夜な夜な焼酎好きが集まってきているようです。

真夏の夜には外にテーブルを出して車座で盛り上がっているときがあります。定休日がなく、遅くまでやっています。家に居るよりも店にいる方がいいから…。そんなことをマスターから聞いたことがあります。


シャッターが閉まっていても、外灯が点いている時は、どうやら「この後営業予定です」という意味らしいと推察しています。

 

ただし、それまで界隈で飲んでいたマスターがそのまま店を開けない(開けられなくなる?)時もごくまれにあるらしいと、これもご本人から聞いたことがあります。

 

 


 

ちょっと怪しげなこの行灯。

嵐山界隈にはこうした怪しさ、不思議さが似合うと思っています。ちょっとどきどきします。



 _____日常と非日常の狭間
 

 


嵐山界隈は、あえて迷い込みたくなる迷宮だと思っています。探し出してでも迷い込み、迷ってしまいたい、迷路のような盛り場の路地裏の一角。

 


その迷路の中に、実はとてもバラエティに富んだ業態の飲食店が息づいています。


小樽を代表する老舗の居酒屋さん。ずっと人気の焼鳥屋、焼肉屋、おでん屋さん。まっさんのウイスキーメイカーからも信頼を寄せられる正統派バー。ママ、マダムがひっそりとそして長くこの地に根付いて切り盛りしている昔ながらのスナック。蕎麦屋に寿司屋にラーメン屋の定番から、小樽には珍しいオカマさん?の店、炉端焼き屋さんから時代色豊かなダンスホールまで!


屋台村も素敵ですが、もともと町の中に自然発生的に存在している「界隈」の中に、さまざまな業態、魅惑溢れる店がたたずみ、その一角だけではしご酒ができそうな予感に満ちていることにときめきを感じます。

そこには旅人のみならず、地元の人にも感じられる「旅」の気配が底流にある気がするのです。この場合の「旅」とは、遠路からはるばる訪れるばかりではなく、自分の町の知らなかった銭湯にめぐり逢うような、裏路地にぽつりとある初めての酒場にたどり着く感覚までを含んでいます。

 


さびしさやわびしさ、雛(ひな)の感覚は素敵です。あまり人が大勢訪れないからこそ保たれている風情というものはあるかもしれません。だからといって誰も訪れてくれなければ、時代を超えてそこにあり続けること自体が出来なくなってしまいます。

ただ激しくにぎわいさえすればいいというものではないと分かっています。でも、それぞれの店主も必死なのです。“鄙びた風情” というものはギリギリの生活感の上に成り立っていたりします。でもそこがどんと表に出ていたら酔客にとってはむろん興醒めです。「日常と非日常の狭間」の微妙な意味合いはその辺のやるせなく揺れる現実感にもある訳です。

だからやっぱり、探し出してでも訪れて欲しいと願うのです。

 



「だれやみしましょう」


あの行灯のあやしげなフレーズがどういう意味か、一度マスターに訊こうとは思っているのですが、いまだ確認できていません。
 

 

 

 

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