【2010年秋~冬】

コラーニ教授がデザインした扇子のコンセプトで最も特徴的なのが、本来扇子にはあるはずのない、手指が収まる場所が備わっていることです。

 

教授がエロ…もとい、エルゴノミックファン(人間工学に基づいた扇子)と称して、竹素材での制作を想定していたコンセプトを、プロダクトデザインのアプローチでさらに発展させて突き詰めること。そして扇子を開いて扇ぐ時も、閉じた扇子を握る時も、手指に吸いつくような今までにない独特の感覚が得られること。今回拘ったのは、この2点でした。

 

私たちは、コラーニ教授と相談し、当初のコンセプトに基づきながらも一層コラーニデザインの特徴を体現する扇子のイメージを固めていきます。そして、宮脇賣扇庵様から頂いた様々なアドバイスを参考にしながら、また和紙を用いる扇子の理想的なシェイプを追い求めながら、いよいよデザインの具現化に進みます。

 

世界初となる左右非対称の親骨作りの協働をお願いしたのは、PhinDESIGN様。数多くのプロダクトデザインを手がけてこられたデザイン会社ですが、流石に扇子は初めてだったそうです。同社には、事前に私の所有する沢山のコラーニプロダクトやプロトタイプを実際に見て、触ってもらい、独特のコラーニラインを学んで頂きました。

 

度重なる打ち合わせと修正を経て、でき上がったイメージがコチラ。

 

 

 

枝豆だとか餃子だとか言われる方もいますが(苦笑)、開いても閉じてもしっかりと手の中で収まる、今までにない親骨のデザインが誕生しました。

 

なんと驚くなかれ、コラーニ教授は一発でOKを出してくれました!この時、関係者はみな、安堵したと思います。

 

今回のデザインは、扇子1200年の歴史の中で生まれたいわば「突然変異」。伝統的なスタイルを学び、手法を忠実に護りながら、コラーニ教授という異国文化圏のデザイナーの発想を借りて、思い切り跳躍させました。この扇子が子孫を残せるかどうかは誰にも分かりませんし、扇子に関する美意識から少し外れた場所にいるので、もしかするとすぐに淘汰されてしまうかもしれません。しかし、見た目や形状の特異性だけに留まらない、新しいコンセプトを有する「かはほりあふぎ」が、扇子の歴史に何かしらの刺激を与えて後世に価値をつながいでくれることを、私たちは願っています。

 

いよいよ確定したイメージを3Dモデルにし、実際に扇子に仕立てることで、設計上の不備はないか、使用上の課題がないか、確認していくことになります。

 

(つづく)

 

 

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