
支援総額
目標金額 2,500,000円
- 支援者
- 277人
- 募集終了日
- 2016年7月29日
温又柔×田中宝紀―「日本語で育つ子どもたちへ」(後編)
台湾にルーツを持つ作家、温又柔(おん ゆうじゅう)さんと、新宿の名曲喫茶の片隅で語り合った、日本語で育つ子ども達の未来。つ子ども達へのエールとなった前編での対話から、日本語で育つ子ども達の周りにいる、日本社会の大人達の温かなまなざしの重要性を語り合った中編。今回の新着情報では最後となる後編をお届けします。
「不完全である」からこそ、自分は自分になった
田中 不寛容さについて、ちょうど先週くらいにテレビでも特集がありましたね。社会が「寛容でない」「想像力を欠いている」というのはここ数年ですごく目立ってきたなと思っていて。
やっぱり問題の根本というのか、他者に対する想像力を欠いているというのはすごく大きいなと。
温 それが自分自身にも跳ね返ってくると思うんですけどね。
なんていうんでしょう、自分のお祖母ちゃんを大事にするように、見ず知らずのお年寄りも大事にすればいいのに、家族とか親しいひとだけ大切にして、それ以外の他人は傷つけてもいい、みたいな空気がどんどん広まっている感じがして。本当にそれは悲しいことだなと。
田中 怖さというか。衰退する日本社会に対する恐怖みたいなものが転じて、他者への攻撃的な意識になっちゃうのかな。
温 自分の「純粋性」に執着するために、「純粋じゃない人」を攻撃することでなんとか気持ちを保つ。でも、自分を守るために、敵をつくって、攻撃して、そういう繰り返しって、疲れませんか? 消耗するし。すごく息苦しい。
田中 この息苦しさが不寛容さになって、外国にルーツを持つ子どもたちに、そのままこう・・・
温・田中(同時に) 跳ね返ってる。
田中 その疎外感を敏感に感じてるんだと思うんですよね。日本で生まれようが、10代で来日しようが・・・。
温 やっぱ性格もあるでしょうし、わたしに関していえば名前が「温」なので、いきなり外国にルーツを持つ素性がバレてる。バレてるって悪いことだとはちっとも思ってないんですけど、こういうわたしがすごく流ちょうな日本語を使って、堂々と生きてること自体がひとつのメッセージなんだよって応援してくださる方もいるんですね
白状すると、学生の頃なんかは、ちょっと弱気になると「やっぱり自分はふつうじゃないんだ」って悩んだこともありました。いわゆる平均的な日本人ではないことが挫折や劣等感のもとになっちゃうというか。
今は逆に、「ふつうじゃない」あるいは「不完全である」からこそ、自分は自分になった、と感じているから、劣等感や不完全さってパワーの源だなって。経験上、そう思うんです。それで、わたしみたいな人間が発信し続けることによって、「自分のほうがマシじゃん」って思ってくれる人がふえたらいいなって(笑)。
今、いろいろ喋っているけど、わたしはたとえば20年とか30年後、この対談の内容はもう昔の話だねっていうくらいになっててほしいんです。ふつうとか、完全とか、そんな日本人がいると昔は信じられていたんだねえ、みたいな。
いろいろな国にルーツをもってる子どもたちが、日本も日本語もはじめから自分のものなのだとナチュラルに思いながら育っているような、そんなふうにこの国がなっていればなあと。
もちろん、そのことによって日本人の子どもたちも、「うちの国にはいろんな文化がある」とあたりまえに感じていてそのことを楽しんでいるような……。
だからね、いま、この瞬間にも、自分がふつうの日本人じゃないとか、純粋な日本人じゃないから、とか、それぞれの形で悩んだり葛藤したりしている子たちに対して、「あなたの存在はあなたを超えて、みんながもっと豊かになるきっかけなんだよ」って思うし、そのことを、現場で日々伝えようと努める田中さんや福岡さんのような大人たちがいらっしゃることを思うだけで、わたしとしては、すごくありがたいし、頼もしい。
田中 掘り起こせばたぶん、そういう思いを持ってる人は実はたくさんいるんだと思うんですよ。前回のクラウドファンディングで170人以上の方々が、自分事としてとらえてくださった。すごく私自身も励まされました。心強くて。それがそのまま子どもたちに、ドンっと伝わったらいいのにな。
温 じわじわ、ですね。きっとね。
田中 「そういう人たちが確実にいるよ」っていうことは知ってほしいなって。
地域の方々が中心になって子ども達と食卓を囲んでくれた温かな時間。
自分の中の台湾人とか非日本人っていう部分と、「個人である」ところのバランス
田中 以前、ある子が、用事があって役所にいなかくちゃいけなかったんです。その子は外国籍なんだけど、「なんで日本の役所はガイジンには優しくないの」「ガイジンだからこんなに粗末な扱いを受けるんでしょ」と言ったことがありました。
もちろんそういう側面もあるんだけれども、必ずしもその子が外国籍だからってことじゃないかもなーと。相手が日本国籍だったとしても、そういう対応する役人はいるし。
温 ほんとですね。その教え子さんを応対した役所のひとが、だれが来ても強圧的で不愛想なのか、あるいは実際にすごく嫌な差別主義者なのか……わかんないですよね。
今の話で思いだしたけど、実はわたしの学生時代の知人に、祖父母のうちの誰かが朝鮮半島からやってきたという子がいたんです。彼女は何かあるとすぐにその境遇のせいにしちゃうんですね。
「自分をみんなが認めないのはわたしが純粋な日本人じゃないからだ」とか、「自分の恋愛がうまくいかないのはわたしが外国人の血を引いてるから」だって。いやいや、どちらかといえば個人の問題だよなあって傍から見ていて思ったりして(笑)。
わたしに即していえば、自分の中の台湾人とか非日本人っていう部分と、「個人である」っていうところのバランスみたいなものには、充分繊細でありたいですね。たとえば、何かがうまくいかない原因を「何しろわたし、日本人じゃないし」で毎回片づけていたら、早々と思考停止に陥りますよ。
とはいえ日本人だったら味わわずに済むような理不尽さを、ガイジンであるせいで味わうことも確かにあるし。本当に判別は難しい。
だから、そのお子さんの話に戻すと、「わたしがガイジンだからみんな意地悪するんだ」って思い込んじゃう気持ちは、早いうちにほぐしてあげたいというか。あなたはあなたよって伝えてあげたいですよね。
田中 そう思ってしまうような積み重ねは、その子の中にあったでしょうね。そういう日本社会の状況の中で、それに対して跳ね返せるというか、そこでくじけない力があることも大切だなと感じています。
それこそ、個をどれだけ確立できるか、というところにかかっているのかも知れないですね。
温 そうなんですよね。
田中 その個の根幹がやっぱり言葉、なんだと思いますね。自分の中で対話をしたり。
温 そうですね。自分と向き合えるスイッチ。個人と社会の関係ってすごく日本人にとっても難しいところで、すべて国のせいにして働かないのもいけないし(笑)、かといって本当に国の経済政策のせいで働けない人もいるしっていう。
その辺のバランスって日本人でも大変なんだから、外国にルーツを持つ子にとってはもうそこだけが誇大化しちゃって、もうがんばる力が奪われちゃう。
それを周りがね、「だからこそいいんだよ」って言ってあげる空気だったらいいんですけどねえ。つらいとこですよね。
・・・北風と太陽じゃないけどね。こっちも同じ攻撃性でやるんじゃなくて、違うやり方で。理解してくれる方もすごいたくさんいるからみなさんの教え子たちにそういう可能性が秘められてるって信じたいなって。
この子たちが大人になったときに、日本人たちにもっといいものを還してくれるというか、こういう生き方もあるっていうことを、社会に対して注ぎ込んでくれるんじゃないかな。
田中 もちろん、それなりのしんどさもあって、思い悩むときは本当に自殺したくなるくらいの重たさというか、突きつけられるものがあるんだと思うんですけど。そこを乗り越えられたときに、ものすごくよみがえるなと。
温 より強くなるというんですかね。
田中 けっこう達観できる部分は大きくなるかなって思いますね。その乗り越える力のもとになるような部分を育ててあげられているかなというのはよく考えます。
風を吹かせたいですよね
温 こんな話でだいじょうぶでしょうか?
田中 はい、もちろん。言葉の核を子ども自身に育むこと。そしてロールモデルというか、今見ている世界がすべてじゃないってことを子どもたちが感じられるだけの、まわりの大人の情熱や愛を、子ども達自身が感じられるように届けることが大切だということ。
温 末広がりになるような可能性。
田中 どうしても本当に二重苦、三重苦だなと思える状況の子どもが多いので、より希望というか、未来に向かって一歩向かっていけるようにしたいなと思いますね。
温 でももうね、その子自身のパワーというか
田中 「君は前を向いていいんだよ」ということをね。そういうことが大事だなっていうのを今日本当に、改ためて思いました。
温 風を吹かせたいですよね。子どもは刻一刻成長するし、決して正解があるわけじゃない。大事なのは、偏狭なナショナリズムに対抗することを願っている大人もいるんだよってことですよね。
田中 まさに風を吹かせるような・・・いろんな試みが、周りの方々と共にできたらいいですね。
温 このクラウドファンディングが、いろんな人に伝わるきっかけになるといいですよね。がんばりましょう。本当に応援してます!
田中 ありがとうございます!
・・・・・・・・・・・・・・温さんとの1時間以上に渡った対談を通して感じたのは、日本人であろうが、海外にルーツを持っていようが「日本社会に暮らす子ども達」の未来に、あたたかな風を吹かせることができるのは、私たち「日本社会に暮らす大人達」なのだ、ということ。
そしてそのあたたかな風こそが、子ども達の力強い成長に欠かせないものであるということ。
これを読んでくださっている皆さんも、私達と共に、風を吹かせてくれたら嬉しいです。
リターン
3,000円

【子どもたちからのありがとう】
子どもからのサンクスメッセージをメールにてお送りします。メッセージが送れるのも、頂いた支援のおかげです。
- 申込数
- 172
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2016年11月
10,000円

【卒業式へご招待&カフェ・ドゥ・ジャルダンのカステラ】
3,000円のリターンに加えて、
①スイーツの名店”カフェ・ドゥ・ジャルダン”
オリジナル「アメリカンカステラ5個入り」をお送りします。私たちのスクールのある福生(ふっさ)で生まれた絶品カステラです。
②7月に行われる子どもたちとの終業式にご招待します。(都内です、交通費はご負担ください)
- 申込数
- 94
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2016年11月
3,000円

【子どもたちからのありがとう】
子どもからのサンクスメッセージをメールにてお送りします。メッセージが送れるのも、頂いた支援のおかげです。
- 申込数
- 172
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- 2016年11月
10,000円

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②7月に行われる子どもたちとの終業式にご招待します。(都内です、交通費はご負担ください)
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