ミトコンドリア病とは？（３）

●ミトコンドリア病の患者さんの細胞では、何が起こっているのでしょうか？ここでは、多くの患者さんで見られる「ミトコンドリアDNAの変異」によって、何が起こっているのかを見ていきます。

 

●ひとつの細胞には、数百個のミトコンドリアが存在します。個々のミトコンドリアは、核とは異なる小さなDNAを持ちます。これをミトコンドリアDNAといいます（下図中の赤丸）。

●ミトコンドリアDNAの遺伝情報は、ミトコンドリア機能（ATP産生など）の維持に関係しています。そのため、ミトコンドリアDNAに変異がある（図中の破線赤丸）と、ミトコンドリア機能が低下し、ATPの産生が減少します。

 

 

●一方、正常なミトコンドリアは、栄養分であるグルコース（ブドウ糖）から生成されたピルビン酸を利用して、ATPを産生しています。

しかしながら、機能低下したミトコンドリアは、ピルビン酸を利用しません。その結果、ピルビン酸と、ピルビン酸からできる乳酸が増加します。

 

●したがって、ミトコンドリア病の患者さんの細胞では、「ミトコンドリアDNAの変異」の結果、「ATP産生の減少、ピルビン酸・乳酸の増加」が起こっています。

 

 

＜参考文献＞

（１）「病気が見える vol.7 脳・神経」メディックメディア

（２）「ミトコンドリア病ハンドブック」国立精神・神経医療研究センター病院遺伝カウンセリング室